沙夜子と小夜子
先輩に言われたとおり、宮野は三人分の紅茶を入れた。
お気に入りのアンティークのカップに注ぎ、それぞれの前に出した。
もちろん、砂糖は角砂糖という先輩のお達しの通りに。
「さて、君の双子を探してほしい、とのことだったね」
紅茶に口を付けながら、先輩は沙夜子に聞いた。
「はい。私の双子の小夜子を探してほしいんです」
「双子、ね。ちなみに、一卵性双生児かな?」
先輩の問いに沙夜子は頷いた。
先輩は小さくうなると、深く椅子に腰掛け直した。
「さて、本題に入ろうか」
「はぇ?今までの質問は???」
「宮野君、彼女はまだ言ってないことがあるんだよ。双子の小夜子という人物が、何故いなくなったのか。いついなくなったのか、をね」
「う~・・・・・」
「君はいつまでたっても、話の本筋をつかむのが下手だな」
「なっ・・・・。それは、先輩が先回りというか・・・なんというか」
もごもごと宮野は口をつぐむ。
それを楽しそうに見ながら、先輩はまた紅茶を飲んだ。
「それはそうと、宮野君。紅茶を入れるのが上手くなったな」
「ほ、本当ですか?」
身を乗り出し、先輩に詰め寄る。
今まで、貶されはしても褒められたことなどなかった。
「本当だ。だから、机にのるのはやめてくれないか?」
「ああぁぁあぁぁああ!ごめんなさい、先輩、浦前さん!!」
慌てて宮野は机に乗りだした上半身を、すぐさま椅子へと戻した。
ふ、と先輩は口元に笑みを浮かべると、沙夜子へと向き直った。
「さぁ、浦前沙夜子君。小夜子君が居なくなったときの状況を、詳しく聞かせてくれないか?」
沙夜子は頷くと、ゆっくりと経緯を話し始めた。




