そばめし
壁|w・)ここから31話のイメージ。
そろそろ八月も終わりが見えた頃。私はゴンちゃんのお風呂を堪能していた。
「んー……」
「それほどに気持ちがいいのか?」
「ん」
ゴンちゃんは不思議そうにしてるけど、とても気持ちいい。私は好き。でも、師匠はどうして入らないんだろう。不思議だ。
ゴンちゃんにお風呂作ってもらうから一緒に入ろうって誘ったら、何故か断られてしまった。師匠もお風呂好きのはずなのに。
「そうだ。真美におもちゃをもらったんだった」
アイテムボックスからおもちゃを取り出す。ひよこ。お湯に浮かせるんだって。とりあえず、ぽちゃんと浮かせてみる。おー……。ぷかぷか浮いてる。かわいい、かもしれない。
…………。えっと……。これだけ、かな?
ひよこをつついてみる。ぷかぷか浮かぶだけ。うん。なんだろうこれ?
よく分からないけど、かわいいからいいかな。
お風呂を出て、フルーツ牛乳を飲みながらお家に戻る。お家では師匠が本を読んでいた。
「おかえり、リタ。今日は日本に行くんだったな」
「ん。山梨に行く予定。その前に真美のお家にお昼ご飯を食べに行く」
「そっか」
「師匠も来る?」
「さすがに遠慮しておくよ」
苦笑いしながら師匠はそう言った。
師匠は、真美のお家に行く時はあまり同行してくれない。なんだか、ちょっと遠慮してるらしい。気にしなくてもいいと思うのに。真美は絶対に気にしないから。
「俺のことは気にしなくていいんだよ。友達の家に遊びに行くのに、親が同行するのはおかしいからな」
「ん……。師匠、いなくなったらだめだよ?」
「何を警戒してるんだよ……。。いや原因は俺だけどさ……」
ふらっといなくなりそうで、ちょっと不安。大丈夫のはずだけど。
精霊様も言ってたから。前みたいなことがないように、他の星からの未知の召喚術式は弾くようにしておいたって。しばらくの間は、らしいけど。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ。気をつけてな」
師匠に手を振って、真美のお家に転移した。
今日はお休みみたいで、真美はキッチンでお昼ご飯を作っていた。
「あ、いらっしゃい、リタちゃん」
「ん。お邪魔します。ちいちゃんは?」
「お母さんとお出かけしてるよ」
「そうなんだ」
椅子に座って、お昼ご飯を待つ。真美はフライパンを揺らして何かを作ってる。香ばしくて、いい匂い。ソースとか、そんな感じの匂いだと思う。
それじゃあ、配信、と。
『お、はじまた』
『相変わらず告知なく始まるなあw』
『挨拶は?』
今日はなし。ご飯ができるまでのんびり雑談だ。
『真美ちゃんが料理してる……!』
『てことはお昼ご飯待ちか』
『お昼ご飯の予定は?』
「さあ……。まだ聞いてない」
真美の料理ならきっと美味しいから、私は楽しみに待つだけだ。
そうしてのんびりと待っていたら、真美がフライパンで炒めていたものをちょっと大きめのお皿に移し始めた。ご飯、かな? なんだかちょっと茶色っぽいけど。
「真美。真美。それなに?」
「うん? そばめしだよ」
「そばめし」
なんだろう。そばとご飯を混ぜたもの、かな?
『冷凍のそばめしよく食べてる。うまいよね、そばめし』
『ソース好きにはたまらないんだこれが』
どんな料理かな。気になる。
真美がお皿をテーブルに並べてくれた。ちょっと大きなお皿に、こんもりと盛り付けられてる。ご飯がいっぱい、と思ったけど、ちょっと違うものも混ざっていた。
これは……麺、だね。茶色いから、焼きそばかも。つまり、そばめしは……。
「焼きそばとご飯を混ぜたもの?」
「簡単に言うとそうだね」
おー……。よく見ると、麺が細かくちぎられてご飯に混ざってる。ご飯もちょっと茶色くなっていて、ソースを混ぜて焼いたのかも。とてもいい香り。
スプーンを持って、早速食べてみる。ぱくりと。
ん……。焼きそば味のご飯、みたいな感じ。味は焼きそばなのに、焼きそばみたいにすするわけじゃなくて、ご飯みたいに食べる。なんだかちょっと不思議だけど、ソースで濃厚に味付けされていてとても美味しい。
お肉とかもちゃんと入れてくれてる。一緒に炒めたのか、そっちにもソースが絡まってるみたい。全部ソース味。ソースが好きなら、きっとこれも好きだと思う。
うん……。うん。すごく美味しい。
「美味しい」
「そう? よかった」
「ん」
これは、とてもいいもの、だね。お代わりもさせてもらおう。
お昼ご飯のそばめし、とても美味しい。また食べたい。
壁|w・)ソース大好きな人におすすめ!





