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初めてのカツカレーありしあばーじょん


 晩ご飯もお昼ご飯と同じようなもの。調味料を使って焼いたりとかはするけど、だいたいは同じものが出てくるみたい。好みもあるから自分でやる方で別にいいけど。

 でも、私は美味しいものが食べたい。なので。


「アリシアさん。カレー食べる?」

「食べる!」

「ん……」


『食いつきがすげえw』

『精霊の森で一度食べたのを気に入ってたんだな』

『世界一美味しいとか言ってたからなw』


 気持ちはとっても分かる。カレーは世界一、いや宇宙一美味しい。


「特にカツカレーがとても美味しい」

「なにそれ」

「あ」


『リタちゃんwww』

『思ったことを口に出したなw』

『アリシアさんの物欲しそうな顔がw』


 えっと……。さすがに今はちょっとないけど……。アリシアさんがじっと見てる。じっと、じいっと見つめてくる。どうしよう。えっと、どうしよう。


「ま、待って……」

「わかった」


 ちょっと離れて、アリシアさんには聞こえないようにして……。


「真美。真美。たすけて」


『うん。ちょうど今日の晩ご飯はトンカツにするところだったから、多めに作っておくね』

『即座に反応する推定真美さんさすがです』

『反応早すぎてもはや怖いんですがw』


 さすが真美だ。とても頼りになる。それじゃあ……。


「アリシアさん」

「うん。ごめん、無理そうなら別に……」

「作ってくれる人からもらってくる。ちょっと待ってて」

「え」


 アリシアさんにそう言って、日本に転移。行き先はもちろん真美のお家だ。

 真美のお家に転移すると、ちょうどトンカツを揚げる独特な音がキッチンから聞こえてきたところだった。じゅわあ、なんて音。とても楽しみになる。


『いい音』

『これだけでお腹が減るよね』

『牛丼を定食で食ったけどちょっとトンカツ定食食ってくるわ』

『おい待て早まるな』


 キッチンに行くと、ちいちゃんが椅子に座って足をぷらぷらさせていた。ご飯を待ってるみたい。私を見つけて、あ、と声を上げて、ちょこちょここっちに走ってきた。


「ん……。こんばんは、ちいちゃん」

「こんばんは!」


 ひしっと抱きついてくる。とてもかわいい。なでなで。


「あ、リタちゃん、もうちょっと待ってね」


 真美が振り返ってそう言った。無茶を言ってしまったのは私の方だから、ゆっくり作ってほしい。いくらでも待つよ。


「さすがにカレーを作る時間はないから……。そっちはレトルトでお願いしてもいい?」

「ん。大丈夫」


 欲を言えば真美のカレーライスが食べたいけど、そんなにすぐ作れるものじゃないのは知ってるからわがままは言えない。トンカツを揚げてる間は離れられないだろうし。

 そうして少し待つと、真美がトンカツをお皿に入れて持ってきてくれた。大きめのトンカツが二枚。揚げたてサクサクだ。


『あああめちゃくちゃうまそおおお!』

『トンカツ定食おかわりいくか……!?』

『おいばかやめろ、せめてトンカツだけにしろ』


 さすがは真美だね。香りもとってもいいし、美味しそう。


「切っていく?」

「あっちで切る。ありがとう、真美」

「いえいえ。いつでも言ってくれていいからね」

「ん」


 真美には本当に感謝だ。カツカレーが食べられる。

 もう一度真美にお礼を言って、ちいちゃんを撫でてあげてから、アリシアさんのお家に再度転移。アリシアさんは小さい木の実をちまちまと食べていた。


「戻った」

「うん。おかえ……」


 アリシアさんの言葉が途中で止まった。じっと、私が持ってるお皿を見てる。


「なにそれ」

「これがトンカツ。カレーはこっち」


 あらかじめ温めておいたご飯もお皿に出して、レトルトカレーをとろりとかける。次にナイフでトンカツを切る。トンカツを切るこのさくりとした感触と音がとても好き。

 さくり、さくりと切っていると、アリシアさんがじっとそれを見つめてきた。


「リタ。ちょっとだけ」

「ん」


 一切れ渡してあげる。それを食べて、アリシアさんが目を剥いた。


「なにこれ美味しい……!」

「これをカレーライスにのせる。カレーがたっぷりかかったトンカツとご飯を一緒に食べる。とても美味しい」

「早く……!」

「ん……」


 もうすぐだから、もうちょっとだけ待ってほしい。


『やっぱりエルフはカレー好きなんか?』

『リタちゃんとアリシアさんだけがぶっ飛んでるだけだから……多分……』


 トンカツをカレーライスの上に並べて、できあがり。結構いい見た目になったと思う。どれも私が作ったわけじゃないけど。


「それじゃあ、いただきます」


 アリシアさんと一緒に手を合わせて、いただきます。アリシアさんも真似してくれてるみたい。

 そうして早速アリシアさんがカレーライスをトンカツと一緒に口に入れた。


「これは……とても美味しい……!」

「ん。私が一番好きなごはん」

「とても分かる。こんなに美味しいのは食べたことがない」

「特にトンカツがいいでしょ? 友達が作ってくれた」

「へえ……。すごい友達だ」

「ん。自慢の友達」


『やめて恥ずかしいからやめて』

『絶対真美ちゃん顔真っ赤だぞこれ』

『嬉しくてによによしてるだろうな、俺には分かるんだ』

『やめて!』


 でも本当に感謝してるし、自慢もいっぱいしたい。真美はとってもすごいのだ。

 アリシアさんと一緒にカツカレーを完食。とても美味しかった。

 あとは寝る用意をして……。今日は、どうしよう。

「リタ。私の布団はあまり使ってない。とても柔らかい」

「ん?」

「一緒に寝よう」

 それは……。どうなんだろう。私は別にいいけど。野宿の時は結局毎日帰っちゃったし、今日ぐらいは一緒に寝てもいいかな。

 そう思ってお布団に入ったら、アリシアさんに抱き枕にされてしまった。別にいいけど、ね。


壁|w・)余計なことを言ったと焦るリタと知らない食べ物に興味津々なアリシアさん。

それに巻き込まれて褒め殺しに合う逸般人真美さん。の図。


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― 新着の感想 ―
[一言] 翌日の学校でも真美ちゃんがからかわれるまでセットw
[一言]  コ〇イチで鍋を持っていけばカレーを入れてもらえるとか、それを知って思い浮かべた鍋は寸胴な調理鍋でした。毎食でも食べれるけど冷蔵庫に入りきらんから諦めた。そしてお供にカツだけをストックに大量…
[気になる点] トンカツニキ食べるの早くね?すでに牛丼喰ってるとは思えん・・・(2~3人前食べてみたいなぁ
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