傭兵、捕虜を助ける
はいどーも~
今回は少し長くなりましたかね?
そういうわけですが、どうかお付き合いくださいませ
「気を付けろ。何が出てきてもおかしくねぇぞ」
「わかっている。........それにしても薄気味悪いところだ」
クレイグと合流してから、俺達は大木のなかに侵入した。今は木の中から上を目指して螺旋状の通路を進んでいるところである。なかなか広い空間が空洞になっていたが、ここにたどり着くまで結構歩かされたのでこの木のでかさを再認識させられたぐらいだ。
思った通り、中は蟻の巣を思い出させるような人工的な通路や小部屋があった。しかし土や蔦がそこらじゅうについてるし虫やリスみたいな小動物がうろうろしている、自然と人工が調和した施設である。
「それにしても随分登ったな。下はどうだ?斬刃人崎」
「........問題なし。それよりもこの暗さだ、なんかあっても見落としたりすんなよ?」
この施設はとにかく暗い。外から見てたからわかっていたが、当然1本の大木に窓なんてあるはずもないし照明のようなものも何もない。つまり、この施設には明かりがまるでないのだ。今は俺のアサルトライフルに備え付けてあるライトとクレイグの鎧に内蔵されているライトの2つの光源しかない。........ここにいるやつの目はどうなってんだ?
「........む。登り坂が終わるぞ」
進んでいくと言葉通り坂が終わり、広いスペースに出た。なんだこのだだっぴろ........い訳でもないな、真ん中になんかある。
「なんだこれ?」
「わからん........」
広場の真ん中にあったのは直方体だった。そうとしか言えないからそういうしかない。高さは4m、横幅は縦が5m、横が20mほどだろうか。材質は木のようだがまるで最初からこの形状だったんじゃねーかと思うくらい継ぎ目とかがない。こんなことがあり得るのか?
『誰だ?』
「「!?」」
いきなり声がした。声が響いてしまっていてどこからかはわからなかったが、反響する声が確かに何者かが声を出したことを物語っていた。
『誰かいるのか?』
「........ああ、いるぞ」
とりあえず返事をする。声をかけられたってことはすでにバレてると思っていいだろう。となれば無視を決め込むのにはあんまり意味がない。
『助けてくれ!捕まってるんだ!』
「何?お前たちは捕虜か?」
『そうだ!あんたが誰かはどうだっていい、ここから出してくれ!じゃなきゃ俺達はなぶり殺しにされちまう........』
会話のお陰で場所がつかめた。........というか考えるまでもないことだった。彼らは目の前の箱の中にいるらしいが、知らない声なのが少し引っ掛かる。敵の罠だったりしねぇだろうな........。試してみるか。
「........クレイグ、あんたの部隊はお前を識別出来るか?」
「........どうだろうか、任されてから本当に日が浅かったからな。俺はわかるが........」
「........代わってくれ、あんたにこいつらが本当に捕虜か確かめてもらう」
「いいだろう」
俺が後ろに下がり周囲を警戒し、クレイグが前に出る。そしてクレイグは質問を始めた。
「クレイグの部隊の者はいるか?」
『私です隊長』
「貴様の名は?」
『ダイソンであります』
「階級は?」
『伍長であります』
「着任時の宴会で酔いつぶれた者は何人だ?」
『全員であります!誰も隊長に敵いませんでした!』
『『『ワハハハ........』』』
中で複数人が会話につられて笑いだす。この男、よく部隊を手懐けてるようだな。日が浅いとか言ってたが隊員が覚えてる笑い話があるとは........。
「(........どうなんだクレイグ?)」
「(........本物と見て間違いないだろう。何かあれば責任は俺がとる)」
「(了解)」
本物なら長居させとく理由はない。早速フレアブレードで壁に穴を開ける。すると中から続々と人が出てきた。多くは赤と黒のガスマスクがお馴染みのガーンズ兵士だったが、なかには毛皮をまとった猟師もいた。大佐の言ってた通りだな。
「隊長~。ありがとうございます~」
出てきた兵士の何人かがクレイグに駆け寄る。よく見たらこいつら黙って先走った連中じゃねーか。
「バカ者!!聞いたぞ貴様ら!下らないことで功を焦ったそうだな!?」
「はい........すみません」
お?てっきり反発するかと思ったが........。さすがにそこまでバカじゃなかったか。まあ捕虜になったら生存は限りなく絶望的になるし、少しは懲りたのかね?
「まあ無事でよかったさね。さっさととんずらだ」
「待ってください!」
え?待つ理由があるの?帰りたいんですけどね?あったか布団で眠りたいんですがね?
「隊長達が来る少し前に何人かが連れていかれちまったんです!」
「........何だと?誰だかわかるか?」
「俺達の部隊のヤツが3人とモフモフの帽子を被った弓と双刀を持ってたやつです!」
「マジかよ........」
連絡がないのは捕まってたからかよキルオン........。まさかここに来てまたやることが増えるとか、ないわー。
「........んじゃこうしよう。クレイグはこのままこの連中を安全なところまで逃がしてやってくれ。拠点に使った廃村まで行けば大丈夫だろう」
「お前はどうするんだ?斬崎刃人」
「俺は残りを助けにいく。さすがに見捨てるわけにはいかんよ」
「しかし................いや、もう何も言うまい。武運を祈る」
「ここは反対するのが正常じゃねーの?」
「お前の実力を知らなければな。だがあの時の機転のよさは称賛に値する。それだけで十分だ」
ありがたいねぇ。しつこく食い下がられたらどうしようかと思ったが、ものわかりがいいのは助かるぜ。
「じゃあな。死ぬんじゃねーぞ」
「待て!斬崎刃人」
今度はクレイグの部隊のやつに呼ばれた。
「あの時はすまなかった........。俺達が愚かだったのは捕まってたときに骨身に染みたよ」
「........ほぉ?」
「本来俺達はこんなこと言えた身じゃないのはわかっている。だが言わせてくれ」
「........聞こうか」
「仲間を........頼む!」
「........帰ったらツケは払ってもらうぞ?」
俺はそれだけ言ってさらに上層に上がる道へと駆け出した。
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「くっそー、一体どんだけ広いんだよ!ホントに1本の木のなかなのか!?」
そんな悪態をつきながらも走る。さっきまでの螺旋状の通路ではなく、今度は一本道の廊下だ。廊下の突き当たりに階段があって上っていく感じになっていて、所々の小部屋には下層とは違い机や椅子などがおいてある。憶測だが下層は何でもなくて、捕虜の尋問なんかは全部ここでやってたんじゃねーか?
「................ァァァ」
「........?何だ?」
今呻き声っぽいのが聞こえたような........。
「........ガァァァア!」
「ええい!よく見えんぞ、何だ!?」
確実になんかが迫ってるのはわかる。こえといっしょに複数の足音みたいなのも聞こえてくるし、それらが徐々に大きくなってきているのもわかる。しかし、いかんせん暗くてよく見えない。俺は足を止めて、アサルトライフルで迎撃する構えをとる。
やがて迫ってきているなんかが見えてきた。それを見て俺は久々に恐怖を味わった。
「グアアアァァァ!!」
「な、何だァァァ!?」
それは顔の位置にでかい目玉がついた土色の化け物だった。
この季節はすぐに手がかじかんでしまってうまく書けないです
それでも書きます。読んでくださる方がいるらしいので
それではこの辺で失礼します




