青い鳥
空は底抜けの青を全てを受け入れる海に例えられ、
鳥は羽ばたいた力強さを自由の代名詞として扱われる。
誰もが空を見上げ、空のことを知らないものはいない世界。
例えそれが言語を介さぬ何者であれ、大地に立つ全てが否応もなくそれを見る。
時には雨が注ぎ、大地を癒し。
時には嵐に巻き込まれ、時には日照りに乾いていく。
あらゆる顔を持ちながら、その全てを容認され、あらゆる時の中で続いていく空。
誰もが空に振り回され、しかし誰もが無視できない。圧倒するモノ。
宙を舞い、空を切り、天を泳ぎ、果てに向かう鳥。
それは空の何処かに映る影。あるいは夕焼けに浮かぶ黒の虚像。
その小さき体に多くの力を乗せて羽ばたき、数多の颶風を乗り越えて、疾風を掴んで、旋風を巻き起こして。
すべての場所を目指す、能動的な自由を求めるその姿。地を這うものを、すべておいていくその背中は、記憶の中に鮮やかに刻まれる。
青い鳥。
幸せの象徴。
天空に浮かび、空色を纏い、蒼穹に染まった、翼を持つ自由なモノ。
誰もが知り、だが己は囚われない。
囚われる事なき、然れども孤独では無い存在。
故に、青い鳥は幸運となる。