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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の戦
39/86

傭兵の指揮

素質は指揮官、性根は兵士が斬崎刃人です

ホントならネクロさんには1回目で退場して貰うつもりだったんですがね........

それではどうかお付き合いくださいませ

「こちら斬崎刃人だ、どなたかね~?」

『........こちらクレイグ、聞こえているか?どうぞ』

「感度良好、用件はなんだ?どうぞ」

『こちらの区域で『獣おろし』らしき者を確認した』

「どんなやつだ?」

『空を飛んでるやつだ。遠目からだったので詳しくはわからんが、黒い翼と長物の得物だ』


黒い翼に長物って........ネクロじゃん、そういや討ち漏らしてたな。まさか懲りずに戦場に出てきたのか。


「わかった、こっちで対処する。どこに向かったかわかるか?」

『今はB47戦域に留まっているのだが、まるで何かを探してるかのようにさっきまで飛び回っていたぞ』


マジか、気づかなかったわ。もしかして俺狙われてる?リベンジしたい的な感じで。


「こっから反対側かよ........めんどくせぇな。了解した、報告に感謝するぜ」

『気を付けろ、他の戦域でも我が軍に疲労が目立ち始めているぞ』

「で?俺にはあんまし関係なくね?」

『貴様が各地に援軍を差し向けてるのは現場の者は皆知っているが?』

「マジか、........まあなんとかなるだろ。通信終了」


通信を切り、そのまま出撃準備に入る。といっても、4次元コンテナを担げばほぼ終わりなんだが。

準備が完了すると今度はエージェントフィクサーを出して指示を出す。


『任務はなんだ?隊長』

「このクレーターの周りの随所に設置されている迫撃砲を使って援護射撃をかけろ。あれを遊ばせておくのは惜しいからな」

『了解』

『護衛の部隊はどうする?』

「偵察に出してるゴーストスナイパーから報告があったがそんなもんはいねぇとよ。敵に奪取される事もないし、バカな参謀の連中はあくまであの修羅場に人を送り続けるつもりらしいし」


顎で眼下の戦場を指す。時間がたつにつれ、疲弊し始めたガーンズ軍と好機と見て討って出始めるウィーズ軍の戦闘が激しくなってきていた。


『上がバカだと下の連中が苦労するのは異世界でもおんなじなのか........』

「残念ながらな、というわけで護衛のアサルトアーミーは最小限配備するだけとする。質問は?」

『『『なし!』』』

「なら行ってこい野郎共ォ!」

『『『了解ィ!!』』』


エージェントフィクサー部隊を送り出したあと、今度は残ってるアサルトアーミーとコンバットファイターをすべて召喚する。その数はざっと4000ほどだろうか、思ったよりいないことにビックリした。


「いいかお前ら!これから俺らの隊で迫撃砲による攻撃を行う。お前らは攻撃が始まるまでにすべてのガーンズ兵士の撤退を援護しろ!」

『承知!』

『任せろ!』

『やってやるぜ!』

『男には負けないよ!』


集団の中から次々と声が上がる。これだけ士気旺盛ならきっとやってくれるだろう。........欲を言えば統一感が欲しいんだがな、いくら俺の中で繋がってるとはいえこれだけバラバラな返事をされるとコレジャナイ感がすごい。


「行ってこい!我らが理想を掲げるために!」

『『『我らが理想を掲げるために!』』』


俺の号令と共に兵士たちは己の責務を果たすため、己の戦地に赴いた。........ホントなら死人は出さないに限るのだが、今の俺たちにはせいぜい人死にを少なくするよう努める程度である。

それでも俺たちは信じてる。やがて人間が俺たちの理想を理解し賛同してくれることを。そして誰も戦火に焼かれずに済むときが来ることを。

........思えば、戦うことで生きている俺たちが掲げた理想が戦わない世の中とは。結構な矛盾を孕んでんじゃねぇかよ。何でこんな理想を掲げたんだっけか........。


『そりゃあんたが誰よりも他人の死を恐れるからだろ』


不意に仲間の一人が言葉を放つ。召喚しているときでも精神は常に繋がっているのでこうした頭のなかでの会話もできるのだ。


『隊長の中にいたからよくわかるぞ』

『あなたは確かに強いけど、周りは必ずしもあなたのような者ばかりじゃなかった』

『悠久の時の中で、お主は数多の弱者の死を見てきた』

『そのたびにお前は痛烈に感じた』

『置いていかれる苦しさを』

『なぜ己の身は朽ち果てぬのか、と嘆いたこともあったのぉ』

『だから君は思った』

『どうせ同じように死ねないのならばせめて弱者が少しでも長く生きられる世を作ろう、と』

『私たちはそれに賛同するわ』

『斬崎刃人、貴様は理想を疑ってはならない』

『お前は、ただ願いながら戦えばいい』

『『『お前の道を我らは支え続けよう』』』

(........バカ野郎共が)


いくらなんでもクサ過ぎだろ。もういい歳したじじぃやばばぁまでいるってのに。厨二病患者でもそんな言葉を吐いたりしねぇよ。


『うるせぇよ、バーカ』

『言われたくないなら黙って働くの』

『死ぬまで言い続けてやるぜぇ~』

(やめてください死んでしまいます)


羞恥で死んだって人間として極めて不名誉な話だと思う。


「んじゃ、行きますか!」

『『『オオーーー!』』』


確かに言われた通りだ。迷う必要なんてない。ただ目の前の戦を制すればいいんだからな。


ーーーーーーー


ドドドドドドド........

「うーぬ、さすがに遠いな........」


さて、いこうと思ったのはいいがネクロらしいのがいたところは俺の位置のほぼ反対側だった。直径10㎞はあるかというクレーターで歩いていくのは論外だし、俺はさすがに空は飛べない。

そこでその辺にあったバイクを拝借してきた。機銃付きのサイドカーがついていたが外す時間も惜しかったのでそのまま出てきた。


『こちらフィクサー1、迫撃砲を稼働させました。このまま次の指示まで待機します』

(了解、周囲を警戒しろ)


着々と部隊の様子が伝わってくる。迫撃砲は全部で12箇所、すべてをおさえた後に攻撃を仕掛ける。それまでに終わらせなけりゃな。


「........あれか!」


空中にいる人形の影をようやく捉えた。正体は間違いなくネクロである。


「!........あのバカ!味方を撃ち始めやがった!」


まるで俺が来るタイミングを待っていたかのように上空から無数の光弾で地上を攻撃しだした。その様はもはや爆撃といってもよかったほどだ。........何とかしてやめさせねぇと、どうすりゃあ........。

そこで俺は、隣を見て「これは使える!」と思ってアサルトアーミーを1人、サイドカーに召喚する。


「おい、あの飛んでるやつに機銃そいつでぶっ放せ!」

『了解!』


機銃が薬莢をそこらじゅうにばらまきながら火を吹く。さすがに備え付けの機銃は連射スピードや弾丸の威力が桁違いだぜ!重くて動かせんのが難点なんだが。あと音がでかい、イヤーマフラーはどこやったか?


「........っし!こっちに気づいた!」


弾丸は当たりこそしなかったものの注意を引くのには十分だったようで、ネクロが攻撃の手を止めてこっちを向いた。

その姿こそ、最初に捕虜収容所で戦ったネクロその物だった。黒髪おかっぱに隠れた目元、紫のオニユリがあしらわれた着物に先の尖った錫杖は全て見たまんまである。見た目は。

だがその身から放つオーラというか空気は全く別物だった。明らかに指向性があるその視線は、まるで獲物を見つけた時のものだった。しかしその視線からは殺気のようなものは感じられず、むしろ慈しむような、欲しいものが目の前にある時の感じがした。それがあまりにも異質で逆に底知れないものを感じる。あれは尋常じゃねぇ。


「ふふ、来たわね♪」

「........また性懲りもなく戦場に出てきたのか」

「ええ、全てはあなたのせいよ?」

「何?」


俺のせいで戦場に出るって?さっぱり意味がわからん。


「正直もうワタシにとってはあの方や使命なんてどうでもいいのよ」

「........ほぉ?」

「ワタシはあなたと出会ったせいで愚かな女になってしまった」

「........」

「もう何をしていてもあなたのことしか考えられないの。ご飯を食べてても、お風呂に入ってても、夢の中でさえあなたのことを考えてしまうわ」

「........え」

「あなたが欲しい。魂だけじゃなくてあなたの身体、意志、心........あなたの全てが欲しくて欲しくてたまらないの」

「え、怖っ」


何だろう、初めての感覚だ。恐怖に近いんだが似て非なるもので、どっちかって言うとキチ○イを相手にしてるようだ。人間の最大の敵は言葉が通じない相手だって聞いたことがあるが、今見に沁みてわかった。


「ワタシは気づいてしまったのよ。これはもしかしたら恋ってものなのかも、って」

「いや、それはない」

「そんなことはないわ。ワタシはあなたの全てが見たいの。笑うとどんな顔をするのか、どんな風に悲しむのか、寝顔は可愛いか、あなたを犯したらどんな反応を見せてくれるのか、そして........あなたはどんな風に死んでくれるのか」

「........なるほど、これが世に言う変態ってやつか」

『少し違うと思うが?』


違うわけないだろ、これを変態と言わずしてなんと言うんだよ。........てかお前の中では結局俺は死ぬ流れになってんのな。


「他の魂なんてどうでもいい、ワタシはただあなたがいればいいのよ?でも、あなたは無限で出来損ないのワタシは有限。だから........」

『........!?』

「来るか!」


途端に辺りを緊張感が包む。とても目の前の女の子が放ってるとは思えないほど重厚で押し潰されそうな、しかし殺意や敵意はさほど感じないなんとも名状しがたい空気がたちこめる。隣のアサルトアーミーはガタガタと震える始末だ。


「........死が2人を分かつまで、じゃなくて死を以て1つになりましょう?ワタシの愛しい、斬崎刃人♪」










残念ながらネクロさんはヤンデレになってしまいました。うまく書けてるといいんですがね........。

え?私?ヤンデレ大好物です

それではこの辺で失礼します

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