第三話 これが僕の望んだ世界
それは……本当に夢のような世界だった、僕が剣を振ればどんな凶悪なモンスターだって
恐ろしいPK(殺人をするプレイヤー)だって地に横たわる。そしてリアルファンターがテストプレゼントとして
用意してくれた魂還の剣これであらゆるモンスターから魂を抜き出し
そのモンスターから手に入れることのできる貴重な武器でアイテムトレードも自由自在
パティーの申込だって引っ張りだこ、
あと人形師(このゲームの世界での職業で戦闘用のゴーレムやロボットを作れる)に
頼んで作ってもらったミクチュンそっくりのアンドロイドミユキこの子のおかげで
僕の冒険は、いや人生はより一層楽しくなった
今日はそろそろこの体にも慣れてきたのでドランゴンでも倒しに行こうか
野原に立つ一軒家、ここが僕の家ここで準備を整える
「ふードラゴンなんて少し緊張するなー」アイテムを手に入れる用の魂還の剣と
攻撃用の冥府のナイフを手に取りそれぞれ背中腰の鞘にそれを入れながら
イケメンの僕ジャスティスクローが話しかける
その声に青い髪のツインテールの小柄な女の子がポーションを抱えてトタトタと
薬棚のある部屋から駆けてくる
「でもマスターならどんなモンスターでもやっつけちゃいますよ
だって私のマスターなんですから」
「だよな」僕はフッと笑いすかす
そんな僕を見てミクチュンがウットリしながら何かを思い出すような
仕草をして「そういえば今日は私たちだけなんですか?他のお友達はお誘いにならないのですか?」
と首をかしげた
「ああ、あいつら最近俺に寄生プレイ(ゲームの用語主に他人頼って経験値やアイテムを稼ぐことを言う)
だからな……それに足手まといはいらないさ、遊びじゃ無いからな」
「さすがマスターー!」完璧な俺の人間観察力とカッコよさにミクチュンがピョンピョン飛び跳ねる
ドラゴンの住む洞窟にここから行くにはまずは魔法でこの世界一番の大都市ブリカンに行って
動物調教師から馬を買い、グダラの洞窟を抜けてハイハイ鉱山を通りやっと聖域の谷の洞窟にたどりつく
長い旅になるだろう……だが俺はこそ世界で夢を見つけたそれは今はアンドロイドゴーレムのミクチュン
を人間にすることそれにはたくさんの貴重なアイテム膨大な金が要る……しかし今の僕なら
絶対にやり遂げてみせると心に決めていた
「行こうか!ミユキ!!」俺はミクチュンの小さな手を握り小さな家のドアを
開けた昔のあの部屋に居たんではけして浴びることのない輝く太陽
その眩しさに…………俺は…………おれは………僕………は…
目が覚めそうだ