第七話 状況を知るという事
AI「そんなに落ち込むことはないよデブオ君たしかに君は君のままだし
世界はまだ君のいやな世界かもしれないでもそれをこれから変えていって
変わっていけばいいじゃないか」
溜息をはくデブオを元気づけるようにAIは少し声のトーンを上げて
明るい口調でデブオを気遣う
AI「サーバーはどうであれここは君が望んで冒険してきた世界
ここからは君の自由なんだ、洞窟でドラゴンを倒すもよし生産スキルで
大金持ちになるのもよしギルドマスターにだってなれるんですよ」
「う、うん!そうだね今までとは全く違う世界に来たんだから僕の
人生ナイトメアモードもきっとイージーモードに変ってるんだ」
AIに励まされ元気が出たブヒオは色々としたいことが思い浮かんできた
デブオの心境を察したAIは「まずは冒険よりもこの世界に慣れないと散策でもしてきたら
どうだい?」と提案した。
少し元気になったデブオは喜んでそれに答えた
AI「ふふ、やる気になってくれたデブオくんに公式テスト企画からのプレゼントがあるんだよ」
デブオの心拍数がこの言葉を聞いた瞬間バクバクと急上昇していく何故なら
彼は目覚める前にとてもいい夢をみていたからだその夢は今まさしくその状況なのだ
公式からのプレゼントアイテム魂還の剣で勇者となり金はガッポリ女の子ドッサリのワンダーランド
バクバクなる胸の興奮をおさえつつデブオは冷静を装いAIに訪ねた
「へ、へえ……ど!っぶ!どんなプレゼントかな?」
「部屋に一つだけ扉の付いた棚があるだろあけてごらん、少し待ってあげるよ」
そう言われるとボンと煙をたてて木で作られた棚が現れる
デブオはいそいそと棚の前に行き扉の取っ手に手をかけた
「ここから僕の人生は……変わる!」そうつぶやいてから
力づよく扉を開いた!
そこには……
ポーション、包帯、鞄、本、デブオの心拍数はみるみる下がっていく
しかしガックリ下を見た瞬間
「け!剣だ!」確かに剣がある。
しかしそれはどう見ても伝説の剣ではなく普通の剣に見えた
それにその棚の下の大きなスペースには剣だけではなく槍、斧、盾
などまるでガラクタを入れっていったかのよう無造作に置かれていた
少し大量の武器を見て興奮したがトボトボ電話がある机のほうにデブオは
もどり受話器を取った。
「気に入ってくれたかな?デブオ君」
げんなりするデブオをよそにAIがたずねる
「あの?あれは?」少し不機嫌そうにデブオが質問に質問で答える
「デブオ君が不自由しないように武器だけは揃えておいたんだよ
外にはモンスターもいるからね品としては良くないかもしれないが
どの武器が自分に一番あっているか試せるよ」
それを聞いたデブオはさらに肩を落とし
「特別なモノはないんですか?もっと限定品みたいな僕専用みたいな」
とまた質問した
「うーんかなり奮発したつもりだったんだがねー、でも
欲しいものはやっぱり自分で手に入れたほうがきっと嬉しさも
倍だよ。自分専用の武器はどうすればいいか君はしっているだろ?」
「うーん……確かに……」
デブオはガックリしていたがよくよく考えなおしてみると
このゲームのスタート時に色んなアイテムやなおかつ武器が種類別で
あるというのはすごく優遇されていることなのだ
このリアルファンターはキャラクターを作るとチュートリアルが
少しだけ行われその後は初心者の町ウーノに放り出される
その時もらえるのは鞄とナイフと包帯と千の通貨だけだ
それに比べれば随分と甘いスタートである。
それでもデブオは浮かない顔をした
なぜなら
デブオには本気になれる目的や夢がなかった。
ただ現実の世界から少しでも逃げたいがためにこの世界にやってきたのかもしれない
もし来たくて来ていたなら手に剣を持ち早速家の外に飛び出しているだろう
「どうかなデブオ君少し町まで行ってみてはどうだい?せっかく
この世界に来たんだ楽しまないと」
なんだかテンションが下がってきているデブオのためにAIが外に出ることを
すすめたきっとゲームの世界を見ればデブオが喜んでくれると思ったからである
「そ、そうブヒね、いつまでもここにこもっていても仕方ないブヒね」
デブオ自身もまた夢見た世界に居ることに違わないことを思い出し
すこし明るくなる欲をかいた未来とは少し違うがここはまぎれもなく
あこがれたリアルファンターの中の世界なのだ。