表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春秋戦国物語  作者: 梅を愛でる人
趙の両虎
14/52

2

 趙奢は、後漢の馬援や蜀の馬超の祖先である。

 魏書・武帝紀によると、曹操も趙奢を慕ったと記述がある。



 趙奢は田の税をつかさどる役人であった。

 だが、租税を納めることを拒む者があらわれた。

 戦国四君の一人である平原君の家の者たちであった。

 彼らは恵文王の弟である平原君の威光をたのみ、税を納めることを承知しないのだった。


 趙奢はこれを法にてらして糾弾すると、峻烈にも、彼ら九人を処刑したのである。


 平原君は激しく怒った。王族である彼の領内は恵文王でも自由に出来ない。

 それを税吏の分際で、九人も殺したのである。

 平原君は、怒りのままに趙奢を殺そうとした。


「あなたは趙において貴公子である。その、あなたが公の責を果たさぬのを見逃せば、国法は侵されましょう」


 静かに趙奢は言った。


「それがどうした」


 平原君は殺意をみなぎらせて剣を突きつける。


「国法が侵されたなら国は弱くなり、諸国の侵攻をうけるでしょう。趙国を滅ぼして、如何にして富貴を保つのですか」


 平原君は、剣を突きつけたまま動けない。


「あなたの貴位をもって、国法を守り責を果たせば、上下は公平で国は強くなります。趙国が強ければ、王族のあなたが侮りをうけることはありません」


 平原君は、聞き終わると剣を投げ捨てた。


 そして、すぐに恵文王に謁見すると、趙奢を賢者であると推挙したのである。

 恵文王は、思いきりよく趙奢に国税を任せるのである。


 趙奢は有能であった。


 税制は公平で、重い税に苦しむ者はなく国民はみな称賛した。しかも国庫は豊かになり、国力は増したのであった。




 つまり恵文王が、閼与の救援を諮問した趙奢は、有能ではあるが税吏なのである。

 だが、趙奢に戦場の経験がないわけではない。

 以前に軍を率いて斉の麦丘を攻略したことがある。

 ただ、これも十年前のことであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ