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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の決断
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傭兵の暇な捕虜生活

しばらく傭兵がうだうだやってます。本編の皮を被ったおまけ回と思っていただければわかりやすいかと。

それではどうかお付き合いくださいませ

「ええい!くそったれめ、どうしてくれようかあんちくしょう........」


あれから外に出られないかいろんな事を試した。夜中に脱走を試みる、町の雑踏に紛れて脱走を試みる、物流に紛れて脱走を試みるetc.........。

しかし悉く失敗に終わった。ある時は腕の印からけたたましい悲鳴があがり、またある時は印のついてる左腕が異常に重くなり動けなくなったりした。

結論としては現時点での脱走は不可能、俺はこうしてあぐらかいてる股の上で昼寝をかましてる仙里をモフモフするくらいしかできなかった。


「........暇だ」

「きゅ~........Zzz.....」


敵地で捕虜になっているはずなのにやたらとくつろいでいる。こんなんでいいのかと聞きたくなるのだが、正直これしかないので仕方ない。

とりあえず外出は認められてるので目立たないようにマシンピストルとナイフだけもって外に出る。仙里は陣笠の上に乗っけているが、特に気を使って歩いてるわけではないのに器用に寝てる。


「........図書館にでも行くか」


この町の図書館は町の規模にしてはデカイ。この世界の歴史や基本的なことは思えばまともに調べてなかったので、いい機会である。........と思ったのだが。


「申し訳ありません。当館はペットの入場はお断りさせていただいております」

「........あんれまぁ」


追ん出された。まあ今思えばなぜその可能性を考えなかったのかと思うのだが。

しかし仙里こいつを放置するとたまにやらかしてくれるので非常に置いてきたくない。........いつぞやには帰ってきたら部屋の中が台風が通りすぎたようになっていた。とりあえずあてもなく町をさまよって、カフェとおぼしき店の前を通ったとき不意に声をかけられた。


「あれ?斬崎刃人じゃん」

「あ!刃人助けてくれ!このホモがぁ~」

「失礼ね。私は男じゃないわよ?百合ね百合」


そこには何やらぐでーんとしたヤチヨ先生とその先生の肩に手を回すチャイナ服の女が1人、マクリル配下の2人がいた。うーん美人2人が茶をしばいてるのはいいんだが、こいつらもなかなかどうして緊張感がない。軍人だろ?一応。


「あー、そういやあんた誰?」

「あーそうか、名乗ってないか。私はレイチェル、よろしく~」

「そんなことより助けて!なんか手がわきわきしてる!」

「いやね、ヤチヨちゃんの成長具合をね、ここ最近ご無沙汰だったからね」

「知るかバカ!変わってないに決まってるだろ!」


いやそういう問題かよ、さっさと振りほどいてやれよ。この手のやつは早々に手を打たねえとつけあがるだけだぜ?


「またまた~、恋を知ったんだから少しは変わったでしょ。最近きれいになってきたし」

「なっ........そんなの関係ないだろ!刃人なんかこれっぽっちも好きじゃねぇし!」


........いや、それはそれで傷つくんだけど。ていうかお前ら静かにしようぜ?ここ外ですよ?


「おいお前ら、うるさすぎて悪目立ちしてんぞ?痴話喧嘩するんならもう少し声のトーンを下げろ」

「あらら、やっぱりヤチヨちゃんからかうのは楽しいわ」

「う、うぅ.........ちくしょぉーー!覚えてろよなぁーー!!」


小物の悪役が言い残すような台詞を吐きながらヤチヨ先生は猛スピードで逃げ出した。レイチェルの手を振りほどき、カフェのテラスを飛び越えて走り出すまでこの間わずか2秒、信じられない身体能力だ。


「あらら逃げられた。んー........あなた暇そうね、お茶でもいかが?」

「........どうすんべ?仙里よ」

「Zzz........」


こいつよく寝るな、起きてから特に何してるわけでもないくせに。........あんまり寝過ぎると早死にするらしいぞ?気ぃつけろよ。


「相方は寝てるし暇だし、よければごちそうになりましょー」

「うむ、くるしゅーない」


ちょいちょいと手招きをするレイチェルに導かれて彼女の対面に座る。こいつ、結構なお調子者らしい。

改めて見ると、この人もなかなかどうして特徴的である。顔はいわゆる大人の美人であり、髪は背中の真ん中まであるのを後ろで2本に縛っている。........ツインテールってんじゃないよな、何て言うんだ?これ。青が基調のチャイナ服はわりと似合っている。服を押し上げる胸がわりとデカイ。........仕方ないだろ、男なんだから、そこに目がいきますよ。


「お、今私のことやらしい目で見たわね?」

「知らんな」

「でも残念でした。私は女の子のものです」


限りなくどうでもいい。こいつがレズビアンだろうがホモセクシャルだろうがそんなもんは鼻くその成分表ぐらいどうでもいい。


「はぁ........で?女の子のものらしいレイチェルさんとやらがわざわざ野郎の俺と茶をしばく理由は何さ?」

「そこにいたから、それだけ」

「あっそ」

「まぁいいじゃない、せっかくだからお話しましょう」


........俺も緊張感がいまいちだが、こいつはそれ以上だ。仮にも味方ではないやつと同じテーブルだと言うのに。


「あ、ここでは武器は出さない方がいいわよ?ガーンズの人だと思われると面倒だから」


と、思ったら看破されてた。........よく気づくもんだ。一応隠してたつもりなんだがな。


「まあ私は腕っぷしは強くないからね。頭脳でカバーするしかないのよ」

「ほう........」


この人、こんな簡単に自分のことをバラしていいんだろうか。なんて考える間に、いつの間に来たのか気づかなかったが、俺の目の前には新しい紅茶が置かれていた。........頼んだ覚えはないんだが、一体なんだろうこれ。


「ここの紅茶は美味しいの。おまけに1杯目はサービスだから」

「マジか、それじゃ一口........」


........美味い!こんなもんがサービスで飲めるとはなんと素晴らしいことか!


「フッフッフッ........かかったわね?」

「!?」

「それには毒が入っているのよ!」

「........」

「あら、普通慌てるところじゃない?」

「マクリル配下のあんたが、ボスの意向に逆らってそんなことするとは思えんがね」

「........なんだ、ただのバカじゃなかったのね」


残念、とでも言うようの肩をすくめるレイチェル。........確かに見てくれはどっこいどっこいかもしれんが俺の方が圧倒的に長生きなんだけどねぇ?


「う~ん、あなたを相手取るときはどうすればいいのかしらね?私は正面からじゃどうにもならないし........どうすればいいと思う?」

「俺に聴くのか........」

「いい機会だし、何かコメントをお願いするわ」

「........俺の前に出なければいいんでね?」

「それだ!」


今のでいいのかよ!てか前に出ずに俺とやり合う方法があるのか?魔法にも狙撃とかあるんだろうか。はっきりいって魔法使いの遠距離攻撃ってすごい目立つと思うんだがねぇ。


「いや~助かったわ、おかげで死なずに済みそうよ。ありがとう」

「お、おう」

「さて、色々聞けたし私はもう行くわね。それじゃ刃人、さようなら~」


そう言い残してヒラヒラと手を振りながら立ち去るレイチェル。呑気に手を振りかえすぐらい油断しまくっていた俺は、おかげで重大なことを忘れていた。


「あ、会計........」


........あの女、ちゃっかり俺に押し付けやがった。畜生め、只者じゃねぇな。

とりあえず勘定の紙をカウンターまで持っていったが、そこで俺はとんでもない事実を突きつけられた。どうやらレイチェルのやつ、俺が来る前にヤチヨ先生と結構ケーキだのなんだのを食ってたらしい。おかげで会計の値段がえらいことになっていた。........俺の財布にいつ以来かの氷河期が訪れた事は言うまでもない。

6日から山にはいるので更新が滞るかもしれません。ご了承ください。

それではこの辺で失礼します

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