傭兵と万砕き
お久しぶりです
冬山から帰ってきたので再開しまっせ~
そういう訳で、お付き合いくださいませ~
「ええい!どこ行きやがったあのバカどもは!」
「ぶ、分隊長~。待ってください~」
ただいま愚か者達の捜索に終われる俺たちはかれこれ30分森の中を走り回っていた。しかしいなくなった連中どころか敵部隊の気配すら感じない。........てかこの森広すぎだろ!
「おいニール!まだ連中のツールは追えねぇのか!?」
『まって~。もうちょいなの~』
足で探すのは当然限界があるので、今回のオペレーター、ニールに全員に支給されているツールの信号を追ってもらっている。一方、クレイグ率いる別動隊にも謝罪とセットで捜索を依頼したがどちらも未だに発見したとの報告はない。
「分隊長........。もう皆は........」
「弱音は仲間の死体を見てから言え!それまでは目をかっぽじってよく探すんだ!」
「........はい」
俺の後ろを走るこの新兵もかなり焦っている。『仲間の死体』という単語に恐怖を感じたのが見なくてもよくわかった。........生かして帰してやらにゃあいけねぇな。
『ジント~。見つけたよ~』
「!!でかしたニール!」
ニールから通信が入る。ようやく新兵どもを捕捉出来たようだ。ツールのモニターに捕捉された信号か、表示される。.よし、全員分あるな。ここからは........そう遠くない!行けるぞ!
「喜べ新兵!仲間を捕捉したぞ!」
「本当ですか!?」
「ああ、ここからすぐ近くだ。これなら助か........」
ドゴォォォオオン........
「「!?」」
その時、近くで大きな爆発音が響いた。 思わず足を止めて音のした方角を見るとデカイ煙があがっていた。場所からして俺たちが探してる仲間がやられたわけではないらしい。
「次から次へと!厄日か今日は!?」
『........こちらクレイグ!聞こえるか斬崎刃人』
クレイグから通信が入る。どうやら交戦中らしく、声に混じって怒号や銃声が聞こえてくる。焦ってんな奴さんも。
「こちら刃人!聞こえているぞ。どうした」
『敵部隊と接触した!だが聞いてたより明らかに敵の戦力が大きいぞ!おまけにこいつらなんの躊躇いもなく自爆までする!』
「!?」
嘘だろ?人が自爆?躊躇わずに?そんな兵士は聞いたこともねぇ........。どうなってんだよ敵さんは。
『こいつらを片付けたらそちらに合流する。規模から見ればこいつらが本隊だ!』
「了解!それじゃあさっさと見つけて加勢してやるか!」
『だが気をつけろ!話に聞いていたハンマーの大男はこちらでは確認されていない!まだどこかに潜んでいる可能性も........』
ドゴォォォオオン........
その時、もう1度大きな爆発音が響いた。その爆音を境にクレイグの声が聞こえなくなる。
「!?クレイグ!どうした何があった!?」
『................』
「ぶ、分隊長........」
「クレイグからの通信が途絶えた。ツールがイカれたかあるいは........」
「わ、私たちはどうすれば........」
明らかにビビってるのがわかる。無理もない。こいつにとっては初めての戦場だろうからな。
「........前進するぞ。俺たちは仲間と合流する。それからクレイグの部隊を援護だ」
「し、しかし........」
「何考えてるかは知らんが、まさか2人だけで援護に向かおうなんてアホなこと考えんじゃねぇだろうな........」
「........」
「さっさと行くぞ。ここでもたついてたらそれこそ俺たちゃ全滅だ」
「........はい!」
目標は決まってる。後はそれに突っ走ればいいだけだ。そして俺たちは駆け出した。
ーーーーーーーー
「ここか!」
森を疾走した後、信号が発せられていた地点にたどり着いた俺たち。そこは木のない草の広場だった。........こういうとこってフラグの気配しか感じないのは俺だけかねぇ........。主にボス戦の。
「いない........ですね」
「おいニール!ホントにここでいいのか?」
『え~。そこじゃないならわかんないよ~』
どういうことだ?信号はここなのに姿かたちがないとは........。
「分隊長!ありました~!」
新兵の声で思考の海から戻された俺は声のした方を見る。そこには新兵とツールだけがあった。........ツールだけ?
「........!新兵!すぐ戻ってこい!こりゃ罠だ!」
しかし、そこまでだった。新兵の足元の地面が盛り上がっている。........下か!
「新兵!下だ!」
「え?」
俺が叫ぶのとそれが出てきたのはほぼ同時だった。出てきたのは2mを越えるなにかだった。その巨体は躊躇うこともなくーーーーーーーー。
ズドォォン!
「ギャ」
新兵を叩き潰した。
「ん~…。弱い!これはハズレか~?」
誰かを探しているようで回りを大仰な素振りで見回す大男。いやそんなことより........人のことをハズレだと?許せんな........。
「........貴様」
「お?お~?お前だな~?カメルを殺したのは?」
「........何?」
何で知ってるんだ?あそこにいたのは俺とあいつだけだったはずだ。
「何で知ってる?って顔してるな」
「ああ、気になるところだな。そのツールの持ち主たちがどうなったかもな」
俺はツールの山を顎で指す。わざわざ誘き寄せたんだ、ここに争った形跡がないってことはすぐにやられたわけではないだろうね。
「俺に勝てたら教えてやるよ」
「........」
相手が遊ばせていたハンマーを構える。さて、こっちもやる気を出しますかね。
「俺は『万砕き』のウォーガー!貴様を叩き潰してやるよ!さあ、貴様も名乗りな!」
「........斬崎刃人、ただの傭兵だ。いざ、参る!」
さて........始めるか!
ご意見、ご感想などありましたらよろしくお願いします
それではこの辺で失礼します




