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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵と『獣おろし』
20/86

傭兵と愚か者

パワーキャラ通りまーす

そんなこんなでどうかお付き合いくださいませ~

「........」

「........」

(え?何これ?何この空気?)


辺りにはとても気まずい空気が流れていた。というのも、俺の目の前にいる人々は俺のことを認めないらしい。


(どうしてこうなった........)


それは今日の昼まで遡る........。


ーーーーーーーー


「おう、あんたらかい?『獣おろし』討伐に協力してくれるって部隊は」

「そうだ、俺はこの『第3突撃機動小隊』を預かっているクレイグだ。よろしく頼むぞ斬崎刃人」


お嬢ちゃんからフレアブレードを受け取ったあと、今度は協力してくれる部隊に挨拶すべく部隊が詰めている詰所に向かった。

んで、出迎えてくれたこの人は協力してくれる部隊『第3突撃機動小隊』の隊長さんって訳だな。歳は30後半ぐらいだろうか。2mを超える巨体はガーンズの一般的な黒いアーマーではなく、 濃い迷彩柄のメカニカルな鎧を着ていた。そして、背に担いだ大型ランチャーがこの男が幾多の死線を潜ってきた古強者ふるつわものであることを物語っていた。


「それにしても........あれか?あんたの部隊は」

「ああそうだ。違うと言いたくなってしまうがな」


そういって俺たちは後ろを見やる。クレイグの後ろには部隊の隊員らしい連中が談笑していた。と言うよりは駄弁ってるの方がいいかもしれん。........なんと言うか、これから任務だってのにしまりがない。なめてるといっても過言ではない。


「すまないな。あいつらは新兵でな、今回の任務が初陣なんだ」

「お、おう........」


とんでもない部隊を回されたもんだな。これで『獣おろし』を相手に勝てるのかとても不安になるんだが........。

そんなことを考えてると、こちらに今さら気づいた兵士が数人こっちに寄ってきた。


「隊長殿~。お疲れさまです~。こいつも新入りですか~?」


........酒臭い。昼間っから酒をかっ食らうたぁいいご身分じゃんかよ?ん?


「貴様........。昼間から酒を飲むな!この人は今回の作戦のリーダーだ。俺にかわって指揮を執ってくれる。言葉を慎め!」

「ですがよぉー隊長殿ォ?こいつはイツキ様の部下なんでしょぉ?そんなやつが俺達を知らねぇってのはいただけないってわけですよ」

「お前ら有名人なのか?」


言っちゃなんだが経験ゼロの新兵何ぞが名前が売れてるってのはろくなことじゃないと思う。


「おーう、俺たちは泣く子も黙るイツキ大佐ファンクラブの幹部様って訳よ」

「お前みたいなのがイツキ様と馴れ馴れしく出来ると思ってんじゃねーぞ、あ?」


ホントにあったのかファンクラブ!........しかしそれじゃどっちかって言うと小物のチンピラ軍団だろ。


「........何度言わせればわかる貴様ら。拳骨ではすまさんぞ?」


クレイグさん。気持ちはわかりますが鎧で拳骨は死人が出かねませんぜ?それもはや鈍器ですよ?


「失礼しました~。ギャハハハ!」


何が楽しいのか下品な笑いをあげながら寄ってきた連中は引っ込んでいった。くそお........その頭かち割ってやろうか。


「本当にすまないな。だがこの作戦に志願したのも他ならぬあいつらなんだ」

「マジで?」

「何でかはわからんが、イツキ大佐がこの詰所まで直談判しに来たんだ。その時にあいつらがやると言い出してな」


あー、なるほど........。大佐にいい顔したかったんだろうな........じゃなくて!


「いや、止めろよそこは。ピクニックに行くんじゃないんだぜ?」

「しかしいずれは修羅場に赴かねばならない。あいつらの心構えを叩き直すために協力してくれないか?」

「ぬう........」


気持ちはわかるけどよ........。まあいいか、適当な雑兵でもあてがってやれば。クレイグはできるっぽいからな。


「ではどうする?すぐに出発するのか?」

「いや、現地で落ち合おう」


俺は腕のツールから地図を出してクレイグに見せる。


「作戦区域の南西の地点に廃村がある。ここで夜に落ち合おう。夕方出てもつけるはずだ」

「了解した。では後程会おう」


ーーーーーーーー


で、そのあと合流して今に至る。


「........なぁクレイグさんよ。なんで隊全体が険悪なのかね?」

「........どうやらこの隊のほとんどがファンクラブの会員らしい。お前とのひと悶着が知れわたったのではないか?」


小声でクレイグに事情を聴いてみる。やっぱりあれか。面倒なことになったなおい。


「まぁいいや。作戦を説明するぞ。聞かないのは勝手だが死んでも責任とれねぇからそのつもりでな」

「........」

「........ケッ」

「(ほじほじ)」

「明日未明から作戦を始めるぞ。敵は件の地域に潜伏していると思われる。そこで俺たちは2手に別れて索敵を行う。発見しだい通信で位置を伝えろ。絶対に早まるな、もう片方の部隊と合流するまでは見失わないよう監視に徹しろ。見つかるなよ?」

「ふーん........」

「あっそ」

「うわっでけぇ」


こいつら........。今すぐに俺の手で殺してやりたくなるウザさだな。


「........ただし、敵は俺たちより少し多いくらいの規模だ。敵も部隊を分けている可能性も想定できるため、発見しても周囲の警戒を怠るな。何か疑問点は?」


シーン........


「それじゃ明朝、俺とクレイグが分隊長で出発するぞ。割り振りは今から伝える。まずはーーー」


こうしてとてつもなく空気の悪いミーティングは終わった。しかしここまで険悪になるとは........。何も起こらないことを祈るしかねぇよな。


ーーーーーーーー


~明朝~


作戦開始まであと30分、しかし召集をかけたにも関わらず俺の分隊の連中は誰も現れない。........まさか。


「分隊長!大変です!」


1人の兵士が慌てて飛び込んでくる。ファンクラブの会員ではない、貴重な真面目隊員である。そら来た!言わんこっちゃねぇ........。


「どうした?」

「他の分隊メンバーがみんな消えました!」

「........くそったれ共が」


昨日のバカどもはやっぱり暴発した。不安要素の手綱は自分で握っていたかったがまさかここまで無謀なことをする愚か者だったとは........。新兵ごときに手に負える敵じゃねえとあれだけ言ったんだが聞いてなかったらしい。


「いるのはお前だけか?」

「はい、他の皆は仮眠をとっている間に抜け出したようで........」

「仕方ねぇ、少し早いが、俺たちも出るぞ!死人が出る前に回収する!」

「了解!」


ったく、探し物が増えたじゃねーか........。

本来ならこんなことはあり得ないんでしょうけどね。

新兵の心構えはいかに大学デビューをかますかって考えてるくらいで読んでください。

それではこの辺で失礼します。

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