詩集 通知の雨 2
Ⅱ
それにしても
「星」が安い。
画面の隅に 星形の印がちらついて、
押せば すぐ増える。
増えれば すぐ誇らしい。
何、あれはな、
空に吊した銀紙ぢゃよ――
と誰かがいったって、
僕は腹も立たない。
腹も立たないが、
かなしみが ぢっと増える。
銀紙の星で 夜を飾り、
銀紙の星で 人を測り、
銀紙の星で 僕の心まで
換算するのは 誰だ。
学者共は 「可視化」などという。
会社は 「エンゲージメント」という。
友だちは 「伸びたね」という。
――伸びるとは何だ。
蔓か。
蔓ならば 何処へ絡みつく。
雨は止まない。
止まない上に、
雨は 順序だっている。
つまり
僕の憂鬱の上へ落ちる雨粒は
他人の憂鬱の上へ落ちる雨粒と
同じ型で鋳られている。
型――
型があることは 有難い。
だが型が 僕を代行するなら
それは有難いどころの話ではない。
僕は一行、
ほんとうの呼吸で書く。
書いたつもりでいる。
ところが 書いたその瞬間、
僕の一行は 妙に「整え」られる。
見出しのように、
看板のように、
そして誰かの店先へ――
(パンを奪はれ花は与えられ)
そうして僕は
与えられた花束の重みで
歩きにくくなる。




