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怪異蒐集倶楽部  作者: 宿世愛
沙夜子
9/9

夕暮れの街と怪異

 何を言うでもなく、ただ肩を並べて歩く。


 さっきとは打って変わり、久家は黙ったまま隣を歩くだけだった。


 チラリ、と横を見るも話す言葉もなく宮野はまた前を向く。


 しかし、重苦しい空気とは違いどこか安心できるような、そんな雰囲気があった。


 


――そういえば、ボクは男の人とこうして歩くのは初めてかも




 彼等とは、いわゆる幼馴染(腐れ縁)だったから。



 それに、いつも彼女がいた。



 そう、いつも・・・・・。






「あぁ、吉野君」



「は、はい!」



 突然呼ばれ、宮野は驚き声を大きく返事をした。




「どうしたんだい?」



「あ、いえ。で、何でしょうか?」





「いや、どうして君は七竈君のいる洋館(あそこ)に行ったのかな、とね」




 言われ、宮野の脳裏にある光景が思い浮かんだ。



 高校入学式当日の、自分たち4人の姿。



 そう、あの時まではいつも4人だった。



 桜が舞い散る中、裏庭にある洋館を見つけたのは・・・・・・。





「あそこを見つけたのは・・・・・・」





 そこまで言いかけた宮野を、久家が抱きよせた。


 突然のことに、宮野は久家の腕の中で固まった。


 強く抱きしめられたまま身動きもできない。


 宮野は頭を少し動かし、自分を抱きしめている久家を見た。





「せ、んぱ「静かに」




 

 鋭い眼光で、一定の方向を見つめたまま久家は口を開いた宮野に一喝した。


 いつの間にか、夕やみに包まれていた街は暗闇になっていた。


 何が何なのかわからぬまま、宮野は久家の腕の中にいた。





「まったく、物騒だ」



「え?」





 知った声が背後からした。


 首だけ動かしてみれば、そこには先輩と烏丸がいた。




「せ、せせせ先輩!!」



「お取り込み中でしたかしら?アキ兄様」



「揚羽に七竈君。グッドタイミングだね」





「まったく、お前はいつも楽観的だな、アニキ」



「おや、その声はナオ」




 ようやく久家の腕から解放された宮野は、ナオと呼ばれた人物を見た。


 そこには、久家と同じ様な端正な顔をした青年が立っていた。


 が、その顔は怒りに満ちていた。




「まったく、危機感が全くないな」


「はは、そうかい?」




「宮野君、怪我は?」


「あ、いえ。先輩、いったい何が・・・?」




「あぁ。烏丸の占いで、この路地一帯に怪異が発生すると出たのでな」




 そう言って、先輩はあの時確かに久家が見ていた方向を見た。












~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~




 何がどうなっているのか。


 少女はただ、いつもの通りの道を通っていた。


 それなのに、なぜ。



 名を呼ばれ、気を失って。


 気がついた時には、拘束され光も見えない場所に閉じ込められていた。


 静寂がまるでノイズのように、彼女の耳にまとわりつく。


 静寂のノイズが支配する中、聞こえるのは自分の呼吸と心音のみ。


 少女が体を捩ると、膝や肩が壁に付く。


 浅く早かった呼吸を、少女は深く吸いゆっくりと呼吸するようにした。


 どれぐらい時間が経ったかは知らないが、それなりの時間は経っていることだろう。


 少女が一つ、大きな深呼吸をしたとき、静寂を破る音が聞こえた。


 コツコツ、と規則的な足音。


 そして、足音が目の前まで来たとき、一筋の光が暗い部屋に差し込んだ。


 部屋の扉を開いた人物の顔は、逆光で見えなかった。




「ふふふ。目が覚めたかしら?お姉さん」



 全く聞き覚えのない声が、二つした。

 

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