傭兵と死神カメル
PSVITAが帰ってきました!!
ありがたい限りですヽ(・∀・)ノ
まぁそんなことがあっても文才は上がらないんですがね(´・ω・`)
それでは、どうかお付き合いくださいませ
「やれやれ、まさか本気を出すことになるとは........」
「........ッ!?」
その呟きと余裕綽々な顔を見て、俺はとっさに距離を取って様子を見る。するとカメルの体から紫のモヤっぽいものが溢れてきた。
「フフフ........。死神の戦いを披露しましょう」
モヤっぽいものが膨れ上がるなか、カメルの声だけが響く。やがてモヤが薄れてきた、が.........。
「いないだと?」
カメルがいたところには、本来ならいるはずのカメルはおろか何1つなかった。........また隠れやがったのか?
(........ッ!後ろか!)
気配を感じ、俺はとっさに後ろを振り向く。しかしそこには誰もいない。
『こちらですよ........?』
「!?」
今度は俺の右、すぐ近くから声が聞こえた。その向きに太刀を横に薙ぐが、その甲斐なく白刃は空を切った。
『フフフ。苦戦していますね?』
今度は左からなにかが飛んでくる。とっさに避けたが、さっきの光る弾ではないらしい。明らかに質量と重量を伴った一撃が俺がいた地面に穴を開けた。撃ち返したが当たった気配はなかった。野郎、まだなんか隠してんのか?
「一体どうなってやがる!?」
とにかくこのまま体を晒してるのは自殺行為だ。スモークグレネードの煙幕で身を隠しつつ手近なガラクタの山の影に身を潜めるが、相手がどこにいるかがわからなけらば焼け石に水程度の策でしかないのは明白だった。
『おやおや、今度はかくれんぼですか........。いいでしょう、お付き合いしましょう』
(........あの野郎、完全に余裕じゃねーかよ。正直なめてたのは俺の方だったな)
残弾の確認をしながらそんなことを思う。今思い返せば我ながらずいぶんグズグズな戦をしたもんだなぁおい。
(........マジかよ)
とんでもないことに気づいた。残弾がほとんどない。ライフル弾も底をつきかけてるがとくにスモークを使いすぎたらしく、20発あったグレネード弾はあと2発しか残ってなかった。大佐に弾薬の支援を頼ることも考えたが、隠れているというこの状況下であまり声を出したり腕のツールが光るのは居場所を知らせてしまう可能性があったのでやめた。
『みーつけた』
(!?)
今度は上から声が聞こえた。もはや無意識で応射をかけるが、見えない敵に当たる訳はなかった。
『さあさあ、見えない敵に狙われる気分はいかがですか?アハハハ!』
「ぐっ!?くそ!」
見れば左腕に大きな裂傷が出来ていた。切られた瞬間すらわからなかった........。
『楽になりませんか?今なら投降してくれてもいいですよ?』
「........」
確かに投降したくもなるなこりゃ。見えないというのがこれほど厄介とは思わなかった。気配を辿るのには自信があったがどうやら今回は相手の方が上手らしい。........見えない?
(待てよ。これなら........)
俺のなかに唐突にこの状況を打開できそうな閃きが浮かんだ。よし、ナイスだ俺の脳みそ!今年1番のファインプレーだぞ!
(しかし一か八か、だな........。どうせやらなけりゃ死ぬんだ。やってやるか!)
俺は策を実行すべくガラクタの山を登り始める。俺の閃きには高さが必要だったが、この山の高さなら充分だった。眼下には広場のほぼ全体が広がっていた。よし、これなら........。
『そろそろ出てきてもらえませんか?いい加減飽きてきましたよ』
(頼むぞ........。行け!)
バシュン!、バシュン!
『!?』
残り2発のスモークグレネードを撃ち出し、眼下に雲海にも似た煙幕を張る。煙幕は広場全体の何もないところを白く覆った。そう、何もないところは........。
(見つけたぜ........!!)
当たり前のことだが、層になった煙幕はそれより高いところにある物にはかからず、そこに何かがあることが浮き彫りになる。
そして広場には煙幕のかからなかったガラクタに紛れて、ガラクタと違う不自然な遮蔽物があることを煙幕は示してくれていた。相手の場所さえわかれば.........。
「今度こそもらった!!」
「ッ!?ガハッ........」
あとはそこに銃口を向けて引き金を引くだけの簡単なお仕事だ。俺は確かに肉に弾丸が食い込む鈍い音と何かが倒れる音を聞いたが、相手の姿を確認するまでは気が抜けない。
やがて煙幕が晴れて、俺が撃ったものが姿を現した。
「........なんだ、ありゃ........」
そこに倒れていたのは長身の鎌使いではなく、鎖鎌をもった巨大な黒いカメレオンだった。重量感のある飛び道具はどうやら鎖の先端についてる分銅だったようだ。........てかあの鎌仕込みだったのか。
大分被弾したらしくすでに虫の息だったので、俺はどでかいカメレオンに歩みより、語りかけた。
「ホント、魔法ってのはつくづく反則だよなぁ?人をそんな化け物に変えられるなんてな」
「その化け物を........ガハ、討ち取った貴方こそ化け物ではないですか?」
「ケッ!言いやがる」
「見事な手前でした........。ですが.....グフッ!、これだけでは済みませんよ?」
「あ?」
なんだ?この期に及んで負け惜しみか?
「「「動くな!!」」」
「!?」
突然、聞こえるはずのない声が複数聞こえる。何事かと思ったらどうやら俺は包囲されているようだった。周りには分厚い本を片手に発光する手をこちらに向けるウィーズ兵士、その数ざっと20人。
「........全く気づかなかったぞ。どうなってやがる?」
「ええ、そうでしょう........。私が手塩にかけて育て上げた我が隊が誇る精鋭たちです。流石の貴方でも私との戦いの片手間に察知することは出来ないだろうと思いましてね?」
「かーッ!こりゃ1本取られたな!てか、さっきから取られっぱなしか」
「さて、続きはあの世でやりましょうか........。先に........行ってますよ........」
その言葉を最後にカメルは事切れた。そして今度は俺を包囲している兵士の1人が口を開く。
「隊長の仇を討つ!総員、心してかかれ!」
言葉と同時に敵の手の光が強く、赤くなる。まるで怒りを力としているようなその光からは強い殺意が容易に感じ取れた。しかし........。
「すまねぇな。どうやら仇討ちには答えてやれそうもない」
「逃がすな!撃て!」
そう言い放って、俺は回れ右で走り出す。1歩踏み出した瞬間、辺りが赤い光で包まれた。片腕に傷を負ったこの状態で相手をしてやる義務もないしな。
(それに........せっかくかけた保険だ。使わせてもらおうかね)
今度は手にもった入り口に仕掛けた保険のスイッチを押した。
ドゴォォン........
「!?貴様ぁ!一体何をした!?」
「ちょいと入り口をな!お前らもせいぜい生き延びるんだな!」
走ってようやく出口にたどり着く。キルオンが機転を利かせてくれたらしく、出口には1本の矢が突き立っていた。少し奥に入ってから来た道を振り返り
「グレネード行くぞ!死にたくなけりゃ下がりやがれ!」
グレネードを4つ程投げ込む。爆破された広場との境目は完全に瓦礫で塞がれ、ようやく辺りが静かになった。
「ハァ........ハァ........。どうだ、死神め!俺は勝ったぞ!!」
さて、ずいぶん時間をかけちまったがようやく終わりだな。これでやっと................。
俺の意識はそこで途切れた。
そろそろ一章が終わりですね
短編みたいなネタはあるのに本編のネタが思い付きませんorz