考案~先輩の場合~
椅子に座りなおしながら、先輩はゆっくりと口を開いた。
「さて、君は小夜子がノックひとつで起きるのが不思議だといったね」
「はい。だって、コンコンって聞こえたら起きられるって・・・・。ボクじゃ無理ですよ」
「そうだね。君には無理だろうね、君には」
「うぅ・・・・・」
ニヤリ、と笑って先輩は紅茶を一口飲んだ。
「けれど、ノックひとつで起きるのは簡単だよ。習慣になっていればね」
「習慣ですか。むぅ、推理が外れましたか・・・・・」
「そう残念がることじゃないさ」
そういって先輩は仏舎利をひとつ口に放り込んだ。
美味しそうに頬張りながら、沙夜子に借りた写真をテーブルの上に出した。
やはり、左端に少女が一人立っているだけだった。
「この写真だけが、やっぱり不思議ですよね」
「そうだね。一人だけで写っているのに、なぜか左よりだし。なにより、この手だよ」
少女が何かを掴んでいるような形で、手を握っているその場所を先輩は指で指した。
「そういうのって、やっぱり専門の人に見てもらうのがいいんじゃないでしょうか」
「専門?あぁ、そうか。その手があったね。宮野君、行くぞ」
「は?えぇ??行くってどこに???
椅子から立ち上がり、颯爽とドアのほうに向かって歩いていた先輩は、宮野の問いかけにくるりと振り向き一言言った。
「写真部だよ」




