傭兵の不安
大分間が空きましてすみません
ここから戦争回です
それではどうかお付き合いくださいませ
『........こちらキルオン!第38中隊がやられてる、応援を送ってやってくれ!』
「こちら刃人了解、アサルトアーミーを送る。到着まではお前とゴーストスナイパーズで加勢してやってくれ」
「わかった」
通信を切り、それと同時に仲間たちを召喚する。本陣に設置されたテントの中にあっという間に小隊規模ではあるが手練れの兵士が現れる。いつも通りの姿ではなくこのときは全員同じ服装に装備であった。服装がごちゃごちゃでガーンズ兵との間で同士討ちが起こることを考えて戦闘の際には外見をそれぞれの役割に合わせて統一したのだが、どうやらうまくいっているようだ。
俺たちはいわゆる遊軍のポジションである。キルオンが俺の仲間と共に戦場を見て、ヤバそうなところがあれば俺に報告し、俺が援軍を差し向けるという訳だ。
「傭兵、首尾はどうかな?」
「おや大佐。........今のところ落ち着いてはいる、悪く言えば膠着状態だ」
「そうか........。にしても、ウィーズもすごいものを作ったね」
「........あれか」
本陣はいくつかの小高い丘の上に複数設けられていて、俺たちはその端っこにひっそりと陣を構えていた。その眼下には敵が陣取るゴッドクレーターが一望できる。
そこにあったのは巨大な青白いドームだった。実体が無さそうに見えるそれはウィーズ軍が展開した障壁であり、本陣近くに設置された迫撃砲などの遠距離射撃は一切無効化されてしまっていた。絶対不可侵の領域のせいでこちらから仕掛けることが出来なくなった今は、中から出てくるウィーズの部隊を迎撃することしか出来ずに戦況が動かなくなっている。
「敵さん、手慣れてんな」
「うん。出てきてもすぐに退くし、逆に疲弊した部隊に狙いを定めて攻めこんで来てる」
「上の連中も頭悪ぃな、出てきたやつだけ迫撃砲で狙えばいいのによ」
「........人より物資を惜しむからね」
「出し惜しみかよ。この戦いが誰のせいで不味いことになってるかってわかってんのか?」
遠距離射撃のための装備は敵陣に撃ち込んでも効果がないとわかったところでほぼ放置された状態になってる。
「........セオリーならこの地形じゃあ勝ちの目は相手にゃあないんだがな、堅すぎだろあのバリア」
「........もしかしたらハンクみたいな大魔法使いがいるのかもね?」
「あ?誰だそれ」
聞きなれない名前が大佐の口から出てくる。話の流れ的にはウィーズの魔法使いのことなんだろうが、ガーンズにまで名前が知れている魔法使いとは珍しい。
「ウィーズにかつて実在した魔法使いだよ。といっても、100年も前の歴史の人だけどね。このゴッドクレーターも彼が放った1発の魔法でできたんだって」
「はあ!?」
いやいやちょっと待て。このクレーター直径が10㎞はあるぞ!?それをたった1発でこさえるって........。そいつは身体から核爆弾でもひり出せんのかよ!
「たった1人でガーンズに潜入して、当時ここにあったガーンズの施設群を自分の命と引き換えに薙ぎ払った........ウィーズでは今も色褪せない英雄さ。その彼の異名がゴッドだったんだって」
「だからゴッドクレーターねぇ........」
そんなところに今度は1人が潜入どころか大軍が押し寄せてるんだが、昔の人々が見たらなんて思うかね........。
「........」
「傭兵?何か不安でもあるの?」
「ん?ああ、少しな」
「よければ聞かせてもらえないかな、後学のために」
「そうだな、考えてるだけでも仕方ねぇしな」
俺が戦場で不安を感じるなんて滅多になかった。しかし相手は魔法なんて使うとんでも軍隊だ、しかもこの世界に来てはじめての戦争らしい戦争だ。はっきり言って俺的には未知そのものである。
「まずな、敵が何であの場所に陣取るかだ」
「それはボクたちが首都への道を阻んでるからじゃ........」
「だとするならホントはさっさと撤退だ。無理とわかれば早く決めねえとそれだけ苦しくなる」
「そうだね」
「ましてや俺たちは未だに連中の退路を断ってない。敵さんにしてみれば退くしか選択肢はないはずだ。それでもあそこであんなもん拵えてまで停滞するのは何でだろうな?」
ウィーズの障壁を見ながら1つ目の疑問を口にする。
「つまり........彼らの目的は首都じゃない?」
「俺はそう思ってる。なんかの時間稼ぎのような気がするんだよな」
「そうだとすれば何のためだろう?別動隊がいる様子はないし........」
「わからん、だから不安なんだよまあどっちにしろ、こいつらを放置するわけにはいかねぇんだがな」
「うーん........それとなく探ってみようかな。で、次は?」
「あ?」
「次、まだあるんでしょう?」
今日の大佐はどうも察しがいい、いつものマヌケっぷりが鳴りを潜めてやがる。........いつもこれなら楽なんだがねぇ。
「........お嬢ちゃんについてだ」
「何で?普通の歩兵や車両部隊ならまだしも、あれが簡単に負けるとは思えないんだけど?」
「あれしかないからだよ?」
「........?」
........流石にわからんか、仕方ねえな。いくら今日は調子がいいとはいえ、前線に出たこと無さそうだし。
「大佐もあれ見たならわかるだろうが........鈍かったろ?あれ」
「確かにとてもゆっくりした動きだったね」
「あれが固定砲台ならいいんだが、ありゃ近づかれたら終わりだぞ?」
「........つまり近距離戦に対応出来ないってこと?」
「俺の見立てではな。車両部隊もそうだが本来あの手の兵器は歩兵と連携するもんだ」
だがあのとき見た限りではお嬢ちゃんの部隊に歩兵はいなかった。つまりは........。
「近づかれたら終わりってそういうことなのか........」
「そうだ。ホントなら今すぐ援軍を差し向けたいぐらい心許ないんだが、いかんせんどこにいんのかわからんからなぁ........」
「キルオンの連絡待ちだね」
「だな」
実のところ、これ以外にも漠然とした不安がある。正体のわからんものは往々にして怖いもんだ。
「イツキ~刃人~」
「お電話~」
ニールとネールが呼んでいる。一応オペレーターなので、彼女たちの方でも戦況の情報収集をやってもらっている。といっても、細かいことまではわからないので直感でヤバそうなのを教えて貰うことにしている。
「........電話って」
「誰からだろうね?」
俺は誰から来たのかわからない連絡を受けるためにテントの中に戻った。
ガンブレ2にはまってしまいました。
ザク作るのがマジで楽しいです。
それではこの辺で失礼します




