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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の決断
56/86

傭兵と果たし状

今日も元気に更新します!今後ともよろしくお願いします。

それではどうかお付き合いくださいませ

「ぬぅ........よもやこの斬崎刃人が畜生に遅れをとるとは........」

「きゅー♪」


ここにいるのは人間の顔でなくてもどや顔とわかる顔をする仙里、そして腕を組ながら顔をひきつらせる斬崎刃人オレである。

畜生はさすがに言い過ぎだと思うが、正直仙里に技術の習得という面で負けることになるとは思わなかった。その技術とは、魔法である。

あのあと一通りジョニーから魔法の講義を聴いた(?)仙里は、なんと講義の5分後には魔法を使い始めたのだ。ちなみに俺は最初の魔法を使うまで3時間かかった。ジョニーがその時教えたのは物を浮かせる魔法で、ウィーズ人にとっては日常的に使われるわりと初歩的な魔法だという。

それを習った仙里はおもむろに目を閉じたと思ったらいきなり目を見開き、その目の前にあった俺の4次元コンテナを浮かべて見せたのだ。

それを見て俺は唖然とし、ジョニーはやたらとテンションを上げて帰っていった。勢いよく扉を閉めてから「イィヤッホォォォ!!」と雄叫んでいたのが印象深い。きっと教官魂が満たされたんだろう。


「........くっそぉ。そんな顔すんなよ........」

「きゅー♪きゅー♪」


........きっとこいつの言葉を人間の物に直したら「ねぇどんな気持ち?ねぇどんな気持ち?」とか言ってるんだろう、とにかく気に食わん顔だ。特にそんな顔してても可愛いのがムカつく。

終いには頭までよじ登って俺の額を小さな前足でバシバシ叩いてくる始末だ。

このまま狐鍋でもこさえてやろうかと手を仙里に伸ばす俺は、そこで不意にさっきを感じた。........外から何か来る!


「........っ!」


飛び退いて窓から離れるとほぼ同時に、何かが窓を割って侵入してきた。窓の割れかたから相当小さな物のようで、目を窓から部屋の中に移すと、窓の正面にあった出入り口の扉に矢が刺さっていた。


「........今時矢文とはな、古風な」


その矢には紙が結びつけられていた。こんな伝達手段を最後に見たのはもう300~400年ぐらい前だったか?

矢に細工がされてないことを確かめてから紙をほどいてなかを確認する。それは思った通り手紙で、中にはこう書かれていた。


『真夜中に市街地西部の草原地帯に来られたし。さすれば貴様の命もらい受ける』


........いわゆる果たし状ってやつか。前にもらったときはすっぽかした記憶があるが、今回は答えないわけにはいかない。すっぽかしたときは住処を変えて逃げたが、今回はえらいことになりそうだ。

名前こそ書いてないが、誰が送りつけてきたかは容易にわかる。あの男は執念深そうだし、やっぱり行くしかねぇな


「お呼びとあらば、行きますかね」

「きゅ?」

「お前は留守番だ」


俺はそれから飯を食って準備をして、仙里を置いて真夜中1時間前にこっそりと施設を抜け出した。


ーーーーーー


「........時間だな」


時刻は真夜中。ここは今の俺の行動限界の最西端である草原地帯だ。小高い丘になっていて、街が一望できる。真夜中ということもあって街には明かりはない。空は少し雲があるがおおむね晴れていて、今日は満月が大きい。お陰で手元が明るくて助かる。

今日は風が少し強い。俺の足元の草や、脇に1本だけ生えている木もざわざわと揺れている。そして風がひときわ強くなったとき、そいつは現れた。


「........来たな........」

「やっぱりてめぇか........ウィンゴ」


予想通り、俺の目の前にいるのは『疾風の断頭主』ことウィンゴだった。あんな古風な真似をするやつはこいつしかいないと思ったが、ドンピシャだったって訳だ。


「なんだ?仲間の仇討ちをしようってか?」

「........いかにも........貴様がここで倒れるならば、お館様も納得してくださるだろう........」


つまり、手を抜けば本気で殺されるというわけだ。ならボケッと戦うわけにもいかねぇな。


「そうかい、なら俺は俺の全てをかけててめぇを物言わぬ屍に変えてやろうじゃねぇか」

「........」

「勘違いすんなよ?これは決闘や聖戦なんて高尚なもんじゃねぇ。己の全てを以て相手を降す、低俗な殺しあいだ」

「無論........ここには戦士の矜持も誇りもない........あるのは........それがしの自己満足による復讐と........それを迎え撃つ貴様の闘争心のみ........!」

「上等だ!」


お互いわかってるならもう言葉はいらない。お互いがにらみ合い、機会を伺う。誰に合図されずとも、いや言葉を交わしたその時からすでに殺しあいは始まっていたのだ。

やがて、月に大きめの雲の塊がかかり辺りが暗くなる。それから長いような短いような時間が過ぎ、雲から再び月が出る。........それがお互いを動かした。


「........行くぞ!」

「........参れ........!」


こうして真夜中の殺しあいは幕を開けた。


次回は戦闘です。戦闘描写って時間がかかるので遅くなるかもしれませんがご容赦くださいな。

それではこの辺で失礼します

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