手作りカレーライス
それじゃあ、早速ご飯、だね。カレーライス、すごく楽しみ。自分で作った、というのがなんだかちょっと感動してる。わくわく。
「あの、いいんですか? 私たちもいただいて……」
「結構な量だからな。いいだろ、リタ」
「ん」
みんなで作ったから、みんなで食べるべき。
師匠がアイテムボックスから取り出したテーブルにカレーを並べて、椅子にみんなで座る。テーブルも椅子も折りたたみすることができて、持ち運びしやすいものだ。便利そう。
飯ごうから、ご飯を盛り付ける。
「ん……。底の方とか、ちょっと黒い」
「そのお焦げがいいんだよ!」
「ふうん……」
そういうものなんだ。じゃあ、このままカレーも盛り付けよう。
大きなお皿にご飯とカレーを盛り付けて、完成だ。うん。ちゃんとカレーライスになってる。少し不安だったけど、一安心だね。
『何事もなく無事に終わって安心した』
『本当に不安だったからね……』
『でもそれはそれでつまらないと思ってしまいました』
『気持ちは分かるw』
ご飯で失敗はしたくない、かな。特にカレーライスは。
みんなにも配って、それじゃあ……。いただきます。
「ん……。美味しい。なんだか、すごく美味しく感じる」
「自分で作ると何故かすごく美味しく感じられるんだよな」
「じゃあ、真美と一緒に作ったらとっても美味しいカレーになる?」
「…………。真美ちゃんに迷惑かけるなよ?」
迷惑かける前提になっているのは気のせいだよね?
カレーライスの中のお肉もすごく柔らかくてとても美味しい。これが、最高級のお肉。なんだかとろけるようなお肉だ。カレーのお肉がとろけて……。ん? それはもうお肉もカレーということでは? なるほど。
「お肉はカレーだった」
「どういう発想でそうなった」
『つまり……カレーを食べたら、最高級のお肉の味がするってこと!?』
『それは絶対にないと思うなあw』
『多分、お肉がとろけてカレーみたい、とかそんな意味だと思う』
『真美ちゃんはリタちゃんの翻訳係だった……?』
なんだろう。ちょっとバカにされた気がする。
あとは、このご飯。おこげ。そこまで苦いわけでもなく、ちょっとカリッとしていて食感も楽しい。いつもと違った香りがして、こういうのも悪くないと思う。
うん。うん。とっても美味しい。
「んふー」
『美味しそう』
『ちょっとカレー注文してくる』
『知ってるかい? カレー屋で頼んでも、おこげのご飯はついてこないんだぜ』
『ひどい詐欺だ!』
詐欺扱いの方がひどいと思う。
世菜さんたちは、どうかな。ちゃんと美味しいと思ってもらえてるかな。
「うんめえええ!」
「部長、お肉が、お肉がやばいです……」
「やばば」
問題ないみたい。師匠もちゃんと食べてくれてるし、これなら自信を持てる。なので、ちょっとお皿によそって、カレーを盛り付けて、それを二皿。よし。
「リタ、どうするんだそれ」
「あとで真美とちいちゃんにも食べてもらう」
「ああ……。なるほど。アイテムボックスに入れておけば冷めないしな」
「ん」
『はあああ!?』
『羨ましすぎるんですが! 羨ましすぎるんですが!』
『俺もリタちゃんの手料理が食べたいです!』
『真美さん、是非とも私めどもに……』
『絶対に嫌だ』
『謎の圧を感じたw』
さすがに真美以外に渡すつもりはないよ。
カレーライスをいっぱい食べて、あとは食後のデザート。ブドウと桃だ。世菜さんたちにもわけてあげる。その代わりに切ってもらうことになった。
そうして切り終わったのがこちらです。
「いっぱい」
「五個も渡されちゃったから……」
『一人一個か』
『まあ桃だしな、よゆーよゆー』
『ブドウもあるぞ!』
『あと多分あのお菓子もあるぞ!』
まだまだいっぱい食べられるね。世菜さんたちは苦笑いしてるけど。
ブドウと桃はやっぱり美味しい。師匠はなんだか感慨深そうにしてる。
「ああ……。この味だよ、この味。酸味の塊じゃないんだよブドウは……」
『森のブドウっぽいやつの話か』
『本当に逆に気になる』
『調味料とかに使えないんか?』
「全部の味が吹っ飛んで酸味しか感じられないものを調味料と言っていいのかが問題だな」
『正直すまんかった』
『そんなにかw』
そんなに、だよ。お肉にかけて、ちょっと気分転換したりするだけ。
桃もブドウも、すごく美味しかった。これはいいデザートだね。今の季節が一番いいらしいし、買い足しておこうかな。毎年いつでも食べられるように。
あとは……信玄餅。世菜さんたちはさすがにもういらないらしい。お腹いっぱいだって。
「ちゃんと食べないと大きくなれないよ?」
「うん。説得力がない」
『マジでそれ』
『一番ちみっこい魔女が何言ってんだw』
「むう……」
それはそうかもしれないけど。私のこれは、もう仕方ないやつだから。
壁|w・)いっぱいたべておっきくなろう!
ちなみに、カレーはまだ残ってます。





