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怪異蒐集倶楽部  作者: 宿世愛
沙夜子
5/9

考案~宮野の場合~


 沙夜子が帰ってから、宮野は椅子に深く座り唸っていた。


 


 写真から消えた小夜子


 

 人々の記憶からも消えた小夜子



 ただ一人、小夜子を覚えているという双子の沙夜子



「あー、訳がわからないですね」


「そうだね」



「先輩も解らないんですか??」




「君は神経を逆なでするね。解らないじゃなく、パズルのピースが少なすぎるんだよ」



 テーブルの上の写真を、細い指で叩きながら先輩が言う。




「沙夜子君は覚えていて、ほかの人間は忘れている。写真からも消えたという小夜子という人物だが・・・・・」



 そこまで言うと、先輩は椅子から立ち上がった。


 そのままアンティーク棚の方へ歩いて行くと、棚からあるものを取り出した。


 それは、宮野が苦手とする骨壺だった。




「うわぁ・・・・・」



「そう厭そうにしてくれるな。これはこれで美味なんだからな」



「それはそうと、先輩」




 すくっと立ち上がり、宮野は拳を握った。


 その瞳は爛々としている。



「これはまさしく【都市伝説】ですよ!神隠しとか、そういう系の」




「なんだ、宮野君」







「そんな【都市伝説(よくある話)】を信じているのかい?」







 骨壺の中から砂糖菓子を一つ取り出し、口に放り込みながら言う。


 大股に歩きテーブルに近づくと、骨壺を置き宮野に顔を近づけた。


 切れ長の瞳が自分をとらえ、宮野は同性ながらどぎまぎした。



「よ、よくある話って・・・・・・」



「実際そうだろう?神隠し、口裂け女、人面犬など。どれもこれもどこにでもある、それこそよくある話じゃないか」




 呆れたように言葉を吐き出すと、椅子に少々乱暴に座り直した。


 冷めた紅茶を飲みながら、先輩はふぅ、と息を吐き出す。



「沙夜子君の件は、その【都市伝説(よくある話)】ではないよ。写真から人物が消える【都市伝説(よくある話)】なんて聞いたことないだろう?」



「じゃぁ・・・・」





「【都市伝説(よくある話)】を除いて、考えてみたまえ宮野君」




 そう言われて宮野は頭を抱えた。



 沙夜子だけから聞いた話だけでは、先輩の言う【都市伝説(よくある話)】のようにも思えてくる。


 ただ、写真から消えた小夜子を考えていると、【都市伝説(よくある話)】とは違う気もする。



 そもそも、小夜子という人物が本当に居たのか。


 

 宮野は沙夜子の話を思い出しながら、小夜子が居るのかを考えた。




『いつものように部屋をノックして』『ノックすれば起きる沙夜子』





「先輩」



「ん?なんだ?」





「本当に小夜子という人物が居たんでしょうか?」



「と、いうと?」




「沙夜子さんは、小夜子さんが居なくなった朝に部屋をノックしたと言ってました。そして、ノックをすれば起きるとも言ってましたよね」



「そうだね」



「それだけで起きられる人が、わざわざ起こされるまで寝ているものなんでしょうか?」



「私は自分で起きるから問題ないが、宮野君は起こされるタイプなのか?」



「そ、それは今は関係ないとオモイマスケド」



 アセアセと慌てる宮野を尻目に、先輩は口元に緩く笑みを浮かべる。


「君は本当にわかりやすい」




「あまりボク(・・)をからかわないでください」



「悪かった。では、本題に入ろうか」



 足を組み、上にのせた足のまえで器用に手を組むと、にやりと先輩は笑みを浮かべた。

 

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