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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵の戦
36/86

傭兵たちの新兵器見物

明けましておめでとうございます!

今年もこの作品をどうかよろしくお願いします。

それでは新年1発目、どうかお付き合いくださいませ

「........圧巻だな」

「うん、すごい数だよね」

「「蟻んこみたいだね~」」

「蟻んこって........」


俺がもたらしたウィーズ軍による首都キューカズへの侵攻作戦の情報は、最初はあり得ないと一蹴されたし俺自身も半信半疑だった。しかしそれは、一週間ほど前の一報で真実であることがわかる。

国境警備についていた守備隊の1つから連絡が途絶えた。先の捕虜収容所の教訓から即座にステルス観測ポッドを送った結果、送られてきた映像にはとんでもないものが映っていた。

ウィーズ軍、それもこの世代が今まで見たことのないほどの大規模な物である。それが人知れずにガーンズ領の山岳地帯を進軍していたのだ。

これには流石にウィーズの政治家たちと結託してた上層部もたまげたようで、すぐさま迎撃のための部隊がこれまたえらい規模で編成されていた。首都で編成された部隊は各個に出撃し、ゴッドクレーターと呼ばれる窪地で集結、総力をもって迎撃するって作戦らしい。

で、俺たちは今その出撃していく部隊を文字通り高みの見物しているわけだ。


「まさかホントに来るなんてな。オデまだ信じらんねぇよ」

「確かに信じがたい情報ではあったけど、もう少し傭兵の情報を把握していればここまで慌てふためいて準備することもなかったと思うな」

「まして敵さんからもらった情報だからな。報告したあとまたスパイだと疑われたぞ?」


いやはや、隠せばバレたときに叩かれるのは目に見えているのに正直に報告してスパイ呼ばわりとは。お偉いさんはどんだけ俺のことが気に食わないんだよ。


「それはそれは~」

「災難でしたね~」

「........まあそんなことはさておき、何で俺たちはこんなところで高みの見物を決め込んでるんだったかね?」

「うん、見たいものがあってね。アリス中佐のところが開発したっていう新兵器なんだ」

「新兵器?」

「そう、新兵器」

「皆!あれ見てみろ!ありゃなんだ?」

「お~」

「おっきい~」


キルオンがすっとんきょうな声をあげてとある方向に指を指す。その方向に目を向けてみるとそこにはいかにもさっきまでの話題に上がっていた新兵器っぽいもの、しかし俺が考えていた兵器とは明らかにかけ離れたものがあった。


「........ロボット?」


それは手足が2本ずつあって歩行する人形ひとがたの巨大な物体だった。モビ○スーツのようなスリムなものではなく、ぶっとい脚部に支えられた小さめな胴体、腕があるはずの部分には武装が施されていた。後ろについてるのはスラスターのようだ。そしてその全体的に過剰ではないかと思うほどの重装甲はこの兵器のコンセプトが重装甲による防御と火力による制圧であり、機動力はハナから考えてはいないってことを存分に主張していた。


『すげぇ兵器だな』

『ついに時代も宇宙世紀か』

『これがありゃ斬崎ごときに負けはしなかったんだがなぁ........』


予想外の新兵器のスケールに仲間たちもざわついている。少しでも戦争に参加していたのだ、すごい兵器の話には興味があるらしい。あと最後に言ったやつ、あんなもんが出てきたくらいで負ける訳がねぇだろが。


「あ、お兄さんたちじゃないですか」

「!?」


不意に最後尾を進んでいたロボットが立ち止まりこっちを向いて声をかけてきた。胴体の真ん中のマジックミラーのコックピットが開く。俺たちを見てお兄さんなどと呼ぶのは一人しか思い付かない。


「あれ?イツキ大佐にキルオンたちまで。何してるんですか?」

「アリス中佐、これが新兵器かい?」

「あ、これを見に来たんですね。って言ってくだされば見学くらいなら出来ましたけど?」

「ん、暇だったからね」

「暇だったの~?」

「お仕事は~?」

「う.......」

「大佐殿、見事に地雷踏んだな」


大佐の顔色がどんどん悪くなっていく。仕事溜め込むなと俺とキルオンで死ぬほど言ってるんだが、バカは死ななけりゃ治らないのと一緒でこのサボり癖も死ぬまでそのまんまかもしれない。


「........しかしこりゃまたえらいもんを拵えたな」

「ええ、重機動兵器『ヘビーブレイカー』です。どうですか、この重装甲と多彩な火器!量産こそまだですがこの試作機一個小隊でも敵を圧倒できます!」

「おーおー、頼むから頑張ってくんな。お前らが暴れてくれればそんだけ俺らは楽になるし、もしかしたら出撃しなくてもいいかもしれん」

「刃人もサボり~」

「給料泥棒~」

「ウルシャア!働かずして金が稼げるってのは最高だろ?」


子供にはわかるまい。俺たち兵士は命がけで仕事してんだ、死ぬ必要のないと言うのはすごく安心できることなのである。


「........ところで、置いてかれてるけど大丈夫なのかな?」

「ハッ、すぐ行かないと!それでは皆さん、これで失礼します」

「アリスちゃん気を付けてな~」

「キルオンもですよ。お兄さんも含めて、幸運を」


コックピットを閉じて再び進み出す『ヘビーブレイカー』、急いでるんだろうがそれにしたってあんまり速度が上がったようのは見えなかった。........いくらなんでも死にすぎじゃないか機動力。


「じゃあ見るものも見たし、ボクらも帰って作戦会議だよ」

「その前に仕事しろ」

「大佐殿、頑張ってください」

「何でさ!?」


「手伝ってくれないの!?」って顔で大佐が驚愕しているが、自業自得なので知らん顔をする。........あ。


「あーらら、俺知らね」

「大佐殿、ホントに頑張ってください」

「え?何なの突然」

「イツキ~」

「後ろ後ろ~」

「後ろ?」


後ろを振り向いた大佐の目の前にいたのは、笑顔の副官さんだった。笑顔っちゃあ笑顔なんだが、目はその限りではないので怒ってるのが一目瞭然である。どれくらいかと言うと、フリ○ザ様が副官さんに菓子折持って弟子入りに来るくらいヤバい。


「大佐?」

「は、はひ!」

「........遺言はありますか?」

「ゆ、遺言!?」

「冗談です」


おい、いくらなんでもシャレになってませんぜ副官さん?正直俺も殺されるかと思った。見ろ、ニールとネールなんか知ってる顔のはずなのにまるで言葉の通じない野獣が出てきたかのように俺とキルオンの影に隠れてしまってるぞ。


「これからやることは........わかってますか?」

「い、いやほら........これから傭兵たちと作戦会議だから........」

「わかってますか?」

「........はい」

「では刃人さんたち、少し大佐を借りていきますがいいですか?」

「どうぞ持っていってください」

「大佐殿、骨は拾うぞ」

「「御愁傷様~?」」

「では行きましょうか?」

「この薄情者~!!」


ズルズルと引きずられていく大佐の断末魔にも聞こえなくもない叫びを聞きながら、俺たちは副官さんを怒らせてはならないと再認識した。

何でヤチヨ先生なんて出したんでしょう........自分でもよくわかりません。

それではこの辺で失礼します。

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