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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の逃走劇
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窮地の傭兵

すぽーんと書いていきます。こうして書くと傭兵の能力は意外とズルいですな。地味で使いどころが狭そうなチートを目指したんですが........。

それではどうかお付き合いくださいませ

「あ~........どうすっかなぁ~チキショ~」


正直やらかしたと思ってる。ウィンゴを殺してからそう思った。

今、この国での俺の評価は最悪だ。こんな状態で再びニート紛いの捕虜生活が出来るとは思えない。何せ司令官マクリルの子飼いを殺したのだ。これでのこのこ戻ろうもんなら打ち首獄門間違いなしだ。


「ホンット~に迂闊だった........」


あの場では半ば流れでとどめを刺してしまったが、まだ逃げる算段が出来てないうちに俺の立場が悪くなるような行動は本当は控えるべきだった。


『逃げるにしてもあの左腕の印を何とかしなければならないんだったか?』

(ああ........とはいえ、これがどんな魔法なのかわからん以上どうしようもない)

『初見のエンジンをバラせねぇのと一緒って訳か........』

(そういうことだ)

『あのジョニーって教官はどうなの?』

(協力的だったとはいえ、あいつが敵側であることは変わんねぇ。望み薄だな........)

『『『う~ん........』』』


総勢12595人での作戦会議でも、たいした案が浮かばない。この首輪とやらに鍵穴でもついてりゃもっとサクサクッと事が片付いたのになぁ........。


『ところで刃人よ、ここは敵にばれてるんじゃないのか?』

(........バレてたらとっくの昔に捕まってら。この中ならしばらくは大丈夫だろ)


今俺がいるのはウィンゴと戦ったところから少し離れたところの地面の中だ。人がある程度生きられる穴蔵を作り、空気穴や入り口を偽装してこの中に隠れている。人手は足りてるのですぐに作ることができた。

........しかし、いつまでも穴蔵に隠れているわけにもいかねぇ。どっかで脱走する必要があるのだか情報が無さすぎる。すぐに隠れて城まで戻らなかったから、俺が捜されてるのかすらわからないのが現状だ。


(........なあお前ら、ちょいと町に出てそれとなく探りを入れてきてくれねぇか?)

『構わないけど........何について調べる?』

(そうだな........さすがにウィンゴが死んだことは知れてるだろうから、何かを捜してるそぶりを見せる兵士の有無とこの首輪のことかね)

『では4人ほどか?』

(おう、頼む)


そうして俺は地上にエージェントフィクサーを4人召喚した。諜報なんかもこいつらの専売特許だ。さすがに戦時のユニフォームだと目立つので、今回は外見をウィーズの衣装に合わせた。町に出ていたお陰で一般人がどういう服装かは把握できている。


(さてお前らは........ダナーとオリバー、メイベルとクリスで2人1組だ、いいか)

『異論はない』

『了解』

『さあ、やりますわよ!』

『メイベルさん、力むところじゃないですよ........』


上から足音が聞こえ、遠ざかっていく。とりあえず情報収集はあいつらにまかせて、俺は装備の点検を始めた。せめて有事の際にアクシデントが起こらないようにしとかないとな........。


ーーーーーー


そのまま時は流れ、時計を見ればもう夕方だった。特に俺の感覚に異常はないので情報収集をしてる4人に問題は無さそうだ。情報はその都度聞くこともできたが、武装のチェックなんかで集中したいところもあったので、終わってから1度に聞くことにした。


(........そろそろだな)


あらかじめ日没までと決めていたのでもう少ししたら帰ってくるはずだ。彼らは自由に俺の中から出てくることはできないが、戻ることはできる。

そうこうしているうちにダナー、メイベル、クリスの3人は戻ってきた。........1人足りねぇんだが。


(オリバーはどうした?)

『大丈夫だ、ちょいと興味があるもんがあるらしくて道草食ってる。それより報告してもいいか?』

(おう、始めてくれ)

『では俺からだ........』


こうして、情報が一通り集まった。ここで1つ、整理してみると


・すでに兵士が捜索にでている。今後増える可能性大

・俺の身柄に関しては生死を問わないらしい

・マクリル子飼いの残りの2人は確認されていない

・首輪に関してはそれらしい文献は存在しなかった。一般には使われない魔法かもしれない

・マクリルの魔法は並の魔法使いでは対抗できないらしい


........ヤバい、何一つ俺に有利な要素がない。


(脱走だな。早い方がいいが........)

『その首輪が問題だな』

(........どうしたもんか)


1番手っ取り早いのがマクリルを降してこれを解かせることなんだが、それをやるにはあまりにもリスクがでかすぎる。いかに俺たちと言えど、この世界に名だたる大国の軍隊を相手に出来るとは流石に思えない。


(........腕ぶった切るか)

『ちょ、何考えてるのよ!?』

(いやこのままだと打つ手なしだからよ........利き手じゃねぇからいいかなぁ、と)

『血迷った事言わないでください!』

『バカか貴様は!』


........無茶苦茶怒られたのでこの案も却下。こうなったら........。


(........ごり押しだな)

『うまくいきますかね?』

(これしかない、敵地での全面戦争よりは撤退戦のほうが若干の見込みありだ)

『........お任せを』

『俺たちがついてんだ、負けねぇぜ隊長はよぉ!』

『ま、あんたに死なれたらこっちも死んじゃうからね、援護はするわよ?』

『出発はいつにします?』

(もう出る。そうと決まれば長居する理由はないからな。お前らも準備しておけ)

『『『了解!!』』』


もうこれしかない、首輪がついた状態で逃げるしか。最終的にはマクリルを倒す必要があるのだが、ここに留まっては何もできない。

穴蔵を引き払い外に出る。昨日と違い、雲1つないよぞらが広がっていた。しかし月はまだ出ておらず、意外と暗い。こういうのを十六夜と言うんだったかな?


『........隊長!』

(........ん?オリバーか)


外に出たちょうどそのとき、偵察班のオリバーが戻ってきた。帰りが遅いと思ったら自分の足で帰ってきてたのか、しかも何かを抱えている。


(お前........尾けられてねぇだろうな?)

『そこは安心してください。怪しまれてもいません』

(そうか........ところでそれはなんだ?)

『ああ、町で会ったんです』


........見ればオリバーが抱えているものはモゾモゾと動いている。はて、このサイズどこかで........。


「きゅ!」

「........あ」


........仙里だったか、ゴメンすっかり忘れてた。本人も忘れられてたとわかっているのかどこか膨れっ面をしているように見えなくもない。頭に飛びかかられて額をいつもより強くバシバシと叩かれる。


「ハハハ、悪い悪い。詫びは生きて帰れたらするから許してくれや」

「........きゅ!」

『........好かれてますな』

「嫌われるよりいいだろ?」

『確かに』


何はともあれ準備はできた。このまま町の出口までなんとか見つからないように進む。夜でも歩哨がうろついていてなかなか苦戦してしまったが、どうにか首輪が反応するギリギリのところまで来た。

これより先に踏み出すのは相当な勇気がいる。少し息を整えて、さあ行くぞ!と一歩踏み出したその時........。


「........まて、斬崎」

「!?」


誰かに呼び止められた。









誰が来るか、お楽しみに!

それではこの辺で失礼します

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