傭兵の正体
チート追加オーダー入りまーす
そういうわけでどうかお付き合いくださいませ
「何かあったのかい?傭兵」
「いやな........大佐よ、このあと時間はあるか?」
「夕方には作れるけど?」
「空けといてくれ、話したいことがある」
「この前のことと関係があるの?」
「そうじゃねぇよ。俺が何者なのかについて少し........な」
「........わかった。夕方にボクの部屋まで来てくれ」
「了解」
『獣おろし』討伐作戦から2週間が経った。あのあとは特に何もなく無事に帰還し、大佐にことの顛末を報告した。部下の死亡に関することはクレイグが1人でやると言うので俺の任務はそのまま終了した。
大佐には今回の戦闘で起きたことをすべて報告した。その中には当然俺のことも含まれている。今後この戦力が大佐の役に立つと思えば報告しない手はなかった。
そしてこれから話すのは、覚醒した力に関連した俺についての事だ。俺は他の人間とは少し違う事情を抱えている。力が覚醒したこれを機にすべて話してしまおうと思ったのだ。
ーーーーーーー
「さて........行きますかね」
午後5時30分、だいたいこんな時間だろうと大佐の部屋の前にやって来た。
「大佐、入るぞ」
『いいよ、入ってきて』
部屋に入った俺はそこで奇妙なものを発見した。
「........何でお前らがいるんだ?」
「オデか?いや~、........暇だったから?」
「お兄さんのあんな事やこんな事が聞けると聞きまして」
「「おやつがあったから~」」
「最終報告をしに来たのだが、気がついたらここで菓子をごちそうになっていたのだ」
「細かいことはいいから傭兵も早く入って、寒いよ?」
大佐の執務室には中央に炬燵が鎮座していた、それもかなりデカイやつ。そこには定番のみかんをはじめとしたいろんなおやつの類いが乗っていた。相当な量があるが更に辺りに菓子のゴミが散らばっているのが、ずいぶん前からこれをやっていたのが窺える。
そしてそこには大佐の他にもお馴染みのメンバーが炬燵でぬくぬくとしていた。クレイグまでいるのは少しビックリした。
「あー........何だ。出直してくるか?俺」
本来なら時間を作ってくれと言ったのにこの状況なら怒っていいと思うんだが、今の俺としてはそんなことはどうでもよかった。
「このままで聞くよ。傭兵は堅苦しいのは嫌いでしょ?」
「そうですよ!むしろ嫌でも聞かせてもらいます!」
........どうやら気を使わせていたらしい。確かに堅苦しいノリは嫌いだが、ここまで来るとさっきまで沈んだ気持ちだったのがバカらしくなってくる。
『気のいい連中じゃないか』
(ああ........お陰でのびのび傭兵稼業をやらせてもらってるさ)
『これは直感だが、彼女たちはお前の正体を知ってもなんとも思わないんじゃないか?』
(だといいんだがね........)
俺の中から語りかける仲間の声に答えながら俺は炬燵の空いてる部分に入る。ちょうど大佐が正面でアリスのお嬢ちゃんとクレイグが隣になった。........おお、こいつぁ温いぜ。
「さて、と。話ってのは他でもない、俺についてだ」
「興味があるよ。君について知るには君が口を開いてくれるのが一番だからね」
「........始めに言っとくが、これから話すことはかなり荒唐無稽だ。だが事実でもある。それだけは覚えといてくれ」
「そんなことより早く、早く!」
........アリスのお嬢ちゃんはいったい何を期待してるんだろうか。これから始める話はそんなに面白くないんですけどねぇ........。
「面倒くさいから要点だけ言う。........俺は不老の身だ。いくつかは忘れたが、俺の世界では最古の人間だった」
「........ん?」
「........おん?」
「........はい?」
「........何?」
「「みかんうまい~」」
まあそういう反応になりますよね。いきなりこんなカミングアウトされたら「こいつ何言ってんの?」ってなるよな。
「はい質問ある人~」
「........は、はい!」
「ほいお嬢ちゃん」
「........どうやって信じろと言うんですか?」
「ですよねー」
いやーごもっともですな。とはいえ、こっちも嘘言ってる訳ではないんだよねぇ。
「まあわからんでもないんだよその言い分は」
「いきなりそんなこと言われても........」
「まあ事実だしな。何なら、俺の身体を調べてみるか?」
「ジントよぉ。するってぇとどうなるんだ?」
「俺の身体はよ、どういうわけか細胞分裂が止まらねぇんだよ。人間ってのは死ぬまでの細胞分裂の回数が決まってて、その終わりが死だって訳なんだと。それが止まらんってことは........」
「........不老不死という訳か」
「不死かどうかはわからんよ。俺死んだことねぇし」
「まったくだね~」
「じゃあいっぺん死んでみる~?」
「お断りだ!」
「「「ハハハハ」」」
試しに死んでみるとか冗談じゃねぇや。「ドラ○ンボールで生き返らせるからでぇじょうぶだ」って訳でもねえのに。........それにしても、思いの外引かないな、こいつら。
「........嘘だと思わねぇのか?」
「ん?傭兵は嘘ついたのかい?」
「........ついてねぇけどよ」
「ならいいと思うよ。どんな過去を持ってても関係ないでしょ?異世界だし」
「そだな。オデの隣で戦うキリサキジント、それだけわかってれば十分だ」
「「美味しいご飯を作ってくれれば何でもいいよ~」」
「戦場において過去は必要ではない。斬崎刃人、お前はそれを知っているはずだ」
「命の恩人の過去を知ったくらいで手のひらを返すような真似は流石にしませんよ?」
......いい加減な言葉からありがたい言葉まで様々だが、こいつらは俺を受け入れてくれたようだ。こんな化け物じみた俺をだ。
「ありがとうよ........皆」
「そう思うなら、これからもよろしくね?傭兵」
「........おうよ!」
「…ハァ~それにしても、辛気くさい空気のせいで腹減ってきたな」
「いや、そこに大量の菓子とかが........ない」
今まで気づかなかったが、いつの間にかあんだけあったみかんや菓子の類いがごっそりなくなっていた。........俺ひとつも食ってないんだけど。そう思って見回すと、ニールとネールが口許を押さえてもぐもぐやってんのが見えた。
「お前らか........」
「な、何かな~?」
「お菓子なんて知らないよ~?」
「お前らの腹はどうなってんだよ........」
「女の子のお腹に興味があるなんて~」
「大変だ~」
「「変態だ~」」
「ド阿呆!違うわバカタレ!」
「わ、私のお腹は見ても面白くないですよ........?」
「見ねぇよ!」
「「「アハハハ!!」」」
こんなことをやりながら終いにゃババ抜き大会になり、俺たちは副官さんに見つかって怒られるまでいつの間にか始まってたプチ宴会を楽しんだ。
クリスマスイブ?バイトでしたが何か?(半ギレ
明日は時間があればクリスマスネタを投下しますよ
それではこの辺で失礼します




