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傭兵in異世界  作者: キリサキ隊長
傭兵、異世界へ
13/86

傭兵の帰還

お騒がせいたしております。

こちらの話で1章は終わりですよ

そういうわけでどうかお付き合いくださいませ

「........なんだ?ここは」


目覚めると白い世界だった。なんと言うか、漫画やアニメにありがちな『意識の世界』みたいな感じだろうか。とにかく何もない........何てことはなかった。


「おや........。川があるじゃんか」


目の前に、あったかどうかわからない川がいつの間にかあった。川幅は飛び越えるには無理そうな程度にはでかい、そして深さはわからないが沈んだら最後ってくらいには深そうだ。魚食いてぇ。帰ったら定食屋でサバの味噌煮作ろうかね。


(................ん?)


ふと、気配を感じる。川の向こうからだ。誰かがこっちを見ている。この気配は........。


「お前は........」

『まさかこんなにも早く再び会えるとは思いませんでしたよ』


俺が殺した死神カメルが、確かにそこに立っていた。


「お前が川の向こう側にいるってことは、さしずめこれは三途の川でここは賽の川原ってところか?」

「そうでしょう。私はあのとき、確かに自分が死んだのを自覚しましたから。そして、貴方もまた死にかけているということでしょう」


知ってたが、聞きたくなかった、その事実!........なんてアホな五七五作ってる場合じゃねーな。


「それにしても、死神が死んじまうんじゃ世話ねーわな。今どんな気分だ?」

「余計なお世話です。........せっかくですから、あなたの目が覚めるまで少し話でもしましょう。答えられる範囲なら質問もありですよ?」

「........なんだ急に、怪しいな」

「そんなに警戒しないでください。ただ、私を殺した斬崎刃人という男がどんな人物なのか興味がわいただけです。敗者からのささやかなプレゼントですよ」

「あっそ」


こうして俺と死者との奇妙な暇潰しが始まった。


ーーーーーーーーーー


「お前のあれは何だ?」

「あの変身ですか?あれは『獣降ろし』と言われる1種の特異体質です。自分の魂に獣の魂を一時的に結びつけ、飛躍的に力を高めるものですよ」

「おお怖........。てことはあんな化け物がウィーズにはうじゃうじゃいるってのか?」

「まさか。そんなにいたら今頃我々の圧勝で戦争は終結してますよ。まぁ、戦争をあえて長引かせたがる方々もいるみたいですがね」


........どうやら部隊を作れるほどはいなくても他にも同じことができるやつがいるらしいな。


「次、何であそこを攻めた?」

「別にあそこを攻める理由は特別ありませんよ。私の部隊に下された命令は『手当たり次第討ち果たせ』でしたからね」

「なんだそりゃ」


軍隊が下す命令のわりにはずいぶんといい加減だな。兵士だって無限じゃねーだろうに。


「これは私の憶測ですが、今進んでいる計画に大きな関わりがあるのでしょう」

「計画?そこんとこ詳しく頼むわ」

「残念ですがお答えできません。私とて祖国に対する誇りや愛国心がありますから」


食いつかれること言っといて黙秘とは........。性格悪いなこいつ。だったら聞きたくなかったよ。


「ですがその計画には私のような『獣降ろし』が鍵になっていますよ」

「........それも本来隠すべき情報なんじゃねーのか?」

「言ったでしょう?プレゼントですと」

「お前、性格悪いって言われない?」

「........どうでしょうね?」


こりゃ狡猾ってより食わせものだな。


「そうだ最後に1つ。『獣降ろし』は魂を吸い取って己の力にすることができます。気をつけてください」

「魂を吸い取る?」

「端的に言えば相手を殺すことです。私は殺しが性に会わないので大した量は吸い取ってませんが、他の方々は私より強いと思っておいた方がいいですね」


つまり『獣降ろし』にとっては撃墜スコア=直接的な力の指標って訳か。しかもカメルもそんなに強くない部類とは…........。厄介だな。


(........ん?なんだ?)

「ふむ、どうやら貴方は生き延びるらしいですね。残念です」


見ると俺のからだが透け始めていた。意識の覚醒が近いってことかね?


「では貴方の健闘を死地にて祈りましょう。あ、さっさと死んでくれてもいいですよ」

「生憎、俺のしぶとさは天下一だぜ。なんたって生まれてこの方死んだことがねーからな!」

「それは当たり前なのでは........」

「その辺のやつとは年季が違うんだよ!」

「そ…で…か…。....で...う.を........」

「........あばよ、死神」


声と意識が同時に遠退いていく........。ちゃんと生きてんのか俺。起きたら川渡ってたってのはやだなぁ。

そんなことをかんがえながら俺の意識は再びブラックアウトした。


ーーーーーーーーーー


「................う」


目が覚めるとキレイな天井が見えた。おまけに横たわってるところも柔らかい。どうやら意識が落ちた地下道ではなくどこかのベッドの上らしい。チクショウ、体が重いな。まるで頭みたいなものが乗っかってるみたいだ。ちょうど下腹部辺りに圧迫感が........。


「なんだ.......!?」


自分の体に目をやると、見覚えのある顔が俺の下腹部、つまりは俺の息子の上に乗っかってた。よだれを盛大に垂らしたしまりのない寝顔である。くそぉ、ズボンにシミが出来てるじゃねーか。........いかん、状況がわかったら息子が痛くなってきた。てか、この人は........。


「大佐か?」


ご存じ俺のクライアント、イツキ大佐その人の頭だった。看病でもしてくれていたのだろうか。


「ん........、傭兵?」

「おはよーさん大佐。早いとこ俺の股間から頭どけてくれ。痛ぇよ」

「........ほえ?」


寝ぼけながらも自分の状況を確認する大佐。お、みるみる顔が赤くなっていくぞ。


「うああ!?す、すすすまない傭兵!!」


そう言ってさっと離れる大佐。


「ここはどこだ?」

「うう…........やっちゃったよぉ…........。うん、ここは首都の病院だよ。ファクトルの地下道で倒れてた傭兵を部隊が回収してくれたんだ」

「そうか........。そうだお嬢ちゃんは!?あいつは無事か!?」


思えば護衛対象だったのにキルオンに丸投げしてな。まあカメル相手にお嬢ちゃん守りながら立ち回るのは無理だったろうが。


「落ち着くんだ傭兵。アリス中佐もキルオンと名乗る協力者と無事に首都まで帰ってきた。傭兵は完璧に任務をこなしてくれたよ」

「そ、そうか........。キルオンも無事か」


本当によかった。ここで死なれてたら俺は早々にあの世でカメルにまた会う羽目になるとこだったぜ。主に罪悪感で。


「その、ね?とりあえず傭兵........」

「あ?なんだ?」

「........おかえり」

「........ただいま帰還した。世話をかけたな大佐」


とりあえず、これで初任務は完遂ってことでいいのかねぇ........。まだなんかあるとかそういうのは勘弁願うぜ。


「........うぅ~、グズ........」

「........どした大佐?」

「傭兵~!!死ななくて本当によかったよ~!!」

「うお!?ちょ、待て大佐!怪我人に飛びかかるな!痛だだだだ!?痛いい!!痛いのになんか柔らかいぃい!?」

「う゛あ゛あ゛~~ん゛!!」


そのあと、何事かと駆けつけてくれた看護師さんに般若が土下座をかます勢いでお説教された。俺は悪くねぇのに…........。しかもなんか『2人とも爆発しちまえ!』とか言われた。ひでぇ。



いかがでしたか?

至らない点も多いことですが、それでも書ききるつもりですので生暖かい目線と(出来れば)コメントをどうかよろしくお願いします。

次からはしばらく短編や紹介コーナーが続く予定です。ネタなど提供してもらえるとありがたいです。

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