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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵たちの最終決戦
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傭兵VSマクリル

「では行くぞ!」


にらみ合いのなかで先に動いたのはマクリルだった。両の手を前にかざし、圧倒的な密度の光弾をバラ撒く。それは掌からではなく指先から出ているようで、不規則かつべらぼうな量である。奴はジ○ングかなんかかよ!?


「ええいちくしょうめ!」


まずい、非常にまずい。こちとら遮蔽物は一切なしで弾幕ゲーム並のたまを避けなくちゃならない。おまけに祭壇の構造上高い位置をマクリルに取られてるのがまた痛い。

とりあえずシールドを無理やり地面に刺して遮蔽物代わりにするも、長くは持ちそうにない。........なにこの無理ゲー。


「どうすっかなぁ、実弾じゃあ歯が立たねぇし」


光弾に実弾を撃ち込んでも打ち消されるのは今まででいやというほど見てきている。おまけにここは場所も悪けりゃ相手も悪い。尽きることのない制圧射撃とか無茶苦茶にもほどがあるぞ。

何て思ってる間にシールドがミシミシいってきた。早いって流石に!心の準備まだなんですけど!


「うおおおぉぉ!」


シールドが耐えられないのであればせめて1発、ということでシールドからミサイルをバラ撒く。炸薬の詰まった手のひらサイズの弾頭はそのほとんどが光弾と接触して爆発した。辺りを爆発の煙が覆っていく。何発かは光弾の弾幕を抜けたっぽいが、当たってねぇだろうなぁ........。


「ハハハ!機械の力も侮れないな!」


煙の向こうからマクリルの声がする。意外と戦いを楽しむやつらしい。それでも弾幕はやまないのだが、こっちを視認できなくなっただけ密度は減った様だ。思ったほどではないがチャンスであることは間違いない。


「........っ!」


全速力で煙幕の中を走り抜け、マクリルの目の前に躍り出る。結構な距離を一気に詰めてきた俺にマクリルは多少虚を突かれた様だが、そこからの切り替えは速かった。瞬時に弾幕を張って迎撃してくる。さっきまでのものより火力が高いらしく、色やサイズなど全てが凶悪度を増してるように見えた。シールドでガードするも、さっきよりもあっさりと限界に達し、中のミサイルに引火した爆発した。


「何っ!?」

「いただきだぜ!」


........ま、フェイクだけどな。


「どぉおおりゃああ!!」

「ぐぅおぉっ!」


シールドを足場にさらに跳躍、そのまま落下エネルギーと一緒に太刀を降り下ろす。獲ったぞ!


「ぐうぅおおおおお!!」


........避けられた。ホントは真っ二つにしてやるはずだったのに、左腕を切り落とすだけになってた。噴水かと思うほどの血液がブシャリと噴き出し、一瞬で血溜まりをこさえていく。ありゃあ長くは持たねぇだろうな。


「ク、ククククク........ハーッハハハ!!」


左腕を押さえながらマクリルはいきなり盛大に笑い出した。........野郎、狂ったかな?


「なるほどこれが戦いか!これほど血沸き肉踊るものだったとはなぁ!」

「あん?気でも違ったか?」

「ク、クク........何、私は戦争は知っていても闘争は知らなかったものだからな」

「世の中にゃあ知らなくていいものってあると思うんだがねぇ........」


なんか火が点いたみたいだし、正直かなりめんどくさい。腕がもげた段階で諦めてくれればよかったのになぁ。


「とはいえ、我はもう助からぬ。ならばやることは1つだ」

「何だと?」


やること、やること........やること?

そんな簡単な言葉だからこそ、俺は奴の真意を計りかねた。まるで俺を痛めつける以外に別の思惑があるような物言いである。........だからこそ、反応が遅れた。


ガンッ!

「ぐお!?」


いきなり後頭部に重たい一撃を受ける。そこから一連の動作で蹴り飛ばされたような感触をもらって吹っ飛ばされた。


「おおおおおぉぉぉぉ........」


無茶苦茶痛い。2発目の胴に入った蹴りに至っては骨が折れたと思う。距離をとるため、一旦後ろに下がる。そして俺を殴ってくれた奴を見たとき、流石に驚かずにはいられなかった。


「なんだありゃ........」


一言で言い表すならマネキン、であろうか。球体関節の細身の人形である。武器のようなものは何一つ持ってはいないが、それぞれが異なる構えを見せている。........なんかゆらゆらしてるんだけど。酔拳?的な?


「クックックッ、気配を察知できる武の達人も人形まではわからなかったか?」

「........姑息なマネを」

「クハハハハ!我は武人ではない、あくまでも指揮官、一軍を預かる将なのだよ」

「あぁそうかい」


そんな話をしている間にどんどん敵が増えていく。身動きひとつ見せない癖に、1呼吸につき3体みたいな勢いで増えていく。あっという間に俺は広場の3/4を埋め尽くすほどに増えた人形に包囲された。


「さあ、君もまた統率者だろう?ここからは軍略の勝負をしようじゃないか!」


........なるほどなぁ、まんまと自分の土俵に作り替えたって訳だ。キレ者どころじゃあないね。これが熟練のなせる知恵ってやつかね?

それにしても意地の悪い爺だぜ。ここで仲間を呼んだって数はたかが知れてる。呼んだところで数に任せて潰されるのは目に見えているってのに何が軍略だちくしょうめ。


「........やめだやめだ!」

「........?」

「俺はなぁマクリルさんよ、あんたがじつに気に入らねぇ。だからこそ俺は誰の手も借りる気はねぇのよ」


そう、誰の手も借りずにだ。仲間を呼ぶこともしなければ仲間の力も借りない。なぜなら他の誰でもない俺が気に入らねぇからだ。なら、俺が叩きのめさなきゃいかんよな。


「ククク、確かに君が太古の昔から培ってきた技術と素養は一騎当千の強者と呼べるだろう」

「だが、誰の手も借りずに『独りで』我を討つだと?クッククククク........」

「笑わせるなァ!」


雄叫び一閃、マクリルから蒼い何かしらが迸る。闘気とも見えなくもないそれは辺りに漂っていた紫色の神気と合わさりさらに膨れ上がる。........あー、怒らせたっぽいな。


「どうやら君を手加減で無力化するのは不可能のようだ。ならば我は君を殺さなければならない!」

「そうしろそうしろ、差もなくば無惨に死ぬのはお前だぜ?この老いぼれが!」


俺とて例え独りでも負ける気はしない。これでもこの世界に来るまでは独りで戦って生き残ってきたんだ、こんな青二才ごときに遅れなんかとれるかっての。........老いぼれなのに青二才とはこれ如何に?


「さぁて、第2ラウンド........始めるか!」

「参れ!そして我を侮ったことを後悔するがいい!」











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