傭兵、戦場にほっぽりだされる
今度こそやり遂げる........!
「........え?ここどこ?」
俺は、己が置かれた状況を理解できていなかった。確か俺は隠密任務のために人気のない森に投下されたはずだったんだが、実際は違っていた。
俺がいたのは予想していたような密林などではなく........。
「何で戦場のど真ん中にいるんだよぉーー!!」
そう、隠密のおの字もないような荒々しく、すさまじいまでにヒートアップした戦場に立っていた。何が起きたのかさっぱりわからない、出来ることなら帰りたい。とはいえ俺とて傭兵、ただの戦場ぐらいで慌てるような修羅場は潜ってない。冷静に周りの向かってくる兵士をいなしながら、俺はあることに気づいた。
「どうなってやがる?この戦場は」
この戦場には、2つの陣営があった。1つは赤と黒の衣装にアサルトライフル、ショットガンなどで武装した軍勢。それは俺の知っている軍隊と何ら違いはなかった。しかしもう片方の陣営はそうではなかった。
白と蒼の衣装を纏ったもう片方の軍勢は、一切武器のようなものを持ってなかったのだ。それどころか、この荒ぶる戦場にはどうみてもミスマッチな分厚い本や紙切れのようなものを手にしていて、纏っていた衣装にしてもとてゆったりもヒラヒラしていて防御や機動性をまるで無視したものだった。そして俺がもっとも不思議と思ったのは、これほど差のあるように見える戦闘に、一向に決着がつく気配がないことである。そして、にわかには信じられなかったが赤と黒の軍勢が押され始めていた。
「........ふむ、せっかくだ。分が悪い方についてみるかね」
目の前の負け戦に俺は興奮さえ覚えていた。これをひっくり返せばどんなに気持ちいいだろうか?
これを覆すにはどんな方法があるか?そんなことを考えている間に無意識に、俺は駆け出していた。
「やぁってやる!!行くぞ!!」