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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の戦
41/86

傭兵の真剣勝負

ヤンデレなんて書けなかったorz

読者様、愚かな私をお許しください

それではどうかお付き合いくださいませ

「そらよ!」

ダダダダ

「キャア!」


よし、当たった!

俺の放った弾丸はネクロの翼に命中し、そのまま落ちていく。しかしこのまま死なせるのも後味の悪い話であるので、チャンスをくれてやることにした。

落下するネクロを捕まえて安全に地上まで降ろしてやる。恋だのなんだのとのたまってはいたもののやっぱり敵である俺に助けられたのは意外だったようで、面食らったような間抜けな顔をしていた。........普通にしてりゃ美人なんだがなぁ。


「........なんでワタシを助けたの?」

「あー、なんだ。ちょいと提案があってな」

「提案?」

「賭けをしないか?」


正直、告白されたことはわりとある。この前のヤチヨ先生もそうだが、長いこと生きてるとそれだけ色んなことがある。だが俺にあそこまで言ったヤツは初めてだったので、チャンスをくれてやることにした。


「一騎討ちだ。使っていいのは得物1つと己の体のみ、それで俺に勝てたら........俺はお前のものになろう」

「........つまり、力ずくであなたを奪ってみせろって言うの?」

「そうだ、できないこともねぇだろ?お前なら」

「........そうね、恋する乙女の力を見せてあげる」


そう言ってネクロは変身を解いた。翼がなくなり、猛禽の爪のようだった脚は華奢な人間のそれになる。俺もコンテナと銃を捨て、太刀1本になる。


「........変身してなくていいのか?」

「この力は与えられたものだから........ワタシだけの力であなたが欲しいの」

「........その意気やよし、だな」


お互いが得物を構え、にらみ合う。どちらが先に動くか、どんな手を出すか、先が少しも見えない真剣勝負がすぐそこまで迫っていた。


「........行くわよ!」

「........来いやぁ!」


先に動いたのは、ネクロだった。


ーーーーー


「ふん!」

「セイヤァ!」


俺は勝利を、ネクロは俺を、互いに譲れぬものを賭けて戦う。お互いが今は全くの人の身であるにもかかわらず、その立ち回りは3次元的でぶつかり合う得物は火花を散らしている。上に避け、左右に避け、時に下がり、時に進み、一進一退の攻防を繰り広げている。........いや、正確には俺が押されている。ほんの少しづつだが、だんだん俺の方にはいなす余裕がなくなってきている。


「どうしたの刃人?このままじゃ負けちゃうよ!?」

「抜かせわっぱが!この程度どうとでもならぁ!」


........売り言葉に買い言葉で啖呵を切るが、正直カツカツなんだよなぁ。恋する乙女の力ってのは案外マジもんかもしれん。何とか言いくるめて変身を解かせたのは正解だったぜ。


「そこ!」

「っ!?」


一瞬の隙を突かれて脛にネクロが突き出した錫杖が突き刺さる。情けない悲鳴をすんでのところで引っ込めるが、たまらず膝をつく。くそ、痛てぇぞ........。


「もう終わりでしょ?敗けを認めてワタシの物になりなさい」

「くっ........うぉ........へ、へへへ。バカにすんなよ。まだ、戦えるぞ........!」

「気持ちはわかるし、もうあなたを傷つけたくはないんだけど........敗けを認めてもらえないなら、もっと痛めつけてあなたがワタシに懇願するようにしなくちゃね?」

「........!」

「さぁ、あなたが苦痛に歪む顔から見せて?」


再び突き出される錫杖。しかし俺はそれを見て、思わず笑ってしまった。


「........!?」

「この時を待ってたぜ!」


突き出された錫杖をつかんで止める。俺を痛めつけると言っただけあって、その攻撃はとても弱く急所に当たるものでもなかった。一方、防がれるとは思ってなかったネクロは予想外の俺の動きについてこれてなかった。その隙に錫杖を太刀で真っ二つに切断する。


「あ........」

「うぉりゃあ!」

「きゃうっ!」


そのまま痛む足を奮い立たせて立ち上がり、その流れにのってネクロの顎に頭突きをかます。出だしの真剣勝負は何ともダサい決定打で幕を引いた。


ーーーーー


「うう~........まさか逆転されるなんて........」

「ハァ、ハァ........言ったろ?どうとでもなるってな」


形勢が逆転し、今度は横たわる丸腰のネクロと太刀を胸元に向ける俺という構図になる。........とはいえこっちもかなりの痛手を負っている。くそったれめ、血が止まらねぇぞ........。


「........言い残すことはあるか?」

「........死にたくない、じゃダメ?」

「悪いがそれは聞けねぇよ、俺たちは戦争をやってんだ」

「そうよね........残念だなぁ」


心底残念そうな声と一緒に涙を流すネクロ。........すっごく申し訳ない気分なんだが、こればっかりは譲れない。敵は討つ、俺に矛を向けたヤツはなおさらだ。


「なぁ、その........俺のことが好きだってのは........」

「本当よ?何でかは自分でもわからないけど」

「........ありがとな」

「こちらこそ、かしら?」


お互いが静かに笑い合う、とても戦場には似つかわしくないが悪くない空気が流れていた。........願わくば、こいつとは普通の街中で会いたかったぜ。ま、靡いたりはしないけどな!


「あー、それと1つ気になってることがあるんだが........」

「何かしら?」

「与えられたものと出来損ないってなんだ?」

「........もう死ぬし、あの方も許してくれるわよね........。ワタシたち『獣おろし』は、ある力を持った種族を模して作られたの。でもワタシたちはあの方の期待に応えられる力を宿せなかったのよ」


........わからないことが増えたが、『獣おろし』の親玉を叩きのめす必要があるのはよくわかった。


「........覚悟はいいか?」

「覚悟なんていらないわ。少し眠るだけ、起きたらあなたがいるはずだから」

「俺にくたばれと?」

「そうよ?いつまでも待ってるから」

「お前が地獄の刑期を終えてもなお生き続けてやるよ」

「なら転生してからあなたを探しにいくわ」

「........んじゃ、おやすみ」

「ええ、おやすみなさい........」


目を閉じるネクロの胸に、俺は静かに太刀を突き立てた........。


ーーーーー


「さーて、どうすっかなぁ........」


参った、この後どうしよう。脚は痛いしバイクもやられちまったし........帰れねぇじゃん。仕方ねぇ、迎えを寄越してもらうか。


「あー、あー、こちら斬崎だ。ニール、ネール聞こえてるかー?」

『聞こえてる~』


おや、珍しく速攻で出てきたな。居眠りもおやつもなしとは関心だな、まあそれが当たり前なんだがな!


「大佐に伝えてくれ。動けねぇから迎えを寄越してくれってな」

『お~け~。場所は~?』

「B47戦域だ。できるだけ早く頼むぞ?」

『了解~、ネールにおまかせ~』


........ネールだったのか、実はニールだと思ってたのは黙っとこう。通信を終え、今度はエージェントフィクサーに連絡を取る。そういえば結局迫撃砲を稼働したのか聞いてない。


(エージェントフィクサー、迫撃砲はどうなってる?)

『とっくに全部稼働してます。後は隊長の指示待ちです』

(なんで報告が今の今まであがってこなかったんだ?)

『うっせぇよ。斬崎、てめえがちんたら戦ってっからこっちは報告を控えたんだぞ?』

(何?)

『全く、刃人らしからぬ戦いであった』

『何が一騎討ちだ、デレやがってこのやろう!』

『ヤチヨ先生との扱いの差がひどいぞ!』

『そうよこの女の敵!』

『あんぽんたーん』

『スケコマシ~』


........チキショー、なんで俺こんなにアウェーなんだよ。あと、ヤチヨ先生は関係ないだろ!いい加減にしろ!


『関係あります~。だから隊長はダメなんです~!』

(んだとオラァ!)


この見てくれは静かだが内では白熱した謎の論争は迎えがくるまで続いた。後で迎えに来てくれたキルオンは「無言で険しい顔をしてた。お腹壊したかと思ったぞ」と言っていた。





まだまだ続きますよ。これからもよろしくお願いします。

それではこの辺で失礼します~

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