表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

292/473

つーん


 お腹を押さえるギルドマスターさんに別れを告げて、私は精霊の森に戻ってきた。アリシアさんは準備のために街に残ってる。精霊様の報告は私一人だけだ。

 世界樹の前に行くと、すぐに精霊様が出てきてくれた。その顔は、少しだけ不機嫌そうに見える。


「精霊様」

「他の精霊たちから聞きました。エルフの里に行くそうですね」

「ん」


 小さい精霊たちはどこにでもいるというのは知ってるけど、まさか精霊様にすぐに報告したとは思わなかった。それだけ精霊様も気にしてくれていたのかも。

 精霊様はまっすぐに私を見て、言った。


「リタ。本当に、エルフの里に行くのですか?」

「ん」

「どうして? やはり、本当の両親に会ってみたいのでしょうか」


 不機嫌そうと思ったけど、違うみたい。むしろ、元気がなさそう、かな? どうしたんだろう。なんだか私の顔色をすごくうかがってるのが分かる。あまり見ない反応だ。


『そりゃ単純にリタちゃんを案じてるんだと思うよ』

『あとは、不安なのかも。ここを出ていって里で暮らす、とか言われないかとか』

『あり得そうw』


 私はないと思うけど……。でも、そうかもしれない。でないと、精霊様の不安そうな顔に説明ができないから。


「ちょっとどんな人なのか見てくるだけだから、心配しないでほしい」

「はい……。帰ってきますね?」

「ん。私の家はここだから」

「ああ……。ありがとうございます、リタ。やはりあなたは優しい子ですね」

「ん……」


 精霊様に撫でてもらえて、私もとても嬉しい。ただ、でも、そうだね。


「信用してもらえてなかったのは傷ついた。とても深く傷ついた」

「え。あ、違うんですよリタ! そういうことじゃなくてですね……!」

「つーん」

「リタ!?」


『なんだこれwww』

『ケンカというか……リタちゃんが拗ねちゃった感じ』

『信用されてなかったと思ったら怒る気持ちも分かるw』


 そういうこと、だね。

 その後は寝るまで精霊様がべったりしてきた。これはこれで楽しかった、かな。




 翌日の朝。私は王都の門に転移すると、すでにアリシアさんが待っていた。アリシアさんの側には以前テイムしたフェンリルのランもいる。アリシアさんに体を撫でられて尻尾を振っていて、とても大きいのにちょっとかわいい。


『でっかい狼だー!』

『そういえばいたなあ、こいつw』

『アリシアさんが物理でテイムしたフェンリルちゃんですね!』

『物理でテイムってなんやねん』


 そのままの意味だったよ。上下関係を分からせた、て言ってたから。


「アリシアさん。おはよう」

「おはよう、リタ。もふもふする?」

「する」


 私もランを撫でる。前よりもふわふわになってる。アリシアさんが手入れを頑張ったのかも。ランがアリシアさんに懐いているのもそれが理由かな?

 でも私に対してはとても怯えてるみたいだけど。さっきも触る瞬間にビクッとしてたし。


『大きい狼が小さいリタちゃんに怯えまくってるの草なんだ』

『警戒心丸出しでちらちら見てるからなw』

『怯えるランちゃんもかわいいね……』

『やべえやつがいるぞ!』


 たっぷりもふもふを堪能してから、エルフの里に向かうことに。どうやって行くのかな?


「それじゃあ、リタ」

「ん」

「乗って」

「ん?」


 アリシアさんがさっとランに跳び乗った。つまり、ランに乗って移動、ということかな。それじゃあ、遠慮なく。アリシアさんの後ろ側に座る。


「どう?」

「ん……。すごくもふもふ」


 これはとてもいいもふもふだ。落ちないように魔法で軽く固定してから、ごろんと横になる。全身でもふもふを感じられるのはとてもいいと思う。気持ちいい。


『あれ、めちゃくちゃ羨ましいんだけど』

『いいなあいいなあ、俺ももふもふにごろんとしてみたいなあ!』

『こっちにはさすがにおとなしくて大きいもふもふとかほとんどいないからな……』


 こっちも同じようなものだと思う。あくまでアリシアさんがいるからおとなしいだけで。


「ランで移動すれば一週間程度でたどり着く」

「ん……。じゃあ、短縮」

「え?」


 ランに強化の魔法をかけてあげる。私の魔力で無理矢理強化してるようなものだからちょっと痛いと思うけど……。ランはとっても強い子。だから大丈夫。


「ね?」


 私が聞くと、ランはこくこくと頷いた。うん、問題なしだね。


『アリシアさんが物理でテイムなら、リタちゃんは魔法でテイムか』

『さすがにちょっとかわいそうになってくるわw』

『がんばれ、ランちゃんがんばれ……!』


 そんなに痛くないはずだよ、多分。少し呆れたようなアリシアさんの視線を感じるけど、気にしないことにする。

 それじゃ、改めて出発だ。


壁|w・)おっきいもふもふ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 精霊様に伝わるのが早い つまり、精霊様の誕生日のサプライズパーティーやどっきり企画は不発に終わる。 [気になる点] ギルマスの胃腸。たぶん倒れたら 〉う、此処は何処じゃ? 〉落ち着いて聞…
[良い点] 拗ねたリタちゃんもかわいい。 [一言] 最近Y◯uTubeで見たアラスカン・マラミュートがでっかくてもふもふでした。 フェンリルはもっとでっかくてもふもふなんだろうなぁ。
[一言] 師匠「痛みを強要する子に育てた覚えはありません!」 リタ「ここ数年育てられた覚えはありません!」 こうですかわかりますん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ