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詩集 声の巣  作者: よねり


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詩集 仮面の市場 2




あるものは 善を売り、


あるものは 憤りを売り、


あるものは 哀悼を売る。


(売るつもりがなくても


売場に置けば 売れてしまう)




そうして


泣いた人の横に


解説が立つ。


倒れた人の横に


実況が立つ。


――立つ、立つ、立つ、


看板ばかりが いやにおとなびている。




僕は思う。


ほんとうの人間は


いつ 出て来るのだろう。




出て来ない。


出て来ない代りに


切り抜かれた言葉が


踊っている。


踊っているが


胴体は 何処にもない。





ああ、しかし、


僕も ここへ来てしまった。


来てしまって


笑うふりをした。


笑うふりをすれば


硝子が やさしく光った。




やさしい光――


だが それは


夜更の雨のように


だらだら だらだら しつこい程に


胸の上へ降る。




僕は 胸の上の雨粒を


指で拭う。


拭っても 拭っても


また 降る。




さて、


この市場の出口は


何処にある?


出口に立っているのは


僕の影か、


それとも――


あの見えぬ帳場の


冷たい手か……

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