表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鬼ごっこ

作者: 和田樹里

―――地獄の鬼ごっこが…始まるよ。


「美咲!鬼ごっこしない?」

実樹がわたしに向かって言った。

「うん、いいよ。じゃ、鬼ごっこしよっか!」

わーい…と、周りにいた子供達がよって来る。

「じゃあ、鬼決めよ!」

「待って…美咲。」

「ん?どうしたの?実樹。」

「わたしに、鬼やらせて。」

そういう実樹の唇は青ざめている。

「いいけど…大丈夫?実樹、顔色悪いけど…。」

「大丈夫よ…。じゃあ、始めよう。」

「よーし!鬼ごっこ、始め!!」

子供達みんな、もの凄い勢いで走っていった。

まるで、捕まったら殺される…とでも言うように…。

変だな…と思いながらも、わたしは逃げ始めた。

気付くと、さっき逃げていった子供達がひとりも公園にいない。

うそ…子供達がいなくなっちゃった…。

わたしは鬼ごっこをしていたことも忘れ、子供達を探し始めた。

「みんなー!みんな、どこにいるの!?」

わたしが必死で探していた時、後ろから声が聞こえた。

「美咲……。」

「え…?」

見ると、実樹が後ろに立っていた。

手にしっかりと握られていたのは―――はさみ。

しかし、子供達を探すのに必死だったわたしは、実樹がはさみを持っていたことに気付かなかった。

「み…実樹!大変!子供達がいなくなっちゃったの!」

でも、そんなわたしのの訴えを聞くこともなく、実樹は黙ってわたしのことを見つめていた。

やがて、やっと実樹が口を開いた。

「…地獄の鬼ごっこが…始まるよ。」

「……え…?」

実樹はゆっくりとはさみを上げた。

そして、すばやく美咲に向かってはさみをふり降ろした。


―――ひとり、つかまえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ