表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

315/473

バウムクーヘン


 少し上空まで来てから、次を考える。後はバウムクーヘン、だね。場所はどこかな?


「ばうむくーへん、どこ?」


『そこからわりと近いはず』

『めちゃくちゃ広いお店というか施設というか』

『見えない?』


 上空から見えるぐらいに大きいのかな。とりあえずもうちょっと高く飛んで……。ん?


「もしかして、あの広い草原みたいな場所?」


『そうそうそこそこ』

『最近の滋賀県の名所だよ』

『お店で焼きたてできたてのバウムクーヘンとかも食べられる』

『もちろんお土産もあるぞ!』


「へえ……」


 じゃあ、行ってみよう。近いから転移もせずに近づいていって、たくさん車がとまってる場所に下りてみた。せっかくだしここから歩いてみようかな。

 周りの人がびっくりしてるけど、いつものことなので気にしない。バウムクーヘン楽しみ。


「おー……。すごく広い。なんだか日本とは違う場所みたい」


『ちょっとした映画のセットだと言われても納得するよね』

『なんか、昔の日本って感じ』

『いやどんだけ昔なんだよw』


 草葺きっていうのかな? そういう屋根の建物があって、おもしろいと思う。

 しばらく歩くと、建物に入れた。お土産を買える場所もあるみたい。でもとりあえずは、食べてみたい。どこかに食べられる場所があるかな?

 周囲を見回して探していたら、小さい女の子がこっちに走ってきた。ちいちゃんぐらいの女の子。私の側まで来ると、じっと見つめてくる。なんだろう。


「りたちゃん!」

「ん……。リタ、です」


『なんで敬語なんだリタちゃんw』

『どうした急にw』


 いや、なんとなく。

 女の子はにぱっと笑うと、私の手を取った。私も小さい手って言われるけど、それよりも小さい手。なんだかかわいい。


「おかし、たべよ?」

「えっと……」

「やきたて! もうすぐ、わたしのばん!」

「ん……?」


 引っ張られるのでついていってみる。女の子に案内された場所は、カフェの入り口。そっか、ここで食べられるんだね。

 たくさん人が並んでいたけど、女の子はその先頭の方にいる男女二人の方に向かっていた。両親かな?


「おとーさん! おかーさん! りたちゃん、いた!」

「カナ! いったいどこに行って……」

「心配して……」


 そして私を見て、口をあんぐりと開けて固まった。気付けば周囲も私を凝視してる。あ、写真撮り始めた。えっと……。ピースでもしてあげよう。


『最近サービスしすぎじゃないかなあ!?』

『俺も! リタちゃんのピースを撮りたい!』

『施設にいるワイ、入り口の順番待ちで泣きそう』


 そうしている間に、女の子の両親が我に返った。少し戸惑いつつも挨拶してくる。


「その……。初めまして。斉藤一樹といいます」

「斉藤ひまりです。カナがご迷惑をおかけしたみたいで……」

「大丈夫。私もバウムクーヘンを食べられるところを探していたから」


 むしろこうして案内してくれて助かったぐらいだ。でも人の列があるから、ちょっと並ばないといけないけど……。


「ああ、それなら……。その、よければご一緒にいかがですか? 次に呼ばれますが……」

「ん? いいの?」

「はい。むしろ是非ご一緒に」


 そういうことなら、お言葉に甘えたいと思う。私も長い時間待ちたいわけじゃないから。

 少し待つと、すぐに呼ばれて席に案内された。店員さんは私を見て驚いてる。

 案内された席でメニューを見て……。やっぱり、焼きたてのバウムクーヘンかな。リンゴジュースのセットというのがあるから、それにしよう。

 斉藤さんたちと一緒に注文して少し待つと、運ばれてきた。小さめのバウムクーヘンにジュースのセット。フォークももちろんある。早速食べてみよう。


 フォークでバウムクーヘンを少し切り取って、口に入れる。

 おー……。ほんのり温かくて、すごく柔らかい。ふわふわだ。それでいてバウムクーヘンの食感も損なわれてなくて、外側の砂糖かな? そのシャリシャリ感もいい感じ。

 お皿の隅にクリームがちょっとあって、それにバウムクーヘンをつけて食べるとまた違った味わいでとても美味しかった。


『焼きたてのバウムうまそう』

『生クリームがあるのもいい』

『ふわふわとシャリシャリの調和がいいんだよここは』

『何を語ってるんだお前はw』


 うん……。すごく、美味しい。リンゴジュースもなかなか。


「おいしーね!」


 その声に目を向ければ、カナちゃんがフォークを片手ににこにこしていた。


「ん。美味しかった」

「えへー」


『にこにこしてる』

『なんだこの子かわいいぞ』

『リタちゃんと幼女が幸せそうで見てる俺も幸せだ』


 それはちょっと意味が分からないけど、美味しいものを食べている時はとても幸せ。

 食べ終わった後は斉藤さんたちと外に出て、写真を撮った。その場にいる人全員とはさすがに難しいから、今回は斉藤さんたちだけ。人数が多すぎるからね。


「それじゃあ、カナちゃん。またね」

「うん!」


 斉藤さんたちに手を振って、店内に戻った。まだお土産を買ってないから。


壁|w・)焼きたてバウム!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  バウムクーヘンは店ごとに味がかなり違うよね、私は出来立ても好きだけど冷やしてしっとりとした甘みが濃厚になったのが好きかな。そして上に乗せるクリームは素朴系が好き。
[一言] 描写的に割り込みになるから よろしくはないんだろうけど 幼女と幼女?が無邪気に笑い合ってたら こう、、、なんというか許しちゃうよね
[一言] このバウムクーヘンはきっと東京の日本橋でも食べられるやつ! でも、琵琶湖の方で食べたのは本当に美味しかった。 あー、また行きたくなってきたw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ