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日本へのお土産

壁|w・)ここから22話のイメージです。


 今日は真美との約束の日。真美の学校を体験する日だ。

 でもその前に。私は自分の世界のギルドにいた。森に近い街のギルドだ。部屋にいるのは、ミレーユさんとセリスさん。二人とも、神妙な面持ちだった。


「リタさん……もう一度聞きますわ……」

「ん」

「お土産になるものが欲しい、食べ物で、ということですわね」

「そう」


 もちろん上げる相手は日本の人たち。さすがにそれは言えないけど。

 ミレーユさんは深く頷いた後、大きなため息をついた。


「ずいぶんと改まった様子でここに来たから、闘技場で何かとんでもないことがあるのかと思いましたわ……」

「本当にね。思わず身構えてしまったわ」


 二人そろってため息をついてる。勝手に緊張してただけなのに、失礼だと思うよ。


「お土産なら本来は日持ちするものを選ぶのですけど……。リタさんの場合、それは気にしなくてもいいですわね?」

「ん」

「ふむ……」


 ミレーユさんが腕を組んで考え始めてる。その間にセリスさんを見ると、こっちも考えてくれてるみたいだった。おとなしく待っておいた方がいいかな。


「リタさん。それはどういう相手に渡すのかしら」

「んー……。何も知らない人」

「本当にどういう人なの……?」


 それは内緒だから言えない。

 先に答えが出たのはミレーユさん。軽く手を叩いて、それならと立ち上がった。


「料理を提供すればいいですわ!」

「料理?」

「そうですわ。ここの名物と言えば、わたくしの宿のあの料理でしょう!」


 あのキャスティボアっていうやつの丸焼きかな。確かにあれは、この世界の料理にしてみれば美味しかったと思う。日本の人たちは食べたことのない味付けだろうし、珍しさではちょうどいいかも。


「問題は材料ですけれど……」

「集めてくる」

「そうですわね。リタさんならすぐでしょう」


 精霊の森の素材なら問題なく集められるからね。お礼もその材料で渡せばいいかな。

 とりあえずは材料集め。まずは何が必要なのか聞きに行こう。


「セリスさんも、考えてくれてありがとう」

「私は役に立てなかったけどね……。ところで、闘技場には参加するつもり?」

「んー……。考え中」

「そう。隠遁の魔女の勇名が届くのを楽しみにしてるわ」


 楽しみにされても困るけど。

 セリスさんに手を振って、私はミレーユさんを連れて宿に転移した。

 転移した先はミレーユさんの宿の部屋。客間に使ってる方だ。ちょうどメグさんが掃除をしていて、私たちを見て目を丸くしていた。


「わ……。びっくりした。ミレーユ、おかえり。リタ様も、ご無沙汰しております」

「ちょっと、メグ! わたくしへの態度をもう少し……」

「せめて出した本を戻すことを覚えてから言って」

「あ、はい……ごめんなさい……」


 何というか……。二人の力関係が分かるね。

 とりあえずミレーユさんは材料を聞きに行くらしい。私はここで待機だ。材料が分かったら、さくっと集めて作ってもらおう。

 そう思って待っていたら、すぐにミレーユさんが戻ってきた。


「戻りましたわ。キャスティボアはちょうど仕入れたところで、お肉は問題ありませんわ。香草などですけど……これですわね」


 そう言ってミレーユさんが見せてくれたメモには、たくさんの素材の名前などが書かれていた。野菜とか、香草とか、いろいろ。全部精霊の森でとれるものだ。つまり、すぐに手に入れることができる。


「料理の時間ってどれぐらいかかるの?」

「え? わたくしの炎を使えば、お昼過ぎには……」

「ん……。ちょうどいいぐらい、かな?」


 じゃあ早速集めに行こう。ミレーユさんに手を振って、次は精霊の森の自宅前に転移した。




 精霊の森で言われた通りのお野菜と香草をとってきて、ミレーユさん経由で宿の人に渡して。料理ができるまでは、ミレーユさんとのんびり。最近の出来事とか教えてもらった。別に大きなことはないみたいだけど。


「そういえば、隠遁の魔女の出身地ということで、観光客が少し増えましたわ」

「ん……? なんで?」

「あなた、わりと有名になってますわよ?」


 聞いてみると。僻地にふらっと現れては依頼を消化してまた旅立つ変な魔女、ということで有名になってるらしい。その上、王都での一件も広く知られてしまったらしくて、それも含めてどんな魔女なのか調べに来る人が増えたのだとか。


「ここに来ても何も分からないと思う」

「ですわね。リタさん、ここで魔女として活動したことはほとんどありませんし」

「ん」


 精霊の森の調査とかスタンピードのこととかあるけど、魔女として誰かと会話したことはかなり少ないと思う。隠遁の魔女の出身がこの街、ということすら知らない人が大多数じゃないかな。

 出身は精霊の森だけど、それこそ限られた人しか知らないし。


「最近ギルドは賑わいがありますから、ご興味があれば魔女としてのぞいてみるといいですわ。冷やかしに」

「冷やかしに」


 それはさすがに悪いと思うよ。セリスさんが怒りそう。

 お昼までそんな話をして、料理を受け取ってアイテムボックスに入れた。それじゃあ、真美のお家に行こう。


「ミレーユさん、いろいろありがと。また来る。メグさんも、ミレーユさんの面倒を見るのは大変だと思うけど頑張ってね」

「お待ちなさい、何ですかその評価は!? ねえ、なんですの!?」

「はい、がんばります!」

「メグ!?」


 不満に思うならもうちょっと自分で片付ければいいと思うよ。

 私は二人に手を振って、真美のお家へと転移した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 異世界の料理……とりあえず調理可能なものから [気になる点] 民芸品でもちいちゃん喜んでくれる 例えばペンダントとか色々 [一言] 拝読致しました。 異世界の食べ物はちきゅうの一般からお偉…
[一言] 自分の食事量を基準に、掛ける3人分・・・とか持って行って怒られそう。
[一言] 真美さん「配信見てたらリタちゃんが異世界動物の肉の丸焼き持ってくるって言ってた。どうしよう」 いつも通り一波乱起きる予感しかしない( ˘ω˘)
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