表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/473

スマホの宇宙進出

「んー……。他のも気になる……」


 おうどん、たくさん種類あるみたいだけど、どうしようかな。お持ち帰り、だっけ。それもやってるなら欲しいけど……。


「お持ち帰りってできる?」


 近くの店員さんに聞くと、言葉に詰まって困ったように眉尻を下げた。やってないってことだね。


「ん……。残念」

「ちょ、ちょっと待ってください……!」


 慌てたように奥に小走りで去ってしまった。ちょっと無茶なことを言ってしまったかも。あとで謝らないと……。

 そう思っていたら、カウンターの奥から中年ぐらいのおじさんが出てきた。私を見て、少し驚いたように目を丸くしてる。でもすぐににこやかな笑顔になった。


「リタちゃんだね。うどんを持ち帰りたいとか」

「ん。でも、やってないなら無理を言うつもりは……」

「そうだな。本来ならやってないけど……。でもせっかく来てくれたんだ。一杯ぐらいなら、器ごと持ち帰ってくれて構わないよ」


 内緒だぞ、とウインクというものをしてくれる。でも、その……。


「配信中だから内緒になってない……」

「…………。内緒だぞ!」

「あ、うん」


『草』

『いい店主さんだなあw』

『俺らは何も聞いていないし、この後に見るものもちょっと覚えられる気がしないな!』


 みんなで内緒、だね。


「それで? ご注文は?」

「んー……。オススメは?」

「あー……。肉うどんとざるうどんを食べたんだよな……。それなら、天ぷらうどんかな」

「じゃあ、それで」

「あいよ。ちょっと待っててくれよ」


 おじさんが中に戻っていく。私はアイテムボックスを開けておこう。ここに入れておけば、なかなか劣化しないから。暇な日のお昼ご飯にしようかな。楽しみ。

 待つこと数分。さっきのおじさんが天ぷらうどんを持ってきてくれた。肉うどんに似てるけど、お肉の代わりに違うものがたくさん載ってる。これが天ぷらなのかな。


「ちょっとサービスだ。とり天にえび天、そしてかき揚げ。アイテムボックス、というものの仕組みは一応理解してるつもりだけど、早めに食べてくれよ」

「ん。ありがとう」


 おうどんの器ごと、アイテムボックスに入れる。正直、今すぐ食べたくなっちゃうけど……。我慢。お楽しみにするから。


「ありがとう。ここのおうどん、とても美味しかった」

「こちらこそ、ここを選んでくれてありがとうよ。気をつけてな」

「ん」


 スマホの電子マネーでお支払いをして、お店を出る。いいお店だった。


「まだちょっと早いけど……。あ」


 そういえば、首相さんから連絡が来てたはず。スマホを起動させて、えっと……。こう、だっけ。こう……。


『もたもた』

『電子マネーには慣れたのに操作は慣れないなw』

『電子マネーはかざすだけだからw』


 自分でも研究前よりひどくなってる気がする。

 スマホのメッセージを呼び出して、首相さんからの連絡を確認する。結構前、私が研究中の時に送られていたメッセージみたい。また話をしたい、というものだったけど……。返信、遅すぎるかな。とりあえず、いつ、どこがいいかを送信しておこう。


「ああ、そうだ。電波を森まで届くようにするのを忘れてた」


『そんなこと言ってたなあ』

『また研究かな?』

『リタちゃん、晩ご飯忘れないでね?』


 それは大丈夫。竜カツカレーは私も楽しみにしてるから。生でもあれだけ美味しかったんだし、カツならもっと美味しいはず。

 でもその前に。やっぱり電波はどうにかしたい。


「んー……。よし。ちょっと研究してくる」


『マジでやるのかw』

『がんばれー』

『どれだけかかるかな』




 森に戻って亜空間に入って研究して。魔法を形にして精霊様に確認してもらった時には、おうどんを食べてから一時間が経っていた。配信魔法を真似して作ればすぐかなと思っていたけど、結構時間がかかってしまった。

 晩ご飯はまだ大丈夫、だよね。それを楽しみにしながら頑張ったから。

 電波の魔法陣はもらったスマホの裏に刻み込んだ。壊れないかちょっと心配だったけど、問題なさそう。魔法陣に魔力を流すと、すぐにスマホのアンテナって言うのかな、それが立った。


 この魔法陣、仕組みは配信魔法の簡易版と言えるものだ。配信魔法から映像も声も全て削除して、電波のみをやり取りする、そんな感じだね。ただ、さすがに常に電波を送受信することはできなくて、私が魔力を流している間のみになってしまった。

 こればかりは仕方ない。かなり無茶なことをしようとしていたのは自覚してるから。

 とりあえず、試しに真美にメールを送ってみよう。えっと……。ここを、こうして……。お、う、ち、か、ら……。送信。

 少し待つと、すぐに返信があった。


『もしかしてもう完成したの!?』


 驚いてるみたい。ちょっとだけ嬉しいかも。あとは配信で、だね。それじゃあ、いつも通りに配信開始、と。


「ただいま」


『おかえりゃー!』

『わりと早い気がする。行き詰まった?』


「んーん。完成した。試しに真美にもメール送ったよ」


『ちゃんと届いたし返信もした!』

『おおおおお!』

『すげえええ!』

『ついにスマホが宇宙に進出かあ……! 胸熱やな!』


 これで真美といつでも連絡が取れる。予定も聞きやすくなるからちょうどいい。

 首相さんからの返信も届いてる。えっと……。明日のお昼、東京のいつものホテル。渡したいものがある、だって。

 たまにお守りの依頼は受けてるけど、それとは違うみたい。なんだろう。


「まあ、いっか。とりあえず明日も日本で」


『やったー!』

『安価は!? 安価はやりますか!?』

『連続安価!』


「安価はしない」


 もう行く場所は決まってるから。晩ご飯をどうするか、ぐらいだ。


壁|w・)しれっと研究して話数を変えることなく一瞬で終わってますが……、いや何でもない。

スマホがリタの世界でも使えるようになりました。ただし常時接続型ではないので、リタが忘れるとやっぱり放置されたままになります。


次回は、竜カツカレー、の予定。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] みんなで『内緒(笑)』 次はドラゴンカツカレーだぁぁぁぁぁぁやったー\(^_^)/
[一言] リタちゃんの家まで電波が届くなら、ア○クサ的なスマートなんちゃらも置けるかもね …用途?ないなあ…ハハハ
[一言] あっ、付け忘れ。 ざるうどん、最近はうずらに卵がつくとこ少ないよねー。あと、うずらは有精卵だから異世界に持ち替えれば野生うずらが出来るかも(世話に失敗前提) ちなみに、ざるのツユには、私は…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ