信玄餅のソフトクリーム
さっと見学を終えて、あとはお買い物。信玄餅を買ったら師匠と合流しようかな。
「あのね! あのね! リタちゃん!」
「ん?」
「ソフトクリーム、一緒に食べよ?」
さっきの女の子が私の手を引いてくる。ソフトクリーム。以前食べたね。ここにもあるんだ。それならそれも食べていこうかな。
『そこのソフトクリームは信玄餅を使ったやつでな』
『めちゃくちゃ美味い。マジで美味い』
『絶対に食べるべき』
おー……。なんだか、すごく期待できそう。
女の子に連れられて歩いていく。ご両親が前を歩いていて、こっちの様子になんだか笑っていた。ちょっとだけ恥ずかしい、かもしれない。
案内された先は、この施設のカフェ、らしい。大きく、信玄餅ソフトって書かれてる。黒蜜もたっぷりかかってるみたい。写真で分かる。きっと美味しい。
店員さんに注文すると、少し驚きながらもすぐに渡してくれた。
「はい、どうぞ。割れやすくなっているから、底を持ってね」
「ん」
底が平べったいコーンに入ったソフトクリームだ。ソフトクリームそのものにもきなこか何かを使ってるのかな。ちょっと黄色い。そんなソフトクリームにたっぷり黒蜜がかかってる。
信玄餅も入っていて、あとは細長いお菓子も。なんだか豪華なソフトクリームだ。
『やばいめっちゃ美味そう』
『通販で信玄餅は買えてもそれは買えない……つらい……』
『これは行くしかないですねえ!』
コメントも賑やか、だね。それじゃあ、一口。
「おー……。すごく冷たい。ひんやりしてる……。信玄餅も、冷たくてちょっと固いね……」
信玄餅っぽくなくなってる気がする。口に入れて、ちょっと転がして……。
「あ、でも、口に入れていたら柔らかくなってきた。信玄餅だ」
『その信玄餅をください』
『ぺっとしてわたくしどもに……』
『やべえ変態がいるwww』
『お前らめちゃくちゃ大勢の人がいるのによく言えるなあw』
さすがに吐き出したりしないよ。美味しいし。
一緒に入ってるお菓子も柔らかすぎず固すぎず……。ちょっと不思議な食感。これも美味しい。全体的に冷たいけど、だからこそ美味しい。そんな感じ。
「あ、割れた」
そしてコーンは本当に割れやすい。気をつけて持たないと。
うん……。完食。美味しかった。これもお土産に買って帰ろう。アイテムボックスに入れておけば、溶ける心配とかはないから。
「十個ください」
「え……。あ、はい!」
店員さんが慌てた様子で、でもてきぱきと用意してくれる。できあがったものからアイテムボックスへ。真美とちいちゃんにもあげようかな?
「教えてくれてありがと」
「いえいえ! またね! キャンプ楽しんでね!」
「ん」
女の子たちと最後に写真を撮って、手を振って別れた。
あとは、信玄餅。売店も側にあって、これもすぐに買うことができた。たくさん買ったから、師匠と一緒に食べよう。
転移して、アウトドアグッズが売ってるお店に戻ってきた。師匠は……。
「写真お願いします!」
「あー……。はいはい。どうぞお好きに。ポーズとかはとらないからな」
「はい!」
お店の出口あたりで、いろんな人に写真を撮られてる。有名人、だね。
『なんかすごいことになってるw』
『店員さんもしれっと撮ってて草なんだ』
『よっしゃコウタの写真撮れた!』
『視聴者もいるしw』
いつも思うけど、何がいいんだろうね。私も撮られるのは別に構わないけど。
とりあえずたくさんの人だかりを進んでいって、師匠の元に向かう。するとみんな私にも気付いてくれたみたいで、すぐにちょっと横に移動してくれた。みんな優しい。
「師匠」
「お。おかえり、リタ。フルーツは食べたか?」
「ん。あと信玄餅も食べた。美味しかった」
「はは。それはよかった」
そうして話していたら、たくさんの人が写真を撮ってきてる。みんな好きだね。
「それじゃあ、そろそろ行くか。キャンプに」
「ん」
「予約しておいたから、ほら」
師匠が手を差し出してきたから、きゅっと握った。転移は師匠にお任せだ。
最後に、みんなに挨拶。振り返って、握ってない方の手でふりふり。写真がいっぱい撮られてる。これぐらいでいいかな?
『よっしゃふりふりの生写真だあああ!』
『ちくしょう羨ましいぞ!』
『買い物直後から車をかっ飛ばしたかいがあったってもんだよ!』
「なんというか……。サービス精神あるよな……」
「ん?」
「いや、なんでもないさ。とりあえず行こうか」
「ん」
キャンプ。楽しみだね。わくわくだ。師匠の魔法に身を任せて、私は師匠と一緒に転移した。
壁|w・)信玄餅のソフトクリームはちゃんと実在します。
すごく美味しいらしいですよ……!
次回からキャンプなのです。





