表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春秋戦国物語  作者: 梅を愛でる人
荘王
42/52

2

 荘王は闇のなか、次々と纓のちぎられるのを感じると、蝋燭に火を灯させた。


 蝋燭が灯り正殿が明るくなると、荘王は纓の切れた群臣たちを見回し、満足そうにうなずくと改めて宴を再開させた。


 妻女よりも士を尊ぶという荘王の言葉に、感動した群臣たちは心置きなく酒宴を楽しみ、朝まで賑やかに歓を尽くすであった。




 この酒宴ののち楚が、大国である晋と戦った時のことである。


 戦が始まるや、一人の楚兵が常に楚軍の先頭に立って果敢に突撃していく。


 先頭に立つ楚兵は、五度戦って、五度とも敵将を討ちとるという、凄まじい活躍であった。


 この勇士のおかげもあり、勇躍した楚軍が晋軍を退けると、早速に荘王は彼を呼んだ。


「今日は素晴らしい働きであった。そちの活躍で晋軍に勝利できた。感謝する」


 称賛の言葉をかけて兵士をまじまじと見たが、記憶を辿っても何者か思い出さない。

 釈然としない荘王は、ひざまずく兵士に訊ねた。


「私の薄徳のゆえに、そなたのような勇者を思い出せぬ。これまで優遇した覚えもなく、何故に死を恐れず、これ程までに戦ってくれたのだ」


 兵士は顔を伏せて答える。


「臣はすでに大王に恩を受けております。かつて酒宴のときに、お后様に纓を引きちぎられた無礼者であります。あの時、大王の隠忍により臣は誅殺されませんでした。臣はその時から、命を懸けて大恩に報いる日を待ちわびておりました」


 そう言って、地を打たんばかりに激しく頭を下げた。


 疑問の解けた荘王は、この勇者の武勲を声高く讃えると、全軍をあげて戦勝を祝った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ