表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
337/485

動物園のパン屋さん

 入場券を買って、中に入る。ちょっと長い道を最初は歩くみたい。最初はどんな動物かな。


「あ、そうだ。名前、なに?」


 学生さんの名前をまだ聞いてなかった。ちょっと呼びづらいから聞いておきたい。


「え、あ、その……。ふみ、です。漢字で文って書いて、ふみ……」

「ふみさん。よろしく」

「よ、よろしくお願いします……」


『ほーん。ええ名前やん』

『でももうちょっとはきはき喋ってほしいなあ』

『性格もあるだろうし変なこと言うな』


 案内してくれるなら、私は特に何かを言うつもりはないよ。

 最初に長い道を歩いて……歩いて……。あ。


「パン屋さんがある」

「あ……」


『あ』

『あーあ』

『先に食べ物を見つけちゃいましたか』


 大きなソフトクリームの模型が目立つパン屋さんだ。動物園の中にある、ということは、入場券を買って入った人しか買えないのかな。ちょっと特別感があるかもしれない。

 パン。食べたい。


「その……。寄る……?」

「ん」

「じゃあ……はい。行きましょう」


 ということで、まずはパン屋さんだ。

 パン屋さんに入ると、香ばしいパンの香り。食欲をそそられるね。ケースを見ると、たくさんのパンが並んでる。どれも美味しそう。でもそれより、気になるものがあった。

 クッキー。動物クッキーだって。おもしろい。買いたい。


「クッキーください」

「はい、いらっしゃいま……」


 店員さんが固まってしまった。いつものやつだね。ちょっと待つと、すぐに笑顔になった。


「はい。動物クッキーですね。どれになさいますか?」

「全部」

「ぜん……」


 また固まってしまった。


「あ、あの……。他の人も……お土産に買うので……。ほどほどで……」

「ん……」


 ふみさんに注意されてしまった。そっか。そうだね。買い占めると迷惑になるかも。いつかのコーヒー牛乳の時もそうだったのに、反省しないと。


『おお、ふみちゃんえらい』

『ちゃんと注意できるなんて……!』

『俺なら普通に流して見守ってそうw』

『わかるw』


 気にせずに言ってくれていいんだけどね。特に変なことをしそうになったら、ちゃんと注意してくれた方がいい。

 真美たちへのお土産、師匠と精霊様へのお土産、それに自分用に三セット買わせてもらった。あとは、パン。どれも美味しそうだから、全種類一個ずつ。


「ふみさんは? 何か食べる?」

「え、いえ……自分で……」

「じゃあメロンパンで」

「え」


『強制w』

『拒否権などないのだ!』


 私だけ食べるのもちょっと嫌だから。

 パン屋さんを出て、歩きながら食べる。パンは少し小さめだけど、さくさくしていてとても美味しい。クッキーも、さくさくしていて美味しい。見た目もかわいいし、いいお土産かも。


「美味しいね、これ」

「は、はい……。美味しい、です……」


 ふみさんもちゃんと食べてる。よかったよかった。


『今更だけど、いまってお昼過ぎじゃん?』

『お、そうだな』

『ふみちゃん、お昼ご飯食べた後では? お腹減ってないのでは?』

『あ』


「あ」


 言われてみれば、そうだ。私も師匠と回転寿司を食べたところだった。私はいくらでも食べられるけど、ふみさんはさすがに無理に決まってる。

 ふみさんを見てみる。どことなく、苦しそうな気がするけど……。


「あ、いえ、あの……。大丈夫、ですよ……? お腹、減ってますから……」

「お昼ご飯食べてないの?」

「いえ、食べました……。でも八分目だったので……余裕、です……」

「それならいいけど……」


 さすがに無理して食べてほしいわけじゃないから。うん。ちょっと悪いことをしてしまったかもしれない。帰りにどうせここを通るだろうし、その時にした方がよかったね。気をつけないと。

 それはそれとして、パンはとても美味しい。結局全部食べてしまった。


「満足」


『いや食べ過ぎぃ!』

『信じられるかい? この子、寿司を百皿以上食べた後なんだぜ』

『太らないって本当に羨ましい』


 魔力に変換してるだけ、だけどね。

 よし。おやつも食べたし、次はちゃんと動物を見よう。

 最初に入ったのは、広めの公園になってるような場所。たくさんの鳥を見れるらしい。なんだか自然がたっぷりの場所で、池とかもいっぱいある。その中にある細い道を歩いていく、みたいな感じだ。

 歩きながら柵の向こう側を見てみると、たくさんの鳥がいた。ぺたぺたと歩いていく鳥や、池の上を浮かんでる鳥とかたくさんいる。どの子も小さくて、結構かわいい。


「おー……」

「かわいい、ですよね……。運が良ければ……たくさんのヒナも……見れるかも、です……」

「そうなの?」

「だいたい初夏……ぐらい、です……」


 んー……。もうちょっと早く来ないといけなかったってことかな……? ちょっと残念だけど、また来年、来たらいいかな。その時の楽しみにしよう。

 ぐるっと回って、次の場所に向かう。次はなにかな?


壁|w・)動物クッキーもぐもぐ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] クッキー買い占め阻止 かくして、お菓子売場の危機は去った 後の「クッキー危機」である。 いったい何が始まるんです? 大惨事魔女対親御さんのクッキー大戦だ クッキーを巡るし烈なクッキー…
[一言] うむ、尊い(脳死) そういやコウタは何してるんだろ
[一言] >『でももうちょっとはきはき喋ってほしいなあ』 (ガシッ)貴様、ちょっとこっち来い 一度だけ言う。よく聞け 文ちゃんのそこがいいところだろうがーーーーーーー!このたわけがああああああ!…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ