傭兵と新兵器
今回は少し短めです
それではお付き合いくださいませ~
「よーうお嬢ちゃん。用事ってなんだ?」
「あっ、お兄さん。待ってましたよ~。あと、私はお嬢ちゃんじゃないです」
ブリーフィングが終わったあと、俺はその足でお嬢ちゃんがいる武器研究施設まで行った。施設のエントランスに入ってから名乗るだけでお嬢ちゃんの部屋まで行けるとは........。こっちに着任してからの順応が速い。
それにしても........汚い。書類や資料は散乱してるしなんかの配線やパーツがそこら辺に雑多に置かれている。おまけに炊事スペースとおぼしきシンクには洗い物に紛れてダークマターらしきものの残骸が残っていた。........アリスよ、お前も大佐と同じく台所が化学研究所になるやつなんだな。
「........あんまり見ないでもらえますか?」
「お、おう........すまん」
「片付けができないのは認めます。研究にのめり込むとどうしても後回しにしてしまうんですよ........」
「うぬ........。そこまで熱中してた研究には興味があるねぇ」
とりあえずお嬢ちゃんがヘコミ出したので話題を変える。
「研究........。ハ!そうでした、お兄さんに渡すものがあるんでした!ちょっと待っててください」
「........外に出てた方がいいか?」
「........そうしてください。少し片付けますので」
そう言われて俺は部屋から一時退出した。まあ人を呼んでおいて部屋があの惨状じゃあねぇ........。女の子となもなれば余計に気にするもんだよな。
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待つこと10分、お嬢ちゃんからお呼びがかかったので入り直す。驚いたことにあの惨状は影も形もなくなっていた。
「どうやったんだ?ありゃ全部片すのに丸1日はかかりそうな感じだったぞ?」
「フフン!答えはこれですよ!」
お嬢ちゃんが指差したのは俺もお世話になってる4次元コンテナ。確かにこの見た目は陸戦型ガ○ダムが背負ってるコンテナ、中身は4次元ポ○ットであるこいつなら説明がつく。なるほど、つまりは押し入れに詰め込む作戦と変わらないのだ。
「そんで?渡すものって何ぞや?」
「よくぞ聞いてくれました!これです!受け取ってください!」
渡されたのは2本の剣だった。刀身は俺の下半身くらいの長さで重量は標準的、太めの刀身はどこかメカニカルな感じがする。持った感想としては汎用的な剣、だった。
「どうですか?使い辛いとかないですか?」
「いや、至って良好だが?」
「調整は完璧ですね........。それでは柄をもう少し強く握ってください」
言われた通りに柄を握る手に力を込める。いつも太刀を握るより少し強めに握ると、刀身が赤く変色し出した。と同時に赤が強くなるにつれて周りに熱が生まれる。やがて変色が治まり、灰色の刀身は赤く発熱する物になっていた。
「おお........こいつぁすごい!」
「名付けて、『フレアブレード』です」
見たところ焼き切る武器のようだな。これなら振るだけである程度のものは貫通しそうだ。
「こんなもの本当に貰ってってもいいのか?」
「はい。思えば2ヶ月前に助けてもらったのにお礼もなにもしてなかったので........。少し遅すぎますけど、あの時は本当にありがとうございました!」
「よせよ今さら。当たり前だろ?」
任務だったし。それに今だから言えることだが、お嬢ちゃんはもう立派な俺の大事な人だ。見捨てるなんて選択肢はない。
「お兄さんのために造ったんです。大事に使ってくださいね?」
「そいつぁ保証できんが、壊さんように努力はするさ。こんないいもん手放せねぇよ」
「気に入ってくれてよかったです!」
ええ子や........。
「次の任務があるそうですね?それを使って必ず帰ってきてください!」
「おうよ!ここまでされたら死ねないねぇ。そんじゃ、武運を祈ってくれやお嬢ちゃんよ」
「だから、お嬢ちゃんじゃありませんってば!」
お嬢ちゃんが叫んでるのを聞きながら部屋をあとにする。『獣おろし』が相手になるデカい仕事の前に戦力増強してくれるとはずいぶん粋な計らいだぜ。終わったら料理の1つでも教えてやろうかね........。
フレアブレードは、イフリート改のヒートサーベル二刀流を思い浮かべてください。あれカッコいいですよね........
それではこの辺で失礼します