傭兵と未知との遭遇
「さて、まずは頭数を減らそうか」
とりあえずやたらと数だけはいる敵兵(?)を減らすべく、持ってきた歩兵用コンテナから4連装ロケットランチャーを取りだし、横に流しながら一気に全弾を発射した。扇状に翔んでいった4発のロケット弾はそれぞれ地面に着弾し、目の前が眩い爆発の壁に包まれた。
よし、これで大分始末できたはずーーーそう思っていたがその考えは浅はかであったことを俺は次の瞬間に後悔するハメになった。
爆発の煙が晴れないまま、それは突っ込んできた。それは意味があるのかないのかわからない、だが確実に何かを拒絶するように淡い紫色に包まれた模様のようなものが描かれた円形だった。ちょうど黒魔術なんかに出てきそうな魔方陣のようなものを彷彿とさせるものだったがそんなことよりも俺が何より驚いたのは........。
(こいつあ、実体がないじゃねーか!?)
その円形は肉眼で見る限り、物理とは無縁の存在だった。何がを媒介としている様子もなく、ただ光の円形が独立してこちらに向かって飛来してくる。無数のそれは赤と黒の兵士を焼ききり、細かい肉片に変えながらこちらに迫ってくる。
「こんの........クソヤロォが!!」
横に飛び退いてかわしつつ、俺はアサルトライフルで応射をかける。どうやら円形には障壁のような効果もあるらしく、銃弾のほとんどが防がれてしまった。しかし幸いにも通り抜けた弾丸の中には敵をとらえたものもあった。そして、その弾丸が俺の生死を分けた。
「うわぁぁぁぁぁ........!!痛い、痛いいぃ........死にたくねぇ、死にたくねぇよぉぉ........」
被弾した敵が叫びをあげる。足に被弾したらしく着ている服の足の部分には穴が開いていて少し血が滲んでいたが、どうみても死ぬような傷ではない。この時点で俺と周りにいた赤と黒の兵士たちは敵のケンカに負けた箱入り息子のような悶えっぷりに引き金を引くことも忘れて目を白黒させていた。ほんとならこの時点で俺達は死んでいてもおかしくなかったのだが、呆然としていたのは敵もおんなじらしくて「この腰抜けが」と言わんばかりの目線を悶えてるやつに向けていた。
.......最早ここは戦場の空気ではなくなっていた。さっきまでの荒々しさは鳴りを潜め、盛大にギャグが滑ったときのような気まずい空気が場を支配していた。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
「........なんだこれ?」
本日何度めかの疑問を口にしてみる。
信じられないことに、あの後戦闘はそのままもとの空気を取り戻すことなく幕引きとなってしまったのだ。たった一人のオーバーリアクションのお陰で戦争が止まるとか........某武力による戦争根絶を掲げる組織が聞いたら何て顔するだろうか?全く世の中とはわけがわからないよ。
「ったく、なんだよこれ」
わけがわからないと言えば、あの円形のことを戦闘終了後にその辺にいた兵士に聞いたら
「魔法だろ?何当たり前のこと訊いてんだよ」
と鼻で笑われた(ガスマスクをつけていてよくわかんなかった)。鼻で笑ってやりたかったのはこっちだったが、他のやつに聞いてもおんなじことを言われて鼻で笑われた。
........あの連中は次あった時のために復讐リストに加えとくとして、どうやらにわかに信じられないが魔法なるものを駆使して戦うのがあの連中のひとつの特徴らしい。いつからこの世界にはホ○ワーツができたんだよ。ユニバーサ○・スタジオじゃねーんだよ。
「で?考え事は終わったか?」
「ホントにさぁ...なんなんだよコレェェェェェ!!??」
そして本日最後の疑問がこれだ。
「何で尋問されてんだよぉ!?」
銃口を向けられ、目の前にいるSっ気120%はあるエロいおねぇさんに足蹴にされてる俺がいた。