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春秋戦国物語  作者: 梅を愛でる人
荘王
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2

 九鼎とは、夏、商、殷と伝えれた、王位伝承の象徴とされた宝器である。

 青銅で鋳造された九つの鼎は、古代中国の九つの州になぞらえて、それを持つものは大陸全土の覇者とされた。


「何故のお訊ねですか」


 王孫満は戸惑いを隠せない。


 荘王は不遜な態度のままに答える。


「九鼎を楚に持ち帰るために訊ねておる」


 衰えた周王朝から代わって、楚が天下の主となるというのだ。


 荘王の無礼な言葉に、王孫満は怒りを覚えた。


「九鼎とは夏王朝の始祖である禹王が、金(青銅)を九州より献上させ鋳させた宝器であり、以降、三十代、定王に至るまで七百年継承された物です」


 宝器の起源を説いて、荘王の思い上がりを咎めた。

 しかし、これを聞いた荘王は不敵に笑って言った。


「周では九鼎を恃みにしておるようだが、楚国では鉾先の欠片を集めても九鼎を造れる」


 王孫満には、天子の治める周王朝の家臣であるという誇りがある。

 荘王に対して自然と語気が強まった。


「周王が位を保つのは徳によるもので、九鼎を持つからではありません」


「ほお。周の定王は徳者だというのか」


 荘王はおかしそうに訊ねた。


「いかにも。九鼎は有徳の王に継承され、たとえ鼎が軽かろうと、天命なき者に移すことはできません。周室、衰えたといえども天命は定まっておりません。いまだ鼎の軽重を問うべきではないのです」


 この王孫満の気迫に満ちた言葉に、荘王は周が九鼎を譲るつもりのないことを知る。

 だが、軍を動かして力ずくで奪えば、周王朝を戴く中原諸国のすべてが敵となる。


 認められていない王を号していることからも伝わるが、荘王も歴代の楚王の例にもれず、周王朝を敬うことが薄い。


 鼎に執着もないため、諦めも早かった。

 洛水の畔にいる軍をまとめると、未練なく帰国の途についたのである。

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