我等、愛高新聞部!!
学校案内には新聞部と書かれているけれど、正しくは『民俗学研究部』。またの名を東京オカルトプロジェクトと呼ばれ、知識豊富な峰岸真央を中心とした個性豊かな面々がそろっている。
依頼があれば活動はするものの、普段は特にする事が無い。それで、報酬を貰っている部長もかなりのやり手だ。
カチャ、カチャ、カチャ………
指はスムーズにキーを叩く。彼女の手に寄れば、どんな情報も入手可能。ある闇の行政機関の裏情報を集める事がシュミの一環とか、じゃないとか。
今朝、我が龍谷学院大附属高校にパトカーが止まっていたコトから始まる。
(警察………?!)
何か事件でもあったのだろうか?和輝は他人事のように様子を窺っていた。
「おっす、睦月」
授業はとっくに終わっていて、部活動もキリの良いところで終わらせる時間に、和輝は来ていた。
「遅よ、テル。今日はどんな言い訳で、僕を怒らせる気だい?」
イヤミを言っても可愛いヤツめ。
睦月はまた読んでいた本に目を落とす。
「キミ、過去を根に持つタイプ?!」
と、オレが問うたら、いきなり足蹴りを喰らった。
『―――やあやあ、こちらがかの有名なオカルト専門家でしたか』
警視庁の者です、と黒いスーツ姿の男が挨拶してきた。なんとも怪しい。黒と言うのは不吉な色で、その存在感はかなりのものだった。
「ホラ、警察があんたを連れてくってさ」
睦月は突っ立っている和輝に冷たく言い放った。
「オレ、警察に捕まるようなコトしてねェよ!!」
たわいも無い。捕まったっておかしくない様な事、普段してる癖にさ。
「―――ようこそ、刑事さん」
くすくすくす、と冷笑を浮かべながら真央は一番高級な椅子に腰をおろしていた。
『初めまして、陣内と申します』
「一連の事件、ずいぶん手を妬いているのでしょう?!」
『ご存知でしたか。ええ、確かに行方不明にしては奇怪じみてます。これはやはり、専門家の方に一任した方が良いと思いましてね』
「規定の報酬が頂ければ、内容なんて大差ないと違います?」
『その言葉、きっと後悔しますよ』
そして、現在に至る。二時間も前の会話を今でも鮮明に思い出せる。そのくらい、グロテスクな空気を漂わせている。
かごめ かごめ
籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が 滑った
『うしろの正面、だぁれ?』
くすくすくす、笑い声が聞こえる。
わらべ唄を歌いながら闇へ消えていく少女が夜の学校にはいた。