目が覚めたら神がいた。
よろしくお願いします。
「はい、というわけで君は異世界に転生することになりました。」
「え?」
何を言ってるんだろう。まず、誰なんだろう。今この瞬間の何もかもが分からなかった。もしかしたら、目の前の人が何か知っているかもしれない。そう思って、俺はこの人に話しかけた。
「えっと、質問してもいいですか?」
「何?」
「あのー、あなたは誰なんですか。」
まず、対話をするには相手のことを知らなければならない。
とはいえ、名前すら知らない人とよくわからない場所で会話をすることが、まずおかしいのだが。
「あっ、ごめんなさい。説明を省きすぎたかも。というわけで、いちから説明してくわね。」
彼女は一呼吸置いてから話し始めた。
「わたしの名前はシュポン。三つの世界を司る神 兼 管理者です。」
シュポン、と彼女は名乗った。俺が聞いたこともない名前だった。昔の友人がが時を経て全然違う人になっていた、という可能性も考えていたが、それはなさそうだ。
「神、ですか? 本当に? 本当の本当に?」
「いやぁ、そこまで疑われると不安になってくるなぁ、でも神だと思う。一応強いし。うん。」
正直、信じられない。少しおかしいところもあるが、どう見ても目の前にいるのは人だ。もう一度確認する様に、俺は彼女を上から下まで見た。
ピンク色の髪、額には見たこともない模様があり、白色のローブを羽織っている。身長は自分と同じ168cmぐらいで、どこがとは言わないが心許ない。やっぱりおかしいところもあるが、人だ。
「遮ってすいません、続けてください。」
「いいよいいよ、どんどん質問して。じゃあ次は君のことについて話すね。まあ、簡単に言えば、君は死にました。」
「……。」
俺は死んだのか。
「あれ? 何も反応なし? 心の準備ができるまで待つつもりだったけど。」
そう言われて、気づいた。確かに俺はなんとも思っていない。今まで、自分は生に固執してきたわけじゃない。けど、ここまで何も感じないほど生に無関心だったか?俺は分からなかった。そういえば、なんで死んだんだ?
「まあ、進めましょう。なのでわたしは君を次の世界へ転生することにしました。そこでの君の目的は……」
ちょっと気になるワードが出たが、まずは我慢して死んだ原因を聞こう。
「ちょっと待ってください。僕はなぜ死んだんですか?」
「えっと、君たちの世界が壊れたから、ついでにそこに住んでいる者もいなくなった、って言えばいいかな?」
「僕達の世界が壊れた? どういうことなんですか。」