安住桜 3-4
安住早苗が帰るとすぐに浅川はノートパソコンに電源をいれて、例の掲示板にアクセスした。
安住桜が3人目の被害者だとすると、再び掲示板に書き込みがあるかもしれない。だが、予想に反して、そこにはあの書き込みは見つけることが出来なかった。
(気のせいか)
浅川は少し思案した後、倉田に電話をかけた。
午前8時を過ぎたばかりで、まだ出勤していないかもしれない。
数回、コールした後、電話に倉田の声が聞こえた。
――浅川か? どうした?
低く険しい声をしている。
「ちょっと話があるんですが……いいですか?」
――ひょっとして事件のことか?
「ええ」
――なんだ?
倉田の様子がどこかおかしい。
「今、どこにいるんです?」
――七北田川の川原にいる。
「そんなところで何してるんです?」
――バーベキューでもしてるとでも思ってるのか?
倉田は突っかかるような言い方をした。イライラしている証拠だ。
「いえ、そんなことはないですが――」
――今朝、またバラバラ死体が見つかったんだ。散歩で通りかかった近所の住人から通報があった。
一瞬、香織の顔が頭に浮かんできた。また何かヴィジョンを見たかもしれない。
「どんな状況ですか?」
――遺体はこの前の門脇妙子の時と同じように細かく切断されていて、犯人が灯油をかけて焼いたためにほとんど真っ黒焦げだ。左腕だけがその塊から外れていて、わりと綺麗に残っている。しかも、この前送られてきた小指以外は全て指も揃っていて指紋を調べることも出来る。
「それは――」
――まだはっきりとはわからんが、藤枝美月のものである可能性が高いだろう。今、鑑定にまわしてる。で、話って言うのは?
「三日前から行方がわからなくなっている女性がいるんです」
――おい、まさか――
「ええ、3人目の被害者かもしれません」
――そりゃ、確かなのか。またインターネットに書き込みが? こっちにはまだ何の連絡もないぞ。
倉田はいらついたような声を出した。
「僕もさっき見てみましたが、いつもの掲示板には書き込まれていません」
――なんだ、脅かすなよ。それならまだ被害者かどうかわからんだろ。それともその行方不明者がこれまで起きた二つの事件と関係があるというような理由があるのか?
「それについてお話したいんですよ。時間とれませんか?」
――わかった。それじゃこっちの現場が終わり次第おまえのマンションに行く。
「お願いします」
そう言って浅川は電話を切った。




