3.日常
「…ちゃん、りょうちゃん!」
僕は意識が朦朧としたまま、名前を呼ばれて重たい瞼をゆっくりと開いた。
「やあ、真祐」
「やっと起きたな! 今日の授業全部寝るとか、どんな面白い夢でも見てたんだ??」
苦笑い気味にそう聞いてきた真祐に対し僕は少し考えて応えた
「夢…なんて見てないぞ…」
「うっそだあー、寝てる時に喜怒哀楽がめちゃめちゃ表情に出てたぜ? どうせ、エロい夢でも見てたんだろ??」
『ここ最近』という言葉は真祐の言葉によってかき消されたが、 気にすることはないだろう。
「んなわけあるか、バーカ。あー、疲れた早く帰って横になりてえ」
「りょうちゃんずっと寝てたじゃん。なにが疲れることがあるんだよ。それよかさ、どっか遊びいこーぜ」
そう言って真祐は僕の背中を促すように叩いた。
真祐とゲーセンやカラオケに行って帰ってきた僕は、死んだようにベットに倒れこんだ。
「…さん! シオさんってば!」
「…!? ぼ、僕は?」
「はぁ〜、よかったです。扉まで走ったのに倒れこむからどうしたのかと思いました。」
確か、僕は真祐と遊んだ後家に帰って…
「ここは、本当に異世界なの…か?」
「ん? どうかしましたか?」
「んぁ、いや何でもないです。毒が回っちゃったのかなあって。」
「? 伝承によるとタートルキャンサーには毒はないはずでが…」
疑問符が頭の上で浮かびそうな顔で彼女は言った。
「あれぇ?おっかしいなあ、ははは…」
彼女…!?
「あなた、女性だったんですか!?」
これが僕がローブの中の顔を見た一言目だった。
「え、はい、そうですが?」
彼女の顔はとても整っており、地球にいたらモテモテの人生以外があるのかと問われれば、否!である。
この世界を僕の夢と仮定しよう。勇者でも冒険者でもないただの村人の僕だが、今、絶世の美少女が隣にいる。しかも、とても僕好み!!
んー、うーん…許そう。
自分でもわかる完全にバカである。これが、異世界か夢かの大事な資料になるのかどうか…
しかし、目の前に冒険者になれる可能性が転がっている。なら解決するのはそっちが先だろう。カッコイイ姿も見せたいしな。
「あのぉ、この試練はヤツを倒さないと先には進めないんですか?」
「いや、倒さなくても通り抜けれれば先には進めるはずです。まあ、通路を塞ぐ大岩みたいな、あれを通り抜けることは不可能でしょうがね」
「よし!」
と一言、僕は立ち上がり扉を押そうとした。
「ちょっ、ちょっと! あなた私の、私の話聞いていましたか!? 相手は伝説級の魔物!勝てるはずがありません!!」
「別にヤツを『倒さなくても』進めるんでしょ?」
俺は扉を開け部屋に入り作業を始めた。
「何してるんですか?」
「え? 穴を掘ってるんですよ。」
「いや、そうではなくて。なぜ穴を?」
仕方ない説明してあげようではないか!
「別に倒さなくてもいいんですよね?なら、ヤツを穴に落として先へ進む。そうすれば石に近づけませんか?」
「はぁ〜あなたは、バカですね。」
「いや、僕は大バカ者ですよ。」
学校の課題に追われてます。どうも石です(笑)。
皆さんどうお過ごしでしょうか?早く終息して欲しいものですね(笑)。近況報告はこれくらいにして、今回も読んでくださりありがとうございました!次回も明日がある予定です。お家でゆっくり読んでくださいね。