2.好機
人の気配もない裏路地に響く靴音。そこら中にゴミが散らばっている。
正直言って、めっちゃ臭い!!
「あの〜、まだですか?」
「……」
む、無視!!??
「ここです」
なんだろうここ、バーみたいなところかな?
「まず、私とパーティを組んでもらいます」
ローブは、扉を開ける前に僕の方を向いて言った。
僕は断る理由も無いので、目の前に来たパーティ勧誘アイコンの承諾を選んだ。
「では、行きますよ」
ローブは扉を開け入って行った。僕もそれに続き入って行く。
「なんだ、ここ!?」
「ここは、昇華の遺跡です」
昔々、今よりも100年以上前。魔王が人間界を支配しようと攻めてきました。上級魔族200匹以上に匹敵する勇者が人間界にはいました。しかし、魔族の数は圧倒的で人間達はもはや滅びる道しかありませんでした。
そこで勇者は、自分1人を犠牲にし大勢の人を守ろうと、自分の力全てを1つの石に集約しました。勇者は朽ちてしまいましたが、その石に触れた人間達は勇者様の御加護を受け魔族の撃退に成功しました。
「その時の石がこの遺跡に置かれているのです」
ヘェ〜、ん?
「ぇぇえええええええええ!!!!!!!
ってことは、僕も勇者様の御加護を受けて……」
「それは無理です」
「え、でも今の話からすると…」
「勇者様の御加護を受けるには、遺跡の試練に挑まなければいけません。しかも、加護を受けたとしても勇者になれるわけではありません」
どうやら、石は長い年月の間に効力が弱まってしまい、昔のような絶大な恩恵を授かることは出来なくなってしまったらしい。
「ちなみに勇者にはなれなくてもどの程度の力は付くのでしょうか?」
「それは私も知りません。ただ恐らくは冒険者にはなれるようには、なるでしょうね」
キタキタキターーーー!!!
「早く行きましょう! 石のある場所に!」
「待ってください。死にたいのですか?この試練は5階層で構成されています。各階層に強力な魔物が居てそれを突破しないことにはたどり着けないのです」
そうなのか、でもどうせ夢だから死んでも大丈夫だろうし、何度でも挑んで絶対攻略してやる!
「行きましょう!」
僕は無理やりローブの人の手を引き下に続く階段を下りて行った。
階段を降りると大きな扉があった。
「と、とりあえず、ちょっと覗いてみましょう」
ガ ガ ガ …
中は暗くてよく見えなかったが、だだっ広い部屋のようだった。
ボウゥと、突然壁に付いていた松明に火がつきあたりを照らし出した。
部屋の奥に6本と2本のハサミの足、背中に亀の甲羅のようなものを付けた魔物が居た。
「あ、あれは…タートルキャンサー!」
そのまんまだなおい!
「本当に存在するとは…」
とりあえず殴りに行ってみるか、、、僕が歩いてやつのところに行こうとすると、
「何しようとしてるんですか! 死にたいんですか!?」
「ま、見ててくれよ」
タートルキャンサーまで残り5メートル、ヤツは一歩も動こうとしない。残り1メートル。僕は徐々に近づいて行く。間近で見ると、とても固そうだ。素手で殴ったらこっちが痛くなりそうだ。
「まあ、そこは夢の中だしどうにかしてくれるよな!」
僕は勢いよくヤツを殴った。赤い血が舞ったヤツのいや、僕の手から出た血だ。
「イッ、!」
「何やってんですか! 早く逃げてください!」
扉の方からローブの叫び声が聞こえる。
タートルキャンサーの目が赤く光った。どうやら、先守防衛のようで、僕を敵と認識し動きだした。
「うわぁあああ」
僕は自慢の足でヤツのハサミを避けながら扉の方に走った。
僕たちは一旦扉を閉め、僕はその場に崩れるように倒れこんだ。
『痛い…これは夢じゃ無いのか? 僕は本当に異世界に来てしまったのか?』
「あなたはバカなんですか!? 大バカ者ですか! あんな伝説、伝説級の魔物に素手で行くとかどんだけバカなんですか! 伝承によるとタートルキャンサーの表皮には、針のように硬い毛があるんですよ!」
「そう、だったのか…」
「知らないのに殴りに行ったとか、大バカ者ですね!!」
ヤツをどう攻略するか、、、
「聞いてるんですか!?大バカさ…ん…」
あれ?意識…が…
読んでくださってありがとうございます。
今のところほんの少しですがタメがあるので、毎日更新しようと思います。何か気になるところがあれば気軽に言っていただけたら嬉しいかぎりです。
少しでも気になったらまた次も読んでくださいね。
では、また明日!






