傭兵と再来のネクロ
なんでネクロが出てくると話が長くなるのか........。俺に恨みでもあるのだろうか。
うまく書けてますかね?良ければ感想をお聞かせください
それではどうかお付き合いくださいませ
「フフ♪さぁいくわよ!」
「うぅおぉぉお~~!」
空を覆い尽くさんほどの大量の光弾が降ってくる。........なんかどっかで見たな。あ、あれだ。ドキュメンタリー番組でよくある隕石が降ってきたときのイメージ映像。あれによく似てる。
バイクがなけりゃ避けらんねぇよあれ、人の機動性じゃあどうにもならんぞ。
『何なんだよ隊長!あれは人間なのか!?』
「どう見ても化けもんだろ!」
「失礼ね、ただの恋する乙女よ?」
「『嘘つけ!』」
バカなやり取りをしつつも戦闘は続く。隣のアサルトアーミーも小言を言いながら応戦する程度には余裕を取り戻したらしく、手持ちのアサルトライフルでネクロを撃つ。後ろ向いてると機銃が使えないのが痛い。しかも無誘導の弾丸で飛んでる敵を撃ち落とすのは至難の技で、いくら撃っても当たらない。まあこいつらの弾丸はエネルギーを弾倉に詰めるだけだから、リロードはあっても弾切れはない。
(........考えろ斬崎刃人、この状況をどう打開する?)
明らかに不利なのは明白だ。このままバイクのガス欠を待つばかり、そのあとは限りなくジリ貧である。........ってかもうそんなにないじゃん燃料!どうするこれ........。
「........なんか案ない?」
『誘導ミサイルとか持ってたりしませんか?』
「あるけど流石に数がないんだよな。対空戦なんて考えてなかったし」
それに今のネクロが相手なら撃ち落とされかねない。無闇にぶっ放すよりは当たる状況で撃った方がいいに決まってる。
「逃げないでよ、顔が見れないのは辛いわ」
「うるせぇ!こちとら生きるか死ぬかなんだよ!」
『隊長、昔っからそうだったがモテますな』
「てめえ、そっから叩き出されてぇか!?あ!?」
なんなのこれ、切羽詰まってんのって俺だけ?勘弁してくれよ........。なんて思っていると突然攻撃がやんだ。何事かと思いネクロの方を見る。何やら腰の袋に手を突っ込んでいるが、なんか取り出す気か?
「次、いくわよ!」
「........何だ?」
袋に突っ込んだ手が何かを投げる動作をすると同時に降ってくる光弾が変わった。今までのは地面に当たっても砕けて消えるだけのエネルギー弾だったが、今度は地面を抉る実体を伴ったものだ。
「ハァッ!」
光弾をばらまき終わったネクロが今度はほのかに発光する手を地面に向けてかざす。すると地面が小刻みに震えだす。え?あいつ地震も起こせんの?
『た、隊長!あれを!』
「あ?........何だぁ!?」
てっきりネクロが何かするもんだと思って気をとられてたのは痛かった。おかげで横から起きていた地面の変化に気づくのが遅れてしまった。
花だ、花がものすごい勢いで生えてくる。それも上空のネクロに届くかというほどの巨大な花だ。........あの時ばらまいてたのは種だったってことか?
『がっ!』
「!?しまった!」
反応が遅れたせいで下から生えてくる花を避け損ねてしまう。サイドカーに直撃した花はそのままアサルトアーミーとサイドカーを貫いてぐんぐん伸びていく。すでに死んでるので戦死はしないものの、俺の横の仲間がやられるのは耐え難いものがある。
(おい!無事か!)
『........何とか大丈夫だ。死ぬことはないとわかっていても恐いものですな』
頭の中で呼び掛けると、疲れたような声が聞こえる。どうやらちゃんと俺の中に帰ってこれたようだ。
「それにしても........すげえな」
いつの間にか花が突き出てこなくなっていて、辺りは森になったかのようだった。バイクのサイドカーがかなり上の方に引っ掛かっている。100㎏ちかい鉄の塊を貫通してあんだけ上まであげるとは........。
『だが隊長........』
(ああ、好機だが........)
ネクロの化け物じみた芸当を目の当たりにしつつも、俺たちはむしろチャンスを見いだした。ネクロとしてはこれで動きを止めたかったか、さもなくば殺してしまいたかったんだろうが、この花の森は逆に俺たちに隠れる場所と足場を提供してくれた。さっきよりは明らかに事態が好転している。........が。
「........誘われてるな」
奴さんの方もこれで俺が死ぬと思ってるとは思えない。にもかかわらず足場と隠れ場所を俺たちに提供してきたってことは、俺たちはナメられてるという見方もできる。何より、俺の全てが見たいとほざいた矢先に殺してしまうってのはあり得ないと思う。
『........どうする?』
(やるしかねえよ。誘われてるってんなら乗ってやるさ)
どうせこのままでは事態はよくならない。ならばあえて突っ込んで、敵の誘いを逆手にとるしか勝機はない。4次元コンテナから毎度お馴染みの太刀とアサルトライフルを取り出し、さっき撃沈されたアサルトアーミーをもう一度呼び出す。
「悪いがもう少し手伝ってくれ」
『え~........』
「そこをなんとか!」
『........了解、任せろ』
何とも嫌そうな返事をいただいたが、準備はできた。あとは行くのみ........。
「さぁ、始めるか!」
『おう!』
ーーーーーーー
「まだかしら........」
ワタシことネクロは、今愛しい人を待っている。一応殺すつもりでやったけどワタシの刃人があれで死ぬわけがない。彼は必ずワタシの前に現れる、そう思ったらいくらでも待てるわ。
それに、わざわざ花を生やしたのには理由がある。この子たちの種は私が手塩にかけて育てたもので、ワタシの力と同調して感覚を共有することができる。つまりは........。
「フフ、来た来た♪」
彼がこの中にいる限り、その行為は全てワタシに筒抜けってこと。彼の行動を全て把握してるこの感覚はまるで彼を支配してるような優越感がある。この征服感、........たまんなぁい♪
「早く来て?そしてワタシと一緒に遊びましょう?」
ーーーーー
「........実はもういたりして」
ネクロが空中でくねくねと悶えてる間、俺はすでに花の上でアサルトライフルでネクロを狙っていた。
ネクロが植物を操れるのは最初の捕虜収容所で把握してたし、かつてカメルと戦った際に探知系の魔法が存在することも確認済みだ。この2つからこの中では俺たちの動きがバレるだろうって可能性は割と簡単に導き出せる。そうなれば対策を練ることができる。
「........大丈夫かねぇ」
非常に申し訳ない話なんだが、アサルトアーミーには囮になってもらってる。その間に『ゴーストシステム』を展開、隠れつつ脚力を強化しながら一足先に登ってきたというわけだ。そのうち囮になったアサルトアーミーには飯でも奢ってやるか。........ってかそもそも食えんのか?あいつ。
「........」
もちろん即死させはしないが、動けない程度の傷は負ってもらうことになる。俺はネクロの黒い翼に照準を合わせ、引き金を引いた。
いかんな、メインヒロインがこのままだとネクロになりかねない
大佐やお嬢ちゃんに殺される前に軌道修正せねば........。
それではこの辺で失礼します




