表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/475

ランク確定

「おお、なんだ嬢ちゃん、遅かったな」


 私にそう声をかけてきたのは、このギルドに来た時に話しかけてきたおじさんだ。


「灼炎の嬢ちゃんから聞いてるぜ。とりあえずCランクから始めるらしいな」

「ん……?」

「Cランクって言えば、冒険者として一人前として見られるランクだよ。さすがは灼炎の嬢ちゃんが連れてきただけはあるな!」

「はあ……」


 やっぱりミレーユさんに報告を任せたのが悪かったかな。できればAランクが欲しかったけど……。二つ名も欲しかった。かっこいいのが欲しかったな……。


『リタちゃんが露骨に残念そうなんだがw』

『おっさんとの温度差よ』

『でもCか。なんだかんだ特別扱いされると思ってた』

『俺も』


 まあ仕方ないよね。特別扱いは他の人から反感を買うだろうし。うん、これでいいよ。うん。

 …………。Aランク、欲しかったなあ……。


『リタちゃん、元気出して』

『おっさんが困ってるから』

『リタちゃんが元気なくなったせいでおろおろしてるのおもしろい』


 そうだね。気を取り直そう。おじさんは何も悪くないんだし、困らせたくない。

 とりあえずミレーユさんに戻ってきたって報告しよう。受付の人に聞けばどこにいるか分かるかな?


「ごめんなさい。用事があるので行きます」

「お、おう……。よくわからんが元気出せよ」

「ん。ありがとう」


 おじさんから離れて、受付の方へ。受付の人は私の姿を認めると、何故か顔をこわばらせた。その反応はなんなの?


「お待ちしておりました、リタ様。ミレーユ様とギルドマスターがお待ちです。支部長室へどうぞ」


 支部長室。えっと、前回話し合いをした部屋かな。いやその部屋しか知らないし、違ったらその時に改めて探そう。

 階段を上って、三階の支部長室へ。ノックをするとすぐに、入りなさいという声が届いた。

 扉を開けて、中に入る。前回と同じ位置に、ミレーユさんとギルドマスターさんが座っていた。


「お帰りなさいませ、リタさん。お待ちしていましたわ」

「お帰りなさい。どうぞ」


 二人に促されて、ミレーユさんの隣に座る。どうしてか、二人とも表情が硬い。

 で、沈黙と。なにこの沈黙。静かすぎてちょっと困る。


『なんやろなこの空気』

『謎の緊張感』

『好き』

『変態はカエレ!』


 なんだろうねこれ。何を待ってるんだろう私は。

 少しの間じっと待つと、ギルドマスターさんが先に動いた。


「まずは謝罪を。あなたが、かの守護者様とは思いもせず……」


 ああ……。ミレーユさんから聞いたんだね。それでそんな変な沈黙を……。


「こちら、Sランクのギルドカードです」


 そう言って、金色のカードを渡してきた。さっきと話が違うような気がする。Cランクじゃなかったっけ?


「Cランクじゃないの?」

「他の冒険者から聞きましたか。最初にSランクにすると妙な軋轢を生みかねませんから。なのでCランクとさせていただきましたが、ギルドの職員には真実を伝えてあります。Sランクの依頼も問題なく受けることができます」

「おー……。それはすごく嬉しい、です。ところで」

「はい」

「なんで敬語なの?」

「…………」


 あ、ギルドマスターさんの頬がおもいっきり引きつった。


『やめたげてよお!』

『平民とかかと思って話していたら上司よりやばい人だったでござる』

『ギルドマスターさんの胃が心配』


 ん。だめらしい。でも私としては普段通りがいいなあ。

 そう言うと、ギルドマスターさんは安堵のため息をついた。


「そう言ってもらえると助かるわ。精霊の森の守護者だったって聞いて、正直生きた心地がしなかったから」

「なんで?」

「だって、あなたの意思一つで世界の魔力の流れを変えられるでしょう? この周辺に流す魔力を減らされると、農作物が育たなくなるから」


 まって。いやいやちょっと待って本当に待って。


『マジかよリタちゃん最低だな』

『幻滅しました。リタちゃんのファンやめます』

『リタちゃんだけはそんなことしないと信じてたのに……!』


「いや本当に私知らないから。何その不思議能力。聞いてるだけでやばいって分かるよ」


 小声でそう言っておく。本当に知らないからそんな能力。

 それとももしかして、私が知らないだけだったりするのかな……?


「そういうことはしないです」

「そ、そう? それなら安心したわ」


 分かってもらえた、でいいんだよね?

 分かってもらえたなら、このカードは一度返却かな。守護者だからの特別扱いみたいだし。


「このカードはどうしよう? 私は、Cランクからでもいいよ?」

「それはそのままでいいわ。実力は申し分ないもの」


 というわけで、私のランクはSで確定ということで。でも他の冒険者さんと話す時はCランクということに、ということになった。

 ちょっと分かりにくいけど、私も他の冒険者さんに恨まれたりしたくないから、そっちの方が助かるね。


壁|w・)ちなみにギルドマスターさんが言っている能力は、守護者の能力というより精霊様の能力です。守護者がここやべえとか言おうものなら精霊様が動く。ただそれだけ。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あれ?今日は食べ物の話はないの? リタちゃんが食べ物以外の話しているの久々に見た気がする
[良い点] よかった、ギルドの面々が協議に協議を兼ねて決めたみたいですね。 [気になる点] 周りからいきなり認められようと思ったら、怪獣クラスの魔物・・・ドラゴン1ダース駆ってこないとダメ見たい しか…
[気になる点] >「他の冒険者から聞きましたか。最初にSランクにすると妙な軋轢を生みかねませんから。なのでCランクとさせていただきましたが、ギルドの職員には真実を伝えてあります。Sランクの依頼も問題な…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ