傭兵、依頼を請け負う
不定期ですんません
というか読んでくださってる人いるんかな(´・ω・`)
「どういうことなのそれ」
偽り?安寧?話がよく見えないんだがねどうも。
「そうだね。君には今の情勢をかいつまんで説明しようか」
「そうしてくれ。はよ」
「........今更なんだけど君にはボクに対する敬意はないのかい?一応それなりに偉い立場にあるんだけど?」
「あ?ねぇよそんなもん。大佐の足に全部吸い出されたよ」
「じゃあもう1回踏んだら敬意が表れるかな?」
「バカ言え。俺にそんな趣味はねぇ。それより早くしろ」
こちとら眠いんだよ。戦場と大佐の尋問()のせいでな!
「じゃあまずこの事を知ってもらおうか。戦争に従事していた君ならこの事の異常性が分かるだろう」
「なんだ?」
「このウィーズとガーンズの戦争は300年続いている」
「........は?」
300年?嘘だろ?ひとつの戦争がそんなに長いこと続く訳がねぇだろ。第一そうだとしたら........。
「じゃあお前らなんのために戦ってんだ?」
「そう。まさにそこなんだよ」
大佐が一息いれる。話す内容を整理しているみたいだが本人も相当頭を痛める情勢らしいな。........真剣に聞くか。
「この戦争をやっている今の世代は5代目だ。はっきりいってなんのために戦っているかと問われて答えられる者はこの世界にはいない。生まれたときからこの状態で、これが当たり前の世界だと思っているからね。相手に憎しみすら抱けないい」
「おかしいじゃねえか。誰も戦う理由が分かってないのに何でまだ戦い続けてんだよ?もっと前の世代で終わるもんだろ」
意義のない闘争は続くわけがない。戦う理由という養分が供給されなければ、戦争という植物は枯れるはずなのが普通だ。
「焚き付ける連中がいるからだよ。利益になるからこの戦争が長く続けばいいと思う輩が一族ぐるみで戦争をその都度扇動しているんだ」
「........死の商人ってやつか?」
「それだけじゃない。信じられないかもしれないが2国の官僚のほとんどが結託しているんだよ」
「何だと!?」
「この戦争は出来レースなんだ。お互い勝つ気も負ける気もない。しかも自身の家の利益しか考えてないから次世代にも戦争を続けさせるように教育しているから理論上永遠に続く」
........開いた口が塞がらねぇ。戦争を食い物にして私腹を肥やす連中がいるのは知ってたし、実際にこの手にかけたやつもいる。だが世代を越えてこんなことをやってるとは........。こんなやつらのために殺しあわなけりゃいけない兵士がいるなんて許せねぇな。
「........ひとつ聞きたい。大佐は軍人だ、あんただってせんそうが終わっちまえばおまんま食いっぱぐれちまうだろ。そうまでして戦争を止めたい理由はなんだ?」
「ボクの両親は戦場で死んだ」
「…...それだけか?」
「それだけならよくある話だよ。実際、ボクも両親が戦死したと言われても戦争を恨むでもなくウィーズを恨むでもなく、ただ淡々と受け入れていただけだった。だがこの戦争の実態を知って両親が全くの無駄死にだったとわかったとき初めてこの世界の異常性に気付いたんだ」
「........」
「気付いたものが動かなければ何も変わらない。それがボクだったから、ボクがやらなければいけないんだ」
「そのために大佐は何が出来る?」
「必要とあらば、全てを投げ出すよ。ボクみたいな思いをする人が1人でも減らせるなら、ね」
........この女の目からは涙は見えても嘘偽りは見えない。なら俺はこの強固な意思についていこうかね。それに........
「........男ってのは難儀だねぇ。美人の涙に逆らえねぇとは........」
「何だい?」
「いや、何でもねぇよ。で、俺は何をすればいい?」
「協力してくれるのか!?」
「その話を聞いて黙っていられるかよ。俺は兵士だ。だから戦場が人に何をもたらすかはこの骨身によく染み込んでる。そんな理由で死んでいく兵士がいるんなら、俺はそいつらを守りたい。そのためならなんだってしてやる」
「そうか........。ありがとう...本当にありがとう…...!」
大佐よ。そこまで泣くほど嬉しいのならいいんだが、鼻水まで垂らすのはいただけんな。なんにせよ、俺は傭兵だ。依頼とあらばこの武を以て依頼人の意志を実現するのが俺の生業だ。
「傭兵~~!!」
「うお!?引っ付くな大佐ァ!ベタベタするぅ~!なんか柔らかいものが当たってるぅ~!!」
................ホントにこの人についていって大丈夫なのか?
~おまけ~
「ところで大佐。1つ聞きたいんだが」
「何だい?傭兵」
「何で大佐は俺の尋問の時に踏んできたんだ?しかも気持ちいいだろ?って........」
「ああそれ。あのやり方は先代に教わったんだ」
「先代?」
「我が軍きっての尋問のプロでね。その手腕で捕虜から女王様って呼ばれてたよ」
「え。なにそれこわい」
「この軍服も先代から頂いたものでね。薄いし男の目線は気になるけど、これで先代みたいになれるなら安いものさ」
世の男に喧嘩を売ってるような過度な露出+ボンキュッボンは先代とやらの仕業だったのか。許せん。
「........大佐よお。この際だから言っとくがそれ着たところで尋問スキルは上がらんし、悪いことは言わんから普通にしとけ」
「えぇ!?これ着ても何もないのか!?先代はこれが秘訣だって、快楽と痛みを使い分けた与えてやればいいって言ってたのに........」
おいぃ........。お陰で痛い思いしたんだがどう落とし前つけてくれんだ先代様よぉ。
「とにかく!そんな格好すんな!目のやり場に困るだろうが!!」
「ほう。傭兵はボクに欲情してしまうのかい?」
「ぬかせバカタレが!!」
その後、散々口喧嘩した末に『契約破棄すんぞ!』の一言が堪えたらしく普通の軍服に着替えてきた。ホントにあのスタイルにヘソだし軍服は反則だろ........