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詩集 声の巣  作者: よねり


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詩集 硝子の広場

ああ、指さきの硝子がひかり、


そこに「世間」が映っているという。


映っているのは、顔ではない、


顔の代りの符牒だ。




奴等は今日も、善意を配る、


善意という名の紙片を配る、


そして群がる、群がる、群がる。




だがだが、


元気に見えるものほど、元気ではないのです。


笑い顔の絵、拍手の絵、炎上の絵、


――絵ばかりが増えて


心は削れてゆく。




言葉は短く切られ、


切られた言葉は、やけに鳴る。


鐘のように鳴るのだが、


そこに寺は無い。




「正しい」という言葉は、軽く、


「許せぬ」という言葉は、早く、


「愛」という言葉は、安売りで、


「死」という言葉は、飾りのリボンを結ばれている。




奴等の頭は通知でガラガラになり、


奴等の胸はリンクで空洞になり、


そして空洞に、広告が花を挿す。


造花が、すぐ咲く、すぐ匂うふりをする。




ああ、滑稽なことだ、


花屋は黙っているのに、


造花作りだけが、口が達者で、


「ほんもの」と札を貼る。




夜、机に向えば、


原稿用紙より先にタイムラインが来る。


筆は折れない、折れないが、


僕の眼の方が擦り切れて、


文字が「誰かの声」に見えてくる。




プロパガンダ、と誰かが囁く。


だがプロパガンダは、もう旗を持たぬ。


星のような小さな印で、


そっと人を誘導する。




そして誘導された僕は、


怒るべきか、笑うべきか、


悲しむべきか、黙るべきか、


その順序さえ、算盤で決められる。




ああ、海は黒いか。


空は白黒いか。


けれど中間が空虚なのだ、


硝子の広場のまんなかが――




僕は今夜、何を投稿しよう?


それとも、何も書かずにいて、


ただ一度だけ、ほんとうの声で


誰かの名を呼んでみようか……

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