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「俺の話はこうだよ」


 あるK大学の先輩が『メリーちゃんの呪の着信』を聞いたらしい。

 一回、コールを受けると必ず五分おきに電話が鳴って、最後は「私、メリーよ。今、アナタの後ろにいるわ」と言う声の後にうしろを振り向くとメリーちゃんが迎えにくる。

 翌日、先輩は無残にもマンションの十三階の部屋の窓から投身自殺していたという。


「ねぇ、知ってる?その着信を受けたらね、三人に電話して「私、メリーよ」って言って切ればいいんだって。かけた相手に伝染(うつ)せるんだよね」

 案外、メリーさんの噂は皆が知っていた。クラスの女子に聞くのがっ手っ取り早い。

「誰に伝染す?友達とかに伝染すの嫌じゃん……」

「知らない番号にかければいいんじゃない?」

「どうせならさー。嫌なヤツに伝染させちゃえば?」

「あ、やっぱそれか。学年に一人くらい居るよね。こいつなら伝染してもいっかあ、みたいな子がさぁ………」

「ははっ、だよねー」


 3


 和輝は「はぁ?なんだよ、それっ」と吠えた。

「あいつらの根性、腐っとんのじゃ!!」

 よかったよ。キミを連れて行かなくて。野犬を放し飼いにしたら、一大事だ。

「じゃあ、話しを進めようか。それに似た怪奇現象なら、外国でもあるらしいの」

 真央はデザートを食べ終わると、紅茶を一口啜ってから言った。


 あるところにエミリーという少女がいた。ある日のこと、エミリーはお母さんに買ってもらったばかりの赤い手袋をなくしてしまう。そこでエミリーは、丘の上に住む魔法使いのおじいさんに助けを求めることにした。

 すると、おじいさんはなぜかエミリーのなくした手袋を持っており、それをエミリーに返してくれた。ただしおじいさんは一言、彼女にこう約束をさせる。

 「この手袋が私の家にあったと、決して誰にも言ってはならん。もし、誰かに喋ったら、今夜時計が真夜中の12時を打つとき、おまえをベッドから連れて行く」

 ところが、家に帰ったエミリーはうっかり口を滑らし、母親に手袋が魔法使いのおじいさんの家にあったと告げてしまったのだ。

 その日の真夜中、時計が12時を打つ頃になると、階段からこんな声が響いてきた。

 「エミリー、ほうら一段のぼったぞ」

 「エミリー、ほうら二段めだ」

 恐怖に震えるエミリーの耳に、なおも声は響き続ける。

 「エミリー、いよいよ十一段だ」

 「エミリー、とうとう十二段のぼったぞ」

 「エミリー、わしはおまえの部屋の前」

 「エミリー、ほうらつかまえた!」

 それ以来、エミリーの姿を見たものはいない。


「イギリスの民話だったかな。他にもリカちゃん人形のとか、バリーエーションは広々としているんだけど……」

 だけど何?俺は問うタイミングを逃した。


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