別れる傭兵たち
さ、どうしてくれようかなこれから
そんなこんなですがどうかお付き合いくださいませ
「........予想通り、真っ暗だな」
古城の中は月の光すら入らない、完全な闇だった。開け放たれた入り口からわずかな光が入っているが、それすらもこの広いホールを照らしきるには足りなかった。
「い、いきなり出てきたりしねぇよな?な?」
「........どうでしょうか」
「怖ぇこと言うなよ!」
そこの2人、盛り上がらないでバレるから。ま、もうバレてるだろうけども。
「........2人とも大丈夫だ、辺りに気配はしねぇよ」
「不思議なくらいにな........」
確かに不思議だった。この広いホールは広いだけじゃなく、至るところに朽ちた柱やウィーズが持ち込んだ物資らしいものもあった。隠れ場所は山のようにあるし待ち伏せにはピッタリの場所である。
「しかし、静かだね........」
「そうか?ちょっと聞いてみ?」
「?」
その場にいた全員が耳を済ますとそれは聞こえてきた。かすかにだが、それはただの風の音にも、何者かの息づかいにも、何かしらの唸り声のようにも聞こえた。ただ1つ分かったことは、この奥に何かしらがいることである。
「........行こうか」
「だな、手をこまねいててもいいことは1つもねぇし」
「本部、聞こえてる?」
『おう!しっかり聞こえてるぜ!』
ヘッドホンから先生の声が聞こえてくる。........元気なのはいいんだが、耳元ででかい声を出さないでいただきたいもんだ。
『といっても、まだ皆が見えてるけどな』
『アリス~腰が引けてる~』
『頑張って~』
一瞬で顔が真っ赤になり背筋がピンと立つ。少しばかし可笑しいその様を見て、緊張がほぐれた。いいね、この感じ嫌いじゃない。
「それじゃあ前進するよ。バックアップはよろしく」
『任された、気をつけてな』
『『地獄で会おうぜ~』』
「どこで覚えてきたのさ........」
何とも口の悪い台詞で通信は締め括られ、同時に扉を閉める。辺りから光が消え失せ、隣の奴の顔すら見えなくなる。各々がライトをつけ、辺りを照らす。するとホールの奥に通路が3つあるのが見えた。
「いきなり分かれ道だとさ」
「どうすんだ?大佐殿」
「........1つ1つ潰してたら時間がない、3隊に分かれよう」
「なるほど。で、どう分ける?」
「なら儂とクレイグで一組だ。こいつとのコンビなら自信がある」
大将とクレイグが一組、右の通路の前に立つ。........なんかその組強くね?お前らだけでいいだろって顔ぶれなんだけど。
「そういうことならオデはアリスちゃんとだな。やってやるだ!」
「ちゃんと援護してくださいね?」
「任せとけ!」
左にはキルオン、お嬢ちゃんのコンビが立った。キルオンはともかくお嬢ちゃんは実戦経験無さそうなんだが大丈夫だろうか?
「お兄さん、心配しないでください」
「何?」
「オデたちは生きてまた会うだ。なーんにも気にするこたぁねぇよ?」
「その自信の根拠は?」
「「ない!(ありません!)」」
言い切りやがったよこいつら!人が心配してるってのに........。死んでも恨んでくれるなよ?
「まあ、やるってんならいいや。となると必然的に........」
「ボクと傭兵だね」
「........だよなぁ」
「え、なにその嫌そうな態度」
「だってさぁ、要る?俺。大佐1人で行けるだろ」
「傭兵はこんなか弱い女の子1人で敵地に行けって言うの?」
「ゴメン、俺ちょっと『か弱い』と『女の子』辞書で引いてくるから先いってて」
「バカやってねぇでさっさと行け!」
キルオンに殴られた。いや確かに悪ふざけが過ぎたと思うけどさ、グーはないだろグーは。
「もうクレイグさんたちは行っちゃいましたよ?」
「オデたちも行くからな、死ぬなよ!」
右を見ればクレイグ、大将組はいない、ホントに先に行ったみたいだ。左のキルオン、お嬢ちゃん組もホントに行っちまった。お前らもっと統制ってもんを考えろよ!........俺がそんなこと言えた身じゃないか。
「さて、気は済んだ?」
「........はい」
「行こうか、言い訳は道中で聞くよ」
「はいぃ........」
授業サボりすぎた(|| ゜Д゜)
この辺で失礼します




